日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、群馬県旧黒保根村(桐生市)を写真とともに紹介する。
Vol.80/群馬県旧黒保根村(桐生市)
赤城山の北側を通って、旧黒保根村へやって来た。不思議な地名だなあと思う。赤城山が古くには「久呂保(黒保)(くろほ)」と呼ばれていたそうで、関連もあるようだ。大きな国道は渡良瀬川沿いにできていて、南へ下っていくと桐生市の市街地をはじめ、関東平野沿いに近づいていき、北へ上っていくとみどり市の旧東村に入り、やがて日光市の足尾方面にたどり着く。旧黒保根村はその中間地点に位置しているので、交通量も多かった。
道の駅にあった看板には、こう書かれてあった。
「田んぼで蛙の鳴く声の届く夜、赤とんぼの舞う空…。絶えずくり返しくり返し生まれてくる事に、深い安心がある。特別なことじゃないけどそれが大切。」
「山の狭間に清らかな水と自然の恵み。すべての力がおいしいおいしいお米を育てます。水源の郷くろほね。うまい米」
自然がそばにある暮らしを、私たちは未来へ受け継ぐことができるだろうか。特別なことじゃないのに、特別にしすぎてはいないだろうか。旧黒保根村で感じた里山の気配を、通過するだけではいけない。立ち止まって深呼吸をする。
次回は、群馬県旧東村(みどり市)を写真とともに紹介予定。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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