静岡県熱海市に、選び抜かれた伝統建築素材・伝統工芸・アートが息づく空間での滞在を提供するホテル「キュレーションホテル」3棟が、3月6日(土)にグランドオープンする。
伝統工芸やアートが息づく空間で滞在
日本が誇る美の伝統を革新的デザインで未来につなぐ「場」として誕生する「キュレーションホテル」。
今回第一弾として、熱海東山に「桃乃八庵(とうのやあん)」「須藤水園(すとうすいえん)」「桃山雅苑(ももやまがえん)」がオープン。いずれも改築改装プロジェクトで、廃材やCO2の削減、伝統建築の保全、伝統の大工技術や工芸の伝承というサステイナブルなポリシーが貫かれており、そこに「目利き(キュレーション)」が加わった革新的なデザインを施し、負の遺産といわれる建築を新たな価値で再生させている。
3施設とも世界的なデザイン賞で入賞し、「キュレーションホテル」が描き出す革新的な日本の伝統美はすでに世界的評価を得ている。
元旅館をフルリノベーションした「桃乃八庵」
「桃乃八庵」は、築88年の元旅館別館で、5年間放置され朽ちて解体寸前だった古民家を、耐震ならびに住宅性能改修含めフルリノベーション。建築当時の豊富で貴重な伝統意匠を残し、伝統の素材と大工の技術で大胆な改装のうえに、オーナー/デザイナーの目利きで集められた伝統工芸品や現代アートが加わることで、時代の新旧・洋の東西が融合された、伝統と革新が競演するデザインが完成した。1棟貸しは1泊20万円~。
華やかなデザインの「須藤水園」
「須藤水園」は、築87年の豪奢な伝統建築を改修。耐震ならびに住宅性能を高め、オリジナルの意匠を生かしつつ、金と青をキーカラーに、琳派を思わせる華やかなデザインに仕上げている。100枚以上ある障子戸は、伝統の洗いを施して、85平方メートルのLDKの緩い結界として再生。私設美術館も所有する美術篤志家のオーナー一族が何代にもわたりこの家のために集めた美術品が、新しい空間デザインの中で煌めくさまは圧巻だ。こちらも1棟貸しは1泊20万円~。
和の意匠が心地いい「桃山雅苑」
「桃山雅苑」は、築40年超の元保養所のコンクリート建築を、設備と耐震性能の刷新、地元静岡のきこりが切り出す間伐材、伝統素材と大工による手仕事で、和の意匠が心地いい空間にフルリノベーション。指揮者であり、新進アーティストの篤志家でもあるオーナーがサポートした、アーティストの若かりし頃からの作品のほか、幕末期に欧州に流出した日本美術の買戻し品や伝統工芸がドラマティックな表情を添えている。価格は、部屋貸し(2名)が1泊8万円~、1棟貸しが1泊32万円~。