日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、群馬県旧大胡町(前橋市)を写真とともに紹介する。
Vol.87/群馬県旧大胡町(前橋市)
前橋市の市街地から北東に位置する旧大胡町。訪れる前に前橋市の大室古墳群を訪れたのだが、そこから旧大胡町には北西方向へ進んでいった。合併前の前橋市は、旧大胡町の西から南東部までぐるりと広がっている。
荒砥川を挟んだ踏切を渡った直後、踏切の音が鳴り、すぐに原付を停めた。二両編成の上毛電鉄がゆっくりと走っていく。そばにある大胡駅の前には小さな駅前公園があり、風車と噴水があることで、西洋の気配を垣間見た。北上して「道の駅 ぐりーんふらわー牧場・大胡」まで行けば、なだらかに赤城山の麓に近づき、オランダ式の大きな風車を見ることができる。赤城山の麓の景色には、西洋と重なる部分があるのかもしれない。
旧大胡町では夏に「大胡祇園まつり」がひらかれる。町内を暴れ獅子と呼ばれる大きな獅子が練り歩き、疫病を追い払うそうだ。町中を歩いていると、大きな獅子が堂々と描かれたシャッターを見つけた。夜になれば飛び出してきそう。かつては城下町として賑わった旧大胡町。大胡城跡にも訪れてみると、多くが緑に包まれていた。そこからまちなみを眺めるとき、城からの景色なのだと思いを馳せてみた。ここにはまだ、城下町からの時間の流れが残っているように感じられた。
次回は、群馬県旧宮城村(前橋市)を写真とともに紹介予定。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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