製品ライフサイクル全体の構造的課題を解決し、動静脈連携モデルの構築を推進
株式会社三菱総合研究所(代表取締役 社長執行役員:籔田健二、以下 MRI)は、環境省の「令和7年度プラスチック資源循環戦略に関する調査・検討業務」を受託し、業務を開始しました。本業務では、プラスチック使用製品の「設計・回収・再資源化・利用」の各段階の課題を分析し、解決に向けた取り組みを推進します。特に、再生材利用拡大を阻む「品質・コスト・供給」の構造的課題に加え、回収率・再資源化の向上など、資源循環全体に関わる課題に着目し、調査・実証・制度設計を一体的に推進することで、実装可能な資源循環モデルの構築を目指します。
1. 背景
資源枯渇の懸念や廃棄物の排出抑制、海洋プラスチックごみ問題への対応の観点から、プラスチックを資源として有効に活用し続ける「資源循環」は世界的な課題となっています。日本では、2019年に「プラスチック資源循環戦略」が策定され、2022年には「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環法)」が施行されるなど、資源をより効率的により質の高い形で循環させる「資源循環の高度化」に向けた法制度が整備されてきました。
これにより、容器包装プラスチックに加え、プラスチック製品についても分別収集・再商品化が求められ、プラスチック使用製品のライフサイクル全体での取り組みが進んでいます。一方で、資源循環および脱炭素化の実現に向けては、回収量の拡大や再資源化の高度化、さらに再生材の品質向上や需要の創出などが課題となっています。
こうした課題を踏まえ、環境省ではプラスチック資源循環戦略の実現に向けた政策検討に必要な調査・検討を進めており、その一環である本業務をMRIが担うことになりました。なお、本業務はMRIを代表者とし、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社および株式会社環境管理センターと共同で実施します。
2. 本業務の概要
本業務では、プラスチック資源循環に関する国内外の動向や企業・自治体等の取り組みを調査・分析するとともに、有識者会議の開催を通じて資源循環戦略の実現に資する政策を検討します。
最大の特徴は、製品のライフサイクル(設計・回収・再資源化・利用)を各段階で分断せず統合的に捉えるとともに、動脈産業(製造・利用する側)と静脈産業(回収・リサイクルする側)の動静脈連携(※)により、再生材利用拡大を阻む資源循環の構造的課題について解決を目指す点です。また、単なる調査にとどまらず、実証を通じて得られた知見を政策設計に接続することで、制度化や横展開を見据えた実効性の高いモデルの構築を図ります。
本業務により、再生材利用における品質・コスト・供給条件の明確化や、バイオプラスチック・再生材の環境価値の可視化と市場活用の促進が期待されます。また、回収率・再資源化率の向上や動静脈連携による資源循環モデルの構築を通じて、他分野・他地域への横展開に資する知見の創出を図ります。これにより、資源循環の高度化と持続可能な利用拡大に向けた基盤整備に貢献します。
※ 経済活動を血液の循環に例えた表現で、資源を加工して製品の製造・流通を担う産業を「動脈産業」、廃棄物の回収・選別・再利用・再生利用および適正処理による社会への再循環を担う産業を「静脈産業」といい、これらが連携して資源を循環させる取り組みを「動静脈連携」と呼ぶ。
図表 本業務における調査・検討内容

三菱総合研究所作成
3. 今後の予定
MRIは、再生材の利用拡大を阻む構造的課題や回収率・再資源化率の向上、環境負荷低減効果の評価・活用など、プラスチックの資源循環全体に関わる課題への対応に加え、動静脈連携モデルの確立を資源循環の高度化に向けた重要な取り組みと位置づけています。
今後も、関係者との議論や実証を通じた知見の蓄積と制度への反映を進めながら、資源循環の高度化に向けた取り組みの具体化と社会実装の可能性を検証していきます。
参考
株式会社三菱総合研究所 概要
本社所在地:東京都千代田区永田町二丁目10番3号
代表者の役職・氏名:代表取締役 社長執行役員 籔田健二
事業内容:シンクタンク・コンサルティングサービス、ITサービス
資本金:63億3,624万円
設立:1970年5月
担当部署:GX本部(脱炭素・資源循環・生物多様性等を中心としたGX領域のコンサルティング・調査、サステナビリティ経営支援等を推進)
本事業における役割:全体統括として業務全体の企画・管理を担うとともに、資源循環政策の設計や動静脈連携モデルの検討・実証の中核を担います。また、プラスチック資源循環政策の今後の在り方に関する検討のための有識者会議の開催・運営支援を実施します。さらに、産業界・自治体・関係機関等の多様な主体間の調整・合意形成を担い、実証成果を政策・制度へと接続することで、社会実装まで見据えた一体的な推進を行います。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 概要
本社所在地:東京都港区虎ノ門五丁目11番2号
代表者の役職・氏名:代表取締役社長 池田雅一
事業内容:シンクタンク・コンサルティングサービス、政策研究・調査、企業経営支援、人材育成支援
資本金:20億6,000万円
設立:1985年10月
担当部署:環境・自然ユニット 地球環境部(環境・資源循環、エネルギー、産業政策等に関する調査・コンサルティングを推進)
本事業における役割:再生材およびバイオプラスチック等のバリューチェーン全体への環境負荷低減効果の評価方法、原単位化、価値創出策の検討およびバイオプラスチックの導入促進に向けた検討を担当します。
株式会社環境管理センター 概要
本社所在地:東京都八王子市散田町三丁目7番23号
代表者の役職・氏名:代表取締役社長 水落憲吾
事業内容:環境調査・分析、環境コンサルティング、廃棄物・資源循環関連サービス
資本金:8億8,539万円
設立:1971年7月
担当部署:ソリューション事業部環境政策部(廃棄物・資源循環、環境政策に関する調査・コンサルティングを推進)
本事業における役割:事業所から排出されるプラスチック廃棄物の回収率・再資源化の高度化に向けたモデル事業の設計および実証を担当します。