関彰商事/セキショウグループは、筑波大学と「eスポーツで引き出すWell-beingに関する研究」を共同で実施することに合意し、共同研究契約を締結した。
高齢者のウェルビーイング向上を目指して
この研究は、同社のグループ会社が運営する高齢者施設の利用者を対象として、運動とeスポーツが相乗的に高齢者のウェルビーイング(※)を向上させる効果を、科学的に検証する計画だ。
社会性を伴うスポーツは体力レベルに課題
近年、高齢者の社会的孤独が運動不足や喫煙等と同じように、大きな健康リスクになることが知られている。
一方でスポーツや武道には、社会的繋がりを育むホルモン「オキシトシン」や運動器系機能、認知機能、自信を高めるホルモン「テストステロン」の分泌を高めることから、運動不足と孤独を解消し、体力・気分・認知機能の向上に有効だと考えられているという。
しかし、体力レベルに壁がある高齢者が気軽に取り組みにくい点が課題だ。
eスポーツにはリアルスポーツと同じ効能
そこで注目されているのが、ビデオゲームの対戦による“eスポーツ”だ。eスポーツには、競技性や遊戯性のみならず、体力レベルの壁を越えて誰もが参加できるバリアフリーなスポーツとしての魅力がある。
筑波大学は、学内で実施したeスポーツ大会の中で、eスポーツがリアルスポーツや武道と同様に「オキシトシン」や「テストステロン」の分泌を高めることを見出した。高齢者にとっても運動とeスポーツの混合処方が、活動量の確保と孤独の解消を両立する活力・健康増進方策になると考えているという。
約100名が約6か月間の科学的検証実験
今回の共同研究では、同社運営の運動指導を提供する「デイサービスセンター楽フィット筑西」にて、約100名の利用者に協力してもらい、約6か月間に渡って運動とeスポーツを用いた科学的検証実験を実施している。
テーマを「eスポーツで引き出すWell-beingに関する研究」とし、研究責任者を筑波大学の体育系助教である松井崇氏が務め、研究期間2月~2023年3月に研究を行っている。
ここにポジティブな効果が確認できれば、高齢者における新たなウェルビーイング方策として運動とeスポーツの同時実施を社会実装するための基礎データになるものと考えている。
運動とeスポーツのプログラムを開発
関彰商事/セキショウグループと筑波大学は、2020年6月に筑波大学アスレチックデパートメントとのパートナーシップ協定の締結以来、地域社会の「ウェルビーイング」の向上を目指して、様々なプロジェクトで協働している。その一環として、今回の共同研究が計画されたという。
この共同研究の成果に基づいて、運動機能、認知機能、社会的機能を改善する「運動とeスポーツを組み合わせたプログラム」が開発される計画だ。また、プログラムの実施ノウハウの提供を含め、新たな事業展開を目指しているという。
高齢者や地域社会のウェルビーイングに向けた取り組みに注目してみては。
※身体的・精神的・社会的に充足した状態