日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、群馬県旧笠懸町(みどり市)を写真とともに紹介する。
Vol.85/群馬県旧笠懸町(みどり市)
桐生市街地からみどり市の旧笠懸町には、5kmほどの距離で着く。桐生市の駅前の地方都市の雰囲気から、旧笠懸町はより住宅地の静かな気配へと移った。訪れた岩宿遺跡では、旧石器時代の遺跡に触れることができる。石垣の中には博物館もある。旧石器時代となると、縄文時代よりも前の時代だ。軽々と1万年以上前に遡る必要があり、そこにある景色を想像しようと思っても、正直何も思い浮かばない。しかし、確かなことはその時代に生きた人類がいて、さらに彼らの生活の様子は、今の日本文化に繋がっているということなのだ。その果てしなさの上で生きる現代とは、なんと短いものだろう。
岩宿遺跡とそのそばにある鹿の川沼を歩いた。子どもたちが自由な時間を過ごしていて、彼らにとっては遺跡が大事であることよりも、ここにある広々とした水と木々の自然や、空気感が大事であるように思われた。やがて大人になったとき、ここで育ったことが思い出になるのかもしれない。歴史は誰かが生きた小さな積み重ねであって、ほとんどは消えてなくなってしまう。それが残されていること、触れることができることは、糸が繋がっていることであり、私たちは対局的に見れば、その糸の上を今日も歩いている。
次回は、群馬県旧粕川村(前橋市)を写真とともに紹介予定。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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