資生堂アートハウスは、収蔵品の中から椿の花をモチーフにした絵画や工芸品、古美術による展覧会「椿つれづれ」を1月16日(水)から開催する。
“椿”は永い年月にわたって日本人に愛されてきた花樹で、古くは万葉集に詠まれ、花のみならず枝や葉、その実までが衣食住に結び付き、人々の生活と深くかかわってきた。日本の風土に適応した椿は、野生種から栽培種までが広く国内に分布し、永く続く花期は花の少ない季節に人の心を和ませる、貴重な存在でもあった。また四季を通じて艶やかな緑を保つ葉は不老につながり、さらには迎春や結縁を象徴する縁起の良い花として、さまざまな分野の美術品に採り上げられてきた。
今回の展覧会では、横山大観や山口蓬春、小村雪岱らによる日本画をはじめ、鳥海青児、林 武などの油彩、北村昭斎、十三代 今泉今右衛門、田村耕一らによる漆芸や陶芸のほか、資生堂企業資料館のコレクションから椿百余種をさまざまな調度類と共に描いた「百椿図」や、江戸時代に制作された松椿蒔絵の化粧道具、調度類などを展示する。
会期は、1月16日(水)~3月31日(日)。入場は無料。1月25日(金)・2月23日(土)・3月16日(土)の各日14時~14時30分には、学芸員によるギャラリートークも実施される。
「花椿」は資生堂の商標でもある。常に緑をたたえ、年毎に新たな花を咲かせる椿に託して、衰えぬ美しさを願う心が込められた椿の花のイメージは、資生堂と分かちがたく結び付いている。
■「資生堂アートハウス」
住所:静岡県掛川市下俣751-1
北村昭斎「結び文螺鈿箱 椿」2013年
十三代 今泉今右衛門 「色鍋島薄墨椿文額皿」1988年
山口蓬春「椿」1965年
林 武「椿」1960年代