機械工具の卸業を営む小池機工と障がい福祉・プログラミング事業を営むヒューマンリソースは、構想期間1年、開発・検証・制作にさらに1年をかけ、今年2月に知育玩具新ブランド「BOLTI」が誕生した。トライアンドエラーを繰り返しながら楽しめる、発達障がい児に向けたユニークな新感覚の知育玩具となっている。
本物の機械工具を子どもたちの知育玩具へ
構想期間1年、さらに1年以上をかけて開発・検証・制作を行った「BOLTI」。プログラミング事業を営むヒューマンリソースの東條取締役が、放課後デイサービスでボルトやナットといった本物の機械工具に没頭する障がいのある子どもの姿を見て、「本物の機械工具を発達障がいのある子どもたちの知育玩具として役立てないだろうか」と機械工具の卸業を営む小池機工の小池社長に相談したところ意気投合。「企業として障がいのある子どもたちの成長を支援でき、遊びの中から機械工具への興味を喚起できればと、新事業に着手することを決めました」と小池社長は語る。
Free thinking(自由発想)、Disassemble(分解)、Assemble(組み立てる)、Tinkering(いじりまわす)という動作をしながら、子どもたちが考え自由自在に楽しめる仕様になっている。両社は専門家の意見も参考にしつつ、遊ぶ子どもたちの脳の発育に必要な刺激などについて検証・議論を重ねながら、商材開発を継続している。
本物を求める子どもの心理を重視
新タイプの知育ブロック「BOLTI」は、子ども用の携帯電話(玩具)ではなく、本物を求める子どもの心理を重視。本物の質感と安全性を考慮して、金属製のボルトやナット、合成樹脂のパースを自由に組み合わせて遊べるものに仕上げている。形成用に3Dプリンターとレーザー加工機を使用して試作を繰り返し、子どもたちのもとへ。
特にゴールや目標を設けず、自由に遊べるのはもちろん、ねじの感覚を確かめたり、とにかく思いついたことを形にしたりしながら試行錯誤しながら没頭できるという。現在は特別支援学校や放課後デイサービスなどで試してもらいながら、子どもたちの声をもとに、さらなる品質向上を追求している。
「BOLTI」に期待する子どもたちの未来
これまでの知育玩具は、マニュアルや使い方、完成する姿が描かれているのものが定番だったが、「BOLTI」はトライアンドエラーを繰り返しながら楽しめる新感覚の知育玩具。多様性が求められる現代における新たなニーズに応える商材として期待されている。
卸問屋×プログラミング教室がタッグを組み、常識を覆す子どもたちの発想に期待して動き出した今回のプロジェクト。「日常ではなかなか触れ合えない機械工具に触れ、興味を持ってもらえれば嬉しい。子どもたちがモノづくりに興味を抱き、新潟の製造現場の今後の発展につながることも見据えながら、さらに良いものを追求していきたい」と小池社長は語っている。
発達障がい児のあらゆる未来に期待を込めた知育玩具新ブランド「BOLTI」のこれからに注目だ。
(山川温)