福岡県朝倉市・原鶴温泉旅館協同組合は、筑後川を活用し、鵜飼や原鶴温泉、そしてこれから多くの人を巻き込んで未来への流れを創っていくプロジェクト「Make in FLOW」を始動した。

朝倉市から未来への流れを創る

原鶴温泉は、2017年に起こった九州北部豪雨災害及び、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う宿泊者の急激な減少などの影響により、一部旅館は倒産。今年度は鵜飼漁再開にこぎつけたが、現在も危機的な状況に陥っている。

そんな中、原鶴地区に活気を取り戻そうと、2年前から原鶴温泉旅館協同組合に関わる活力あるメンバーが中心となり、筑後川を活用したウォーターアクティビティ事業を始め、カヌーやSUP等を行ってきた。多くの人が参加し好評を得ていたが、ふと“なぜ川を活用した事業をするのか”といった疑問に辿り着いたという。

筑後川で学んだことを後世に

土砂の堆積により河川環境は悪化した筑後川と、失われる伝統漁法の鵜飼。

“筑後川で育ってきた人は、その豊かさを知っている。筑後川で遊び、楽しみ、学んできた。近年は水害もあり昔の通りにはいかないが、そこから学んできたことは後世にも伝える義務がある” と、改めて大事な想いを整理し、ウォーターアクティビティ事業を「Make in FLOW」と名付け、プロジェクトを立ち上げることとなった。

温泉地×クリエイティブで魅力を再創造

今年は第一弾として、人と社会に変化と想像力を提供するメディアカンパニー・CINRAの丸田武史氏と、広告業界・ファッション・アートまで数々の受賞作品を手掛ける小林大輔氏に依頼し、鵜飼の存在・重要性を知ってもらうことや鵜飼を続ける意義を伝えること、若者たちによる新たな動きを知ってもらうことを目的に、カードとポスターを制作した。

そして、その流れに乗り、福岡県の「地域の魅力を磨く観光地域づくりモデル事業」にも採択され、自然体験型観光コンテンツ「川育」の開発及びプロモーション事業が始まろうとしている。

原鶴温泉旅館協同組合の師岡哲也氏は『筑後川に触れ合いながら、筑後川の河川環境や生態系、鵜飼、水の災害から身を守る方法等を多くの方に、楽しみながら伝えていきたいと考えています。筑後川が育んだ、鵜・人・温泉の魅力を感じに来てください。』とコメント。

CINRAの丸田氏は、『「博多の奥座敷」とも呼ばれていた原鶴温泉。そんな活気のあった温泉街も、時代と共に変化が生まれ、数多くあった温泉宿も数が減ってきているのが現状とのこと。いやなんてことない、これは原鶴温泉だけではなく、日本各地で起きているリアルな現状だと思います。過去には戻れないけど、かつての活気ある風景をここで作り出し、後世に繋げることはできないか。「Make in FLOW〜筑後川から生まれる新しい水脈〜」は、そのような流れを作るプロジェクトです。』とコメントしている。

原鶴の夏の風物詩である伝統漁法の「鵜飼」は、3年ぶりに5月20日(金)に開かれ、6月21日(火)～7月14日(木)を除く8月末まで見学することが可能だ。同地区の、筑後川を活用した「Make in FLOW」に注目してみよう。

原鶴温泉旅館協同組合HP：http://www.harazuru.jp/