山梨県都留市では、“城下町・都留”を魅力的に再興したいという強い想いに共感した市内及び市外の関係人口たちが協力し、失われつつある城下町としての魅力を取り戻そうというユニークな試み「つるのルーツ」プロジェクトを、5月1日(月)にスタートした。
かつては城下町として栄えた都留
かつて江戸時代には甲斐国(現在の山梨県)第二の都市だった経緯のある都留市。過去には歴史的な城下町として非常に栄えたが、現状都留市には城下町のアイコンとなる城もなく、町並みもほとんど残っていない。さらには市民の間で城下町という認識も薄いという。
市民アンケートを実施したところ、30代を境に市民の「城下町」という認識が徐々に薄れ、歴史を知る人がごくわずかであることが判明。このままでは都留が「城下町」であるという文化を伝える人が消滅してしまう危機感が浮き彫りになった。
そんな現況にも関わらず、城下町としての都留を愛する人々には、都留市を城下町として盛り上げたいという熱い思いがあり、「つるのルーツ」プロジェクトが始動した。
いつでも行ける心温まる町
都留市は、美しい景観や富士山麓からの清らかな水などの特徴を持ちながら、観光地としてはあまり知られていない。しかし、地元の人が市外から訪れる人を温かく迎え入れ、安らぎと心地よさを提供する魅力がある。このような地域特性から、関係人口を取り込みながら地域活性化を進める先進的な取り組みを実施している。新宿から90分と都内からのアクセスも抜群で、ちょうどいい田舎町であり、都内との2拠点生活をしたい人や都内から日帰りで自然に癒されたい人にもおすすめだ。
ニュースサイトやARで歴史や文化を伝える
当初は、城下町の町並みを再現するARを実装するという構想からプロジェクトがスタートしたが、都留市役所産業課とプロジェクトメンバーが共同で「都留市の良さ」を考えるワークショップを実施し、コンセプトを再考。そこから、都留の歴史を守りたいという情熱に共感した多数の市外のメンバーも加わり、ARやWebサイト制作に取り組んだ。
「つるのルーツ」プロジェクトは、都留に現在も残る「城跡」「町並み」「文化」などの目に見えるものだけでなく、目に見えない市民性(市民の特徴)などにも焦点を当て、都留市民に「城下町」を自分事化してもらい、歴史に興味を持ってもらうための3つの取り組みから構成されている。
まず、これまで知られていなかった都留の歴史に関する情報を集めたニュースサイト「つるのルーツ」をリリース。甲斐国が甲府と都留で成り立っていたことや、江戸で大流行した都留発祥の郡内織など、諸説を交えた興味深い内容が満載だ。
また、勝山城や谷村町などの歴史スポットを訪れ、携帯端末をかざすと、「城下町つる」のイメージがWebARで再現される。
さらに、「つるのルーツ」公式LINEに友達登録して、Webサイトの記事を読んだりARスポットに行ったりすることで「城下町ポイント」がもらえる。ポイントは都留市内での買い物に利用することができる。
「つるのルーツ」をチェックして、“令和に蘇る城下町・都留”に足を運んでみては。
ニュースサイト「つるのルーツ」:https://tsuru-roots.jp/
つる歴史探訪ARスポット:https://tsuru-roots.jp/arspot/
(山本えり)