愛知県豊橋市 未来産業創出事業補助金 採択事業として実施。現場観察・専門職インタビュー・比較調査・公的資料照合を統合し、業界横断で共有可能な「業務実態のスナップショット」として公開

株式会社想ひ人(本社:東京都中野区、代表取締役:金子萌)は、地域包括支援センターの業務実態に関する調査レポート『地域包括支援センター業務実態レポート ― 31の業務課題と5つの根本原因』を発行しました。本レポートは、愛知県豊橋市の未来産業創出事業補助金 採択事業として実施した現場調査をもとに、地域包括支援センターの業務負荷を社会的課題として整理したものです。31の業務課題、11業務領域、5つの根本原因、3つの因果連鎖を構造化し、自治体担当者・メディア・介護業界関係者が共有できる形で公開します。主眼は事業実績の訴求ではなく、現場の実態と業界の構造を可視化することにあります。
■ 本レポートの位置づけ
地域包括支援センターは、高齢者支援の入口として、相談・権利擁護・介護予防・地域連携を担う全国インフラです。全国に5,451か所あり、72.2%が委託型として運営されています。現場では相談増加、記録負担、請求業務の集中、人材定着の困難という構造的課題が広く共有されていますが、その実態と根本原因を構造的に整理した公開資料は限られています。
本レポートは、特定センターの事業評価ではなく、業界横断で共有可能な「業務実態のスナップショット」として、自治体・運営法人・システム事業者・現場職員の議論の土台となることを目的としています。
■ 調査の概要
・調査主体:株式会社想ひ人
・支援事業:愛知県豊橋市 未来産業創出事業補助金 採択
・調査時期:2025年10月(現地調査2日間)
・調査手法:現場観察 / 専門職インタビュー5名(保健師・社会福祉士・ケアマネジャー等)/ 比較ヒアリング3センター / 公的資料照合18件
・分析軸:6軸(業務プロセス別 / ストック・フロー / 構造・運用 / 全国共通・地域固有 / 関係者別 / 緊急度・重要度)
・匿名化:固有名は匿名化し、比較対象は「他センター」として記載
短期の現場観察に依存せず、インタビュー、他センター比較、公的資料との照合を組み合わせることで、現場固有の事象と全国的に共通する構造を切り分けています。
■ 主要な発見(1):31課題は11領域に分布する
調査では、相談受付から予算まで11領域にわたる31課題を特定しました。最多は請求・給付管理の6課題、次いで人材・組織の4課題が続きます。課題は単一業務ではなく、日々の連絡、記録、請求、人材育成にまたがって発生していました。
■ 主要な発見(2):31課題の背後に5つの根本原因
31の課題を分析した結果、5つの根本原因が抽出されました。特に上位2原因(FAX・紙文化、フロー管理不在)で、31課題のうち15課題(約48%、ほぼ半数)に影響しています。
・RC-1 FAX・紙文化(8課題に影響)
・RC-2 フロー管理不在(7課題に影響)
・RC-3 システム設計制約(5課題に影響)
・RC-5 標準化未整備(4課題に影響)
・RC-4 予算構造の硬直性(3課題に影響)
■ 主要な発見(3):3つの因果連鎖が長時間労働・離職・本来業務の圧迫を生む
個別の課題は、3つの因果連鎖として相互に接続していることが明らかになりました。
▼ 因果連鎖1:FAXが長時間労働を生む
FAX・紙文化 → 様式不統一 → データ取込不可 → 三重入力 → 目視・手書き突合 → 読み合わせ・長時間労働
▼ 因果連鎖2:フロー不在が離職を招く
フロー管理不在 → 頭の中管理 → 記憶頼みの属人化 → 進め方が職員ごとに違う → 新人教育困難 → 定着困難
▼ 因果連鎖3:連絡調整が本来業務を奪う
電話・FAX中心の連絡調整 → 伝言ゲーム化 → 不在・折り返しの連鎖 → 記録作成が後回し → 地域活動時間の不足
■ 全国データとの整合性 ― 課題は地域固有ではなく業界共通
31課題のうち13課題は、比較対象の他センターへのヒアリングと公的調査で全国共通性が確認されています。
公的調査からは以下の事実が示されています。
・業務支援システム導入率:97.7%(基幹的な記録・請求システムは広く普及)
・AI活用率:2.1%(高度なデジタル活用は限定的)
・ICT不慣れと回答:73.6%(導入そのものより、使いこなす支援が課題)
・平均勤続年数:4.4年、勤続3年未満が49.2%(人材定着が業務継続性を左右)
システムは普及している。しかし、業務は楽になり切っていない ― これが現場と全国データの両方が示す方向です。
■ 主要な提言:ツール導入の前に、業務標準化と現場で使われる仕組みを
調査を通じて見えてきたのは、個別ツールの導入だけでは業務逼迫の根本解決に至らないという事実です。株式会社想ひ人自身、AIチャット、シフト自動作成、地域資源マップ、音声入力、請求Excel自動化マクロといった5つのツールを試行しましたが、業務の共通化がない状態では効果は局所的に留まりました。
優先すべきは、以下の順序です。
1. 見える化:業務一覧、発生頻度、担当、判断基準を棚卸しする
2. 標準化:手順、例外、確認範囲、引継ぎ条件を定義する
3. 試行:小規模に改善策を導入し、結果を記録する
4. 定着:朝礼やふりかえりで運用を確認し、日常業務へ組み込む
業務に名前を付け、判断基準を揃え、現場で使われる運用設計を整えてから、ツールを導入する。この順序が、ツール導入の効果を持続させる前提条件です。
■ 自治体への提言:個別導入ではなく、共通基盤として設計を
調査では、個別センターのツール導入余力は月5,000円程度と限定的でした。地域包括支援センターの業務改善は、1センターの努力だけでは限界があります。
自治体には、以下の役割が求められます。
・共通基盤の設計:複数センターで共通するフロー管理、標準手順、評価指標を整える
・予算の集約:個別ツールの小口導入ではなく、共通フロー管理や標準化支援へ重点投資する
・効果測定の設計:中断回数、請求処理時間、記録遅延、離職関連指標を導入前から追跡する
・現場の言葉での説明:DXではなく、負担軽減と支援品質向上として説明し、職員の納得を得る
■ 業界全体への含意
地域包括支援センターの課題は、特定地域だけの問題ではなく、全国共通の構造を含みます。介護人材不足は人手の問題だけでなく、業務設計の問題でもあります。現場の苦しさは個人能力ではなく、仕組みで改善できる対象です。
本レポートが、自治体・運営法人・システム事業者・現場職員の対話と、業界横断の共通解の設計に資することを願っています。
■ レポート全文のダウンロード
『地域包括支援センター業務実態レポート ― 31の業務課題と5つの根本原因』全文(全25頁・PDF)は、株式会社想ひ人 公式サイトの特設ページから無料でダウンロードいただけます。
ご活用いただきたい方:
・自治体の高齢者支援・介護政策・DX担当の方
・地域包括支援センターの運営に携わる方
・介護事業者・システム事業者・研究者の方
・メディア関係者・記者の方
ダウンロードには、ご所属・連絡先のご記入をお願いしています。記入いただいた情報は、本レポートに関するご連絡および関連情報のご案内にのみ使用します。
特設ページ:https://sz462.share.hsforms.com/20X1rb7JgSJGJ5l2WsQ0xkQ
■ 代表者コメント
代表取締役 金子萌:「私自身、14年以上にわたる家族介護の中で、地域包括支援センターの専門職の方々に何度も助けられてきました。同時に、現場が深刻に逼迫している実態にも直面してきました。今回の調査で見えてきたのは、個人の努力不足ではなく、業務設計の構造的な不足です。豊橋市の補助金事業として実施した調査が、特定地域の事業評価で終わるのではなく、全国の地域包括支援センターの議論の土台となることを願って、本レポートを公開します」
副代表 山崎宏(社会福祉士):「24年間で12,000件以上の相談支援に携わってきた現場感覚から見ても、本レポートが指摘する『FAX・紙文化』『フロー管理不在』は、地域包括支援センターだけでなく、福祉現場全体に通底する構造です。ツールを足し算するのではなく、業務に名前を付け、判断基準を揃え、現場で使われる仕組みを整える。この順序こそが、現場が継続して改善できる前提だと考えています」
■ 株式会社想ひ人について
株式会社想ひ人(おもいびと)は、2022年6月に創業した、介護・医療・福祉領域のスタートアップです。「ケアのある人生を 愛せる社会を」をビジョンに、老いや病気、障害、介護で人生が壊れない仕組みを作ることをミッションとしています。
家族・介護現場・自治体・企業の4つの現場に、AIと24年の現場知見で必要な支援と仕組みを届ける、ケアする人を、ケアする会社です。
【受賞・採択】
・経済産業省 Open Care Challenge 2025 採択
・トヨタ財団 2025年度特定課題 研究助成 採択(800万円・3年プロジェクト)
・大阪府堺市 令和7年度公民連携実証プロジェクト推進事業 採択(三社連携協定:堺市、想ひ人、Empathy4u)
・東京都中野区 中野区地域包括ケア推進パートナーシップ(NIC+)協定締結
・愛知県豊橋市 未来産業創出事業補助金 採択
・新潟県 DXパートナー登録
【メディア】
・日本経済新聞「向き合う」連載(2026年4月~5月、全4回)
・健達ねっと「介護に、驚きと希望を ― ヤングケアラー経営者が愛する『ケアのある人生』」(2026年5月28日 第1回公開、月2回ペース)
・BBC World Service / NHK Eテレ / TBS「Nスタ」 / ABEMA Prime / 毎日新聞 / 読売新聞 ほか
■ 代表者・顧問プロフィール
代表取締役 金子萌(かねこ もえ):桜蔭中学・高校から東京大学を経て、アクセンチュア、P&Gを経て2022年に株式会社想ひ人を創業。17歳から父親の若年性レビー小体型認知症(パーキンソン症状を伴う)の介護を継続中(14年以上)。元ヤングケアラー、現ダブルケアラー。
副代表 山崎宏(やまざき ひろし):社会福祉士。24年間にわたり12,000件以上の相談支援に携わってきた現場の専門家。
顧問 林正海(はやし まさみ):社会福祉士。株式会社あしたの森 代表。新潟リハビリテーション大学 講師ほか。2026年5月1日付で就任。
■ 報道関係者の方へ:取材・連携のご相談
ホームページ:https://www.omohibito.com/
お問い合わせメール:info@omohibito.com
以下のような取材を歓迎しています:
・地域包括支援センターの業務実態、人材定着、業務改善
・自治体の介護DX政策、共通基盤設計、予算活用
・介護現場の業務標準化、フロー管理、ツール導入の前提条件
レポート全文・調査データの活用、追加取材のご相談も承ります。
■ 関連リンク
・株式会社想ひ人ホームページ:https://www.omohibito.com/
・想ひ人ケアガイド(LINE公式アカウント):https://lin.ee/yrdZ9Ok
・代表 金子萌 note(毎週更新):https://note.com/omohibito_moe
・豊橋市未来産業創出事業補助金:https://www.toyohashi-mirai.com/
・レポート全文(要確定URL):◯◯◯◯◯◯
■ 会社概要
会社名:株式会社想ひ人(おもいびと)
所在地:東京都中野区
代表取締役:金子萌
副代表取締役:山崎宏
顧問:林正海
創業:2022年6月
事業内容:想ひ人ケアガイド開発・運営、介護現場のDX支援、自治体DX支援、介護コンシェルジュサービス
ホームページ:https://www.omohibito.com/
■ 本件に関するお問い合わせ
株式会社想ひ人 広報担当
メール:info@omohibito.com
HP:https://www.omohibito.com/