島根県江津(ごうつ)市のSUKIMONOは、新しいコンセプトのホテル「Showcase Hotel KASANE(ショーケースホテル かさね)」を7月30日(土)に有福温泉にて開業した。
人口80人のまちで挑戦
東京から公共交通機関でたどり着くのに“最も時間が掛かるまち”として教科書に取り上げられたこともある江津市。その地で“無為自然”なものづくりに取り組み10周年を迎えるSUKIMONOは、その地域でできることを追求し、地域に幸福の循環を生み出すことを目的に事業を展開。
これまでは、建築や家具のデザイン・製作、生活雑貨の販売などを行ってきたが、新規事業として人口たった80人しかいない消滅寸前の温泉街の再生をかけた宿泊施設の運営に挑戦する。
1300年以上の歴史がある有福温泉
山奥にひっそりとある有福温泉は、聖徳太子の時代にインドから来た法道仙人が見つけたとされ、無色透明な単純アルカリ泉で“名湯が湧く福有の里”として古い歴史をもつ。
これまで、豪雨による浸水被害や火災などで、20軒以上あった宿が3軒になり、飲食店や土産物屋も減り、客数の大幅な減少と経営者の高齢化が課題となっていた。令和3年度には、江津市が街をあげての再開発を目指して「温泉地 まるごとホテル」工事を開始。飲食店の新規オープンや既存旅館のリニューアル、廃業した旅館のリノベーションが行われた。
同社は再開発を担う一事業者として、地域再生という創業当時からの変わらぬ想いのもと、ローカルの地で手仕事に関わる仲間たちとタッグを組みホテルを完成させた。訪れる人の心を豊かにし、新しい暮らしの引き出しが見つかるようにとの想いが込められている。“地域をもっともっと盛りあげ次世代へとつなげていきたい”という強い願いが、チャレンジに立ち向かう力となり、今回のホテル開業につながった。
ローカルの職人たちが手掛けた空間
「Showcase Hotel KASANE」は、“てしごとの、そばで。”をコンセプトに、ホテルの造りや在り方までも新創造したホテル。
一歩中へ入ると、館内の隅々に職人たちが手掛けた家具やインテリアプロダクトなどが空間を彩り、手仕事の温もりを身近に感じることができる。
築50年ほどの旅館をリノベーションし、解体で出た梁や柱もできるだけ再利用。今では手に入れることのできない材料や経年変化で生まれた姿、かつての職人たちの技や知恵をすべて融合し、50年後、100年後にも価値となり続けるような空間づくりを目指した。
日本の原風景を感じ心をほぐせる場所
宿に向かう途中に出会う雄大な日本海や山里の景色は、日本の原風景を感じさせる。
客室5室の小さな宿は、全客室にキッチンと、
同社のオリジナル木製スピーカーを完備、
館内にはBARも用意されている。
ここで人と人との想いを重ね合わせて過ごすことで、身体や意識の奥底に眠っていた感覚が呼び覚まされ、幸福や豊かさの再定義が新鮮な価値として浮かび上がってくることだろう。
「Showcase Hotel KASANE」で、手仕事の温もりと美しさを感じながら過ごしてみては。
■Showcase Hotel KASANE
住所:島根県江津市有福温泉町697
KASANE HP:https://showcasehotel-kasane.jp/