東京・銀座にある資生堂ギャラリーで、国際的に活躍する映像作家・荒木悠の新作による個展が4月3日(水)~6月23日(日)に開催される。
荒木悠は、昨年ロッテルダム国際映画祭でTiger Awardを受賞、2019年キエフのピンチューク・アートセンターで開催中のFuture Generation Art Prizeの最終候補となった。世界各地での滞在制作などを通して、文化の伝播と誤訳、その過程で生じる差異や類似などに着目し、社会・歴史を背景にした映像作品を制作している。
今回のメインとなる映像作品は、日本が急速に近代化・西洋化を進めていた明治期に日本を訪れ、紀行文を残したフランス人作家、ピエール・ロティの著作「秋の日本」のなかの「江戸の舞踏会」の章がベース。これは、明治18年に鹿鳴館で催された舞踏会を訪れたロティが、35歳の自身の視線でその様子を描いた見聞録だ。
荒木の作品では、この「江戸の舞踏会」と、これをもとに芥川龍之介によって書かれた「舞踏会」の2作品を原作として、東洋と西洋の「まなざし」がワルツを軸に同じ時空間のなかで交差する情景を作り出している。
そしてもうひとつの映像作品は、「秋の日本」に収録されている「聖なる都・京都」「日光霊山」「江戸」の章で、ロティが記録した場所を荒木が撮影し、100年以上前と現在とのズレから、映像に写らない「風景」を描写しようと試みたもの。
入場は無料。世界的に活躍する映像作家の意欲的な作品に触れ、自分の思索や想像力を深める機会になりそうだ。
■「資生堂ギャラリー」
住所:東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
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