NANZUKAはロサンゼルス在住のアメリカ人アーティスト、Hebru Brantley(ヘブル・ブラントリー)氏の新作個展「Traveling Without Moving」を、神宮前のNANZUKA UNDERGROUNDにて11月18日(土)~12月24日(日)の期間、開催する。
シカゴ生まれのアメリカ人アーティスト
ヘブル・ブラントリー氏は、シカゴ生まれ、クラーク・アトランタ大学で映画の学士号を取得。デザインやイラストレーションのバックグラウンドを経て、現在はロサンゼルスにて壁画やペインティング、立体作品、インスタレーションまで精力的に創作活動をしている。
鑑賞者に多様な視点を与える現代の物語
ブラントリー氏は1960年代から70年代にかけてシカゴのサウスサイドで起こったアフリコブラ運動(AfriCOBRA)に多大な影響を受けており、壁画やグラフィティを、アフリカ系アメリカ人としての自身の系譜と切り離せないものと捉えている。
その作品は、アメリカのステレオタイプな従来のヒーロー像や主人公の在り方に対する挑戦であり、鑑賞者に多様な視点を与える現代の物語でもある。
キャラクターデザインの方法論を用いながら、多彩な色彩、ポップアート的なモチーフを組み込んだ作風で、郷愁や優しさ、強い精神、力や希望といったポジティブな文脈を表現するブラントリー氏の作品は、アメリカの人種問題を超えていこうとする若い世代から絶大な支持を集めている。
中でもFLYBOY(フライボーイ)と名付けられた大きなパイロットゴーグルをつけたキャラクターは、第二次世界大戦で戦ったアフリカ系アメリカ人と、米軍史上初のアフリカ系アメリカ人の航空部隊「タスキーギ・エアメン」から由来している。
また、「ダーク・フィクション」という大宇宙の探求をテーマにしており、ここでのダークとはアイデンティティ、出自、考え方などを意味し、それらを紡いで1つの物語が構成される。
ブラントリー氏はこの独自の概念によって、ミッキーマウスやバットマンと並んで存在する規範の中に、英雄の如く空を見上げるキャラクター、FLYBOYを生み出した。
インスタレーションと約13点の新作平面作品を発表
「Traveling Without Moving」では、FLYBOYの宇宙への旅を語る一直線上の物語によって紡がれた時代をテーマに、高さ2mを超えるロケットのインスタレーションと、約13点の新作平面作品を発表する。
また「Traveling Without Moving」は、銀座のMEGUMI OGITA GALLERYでの個展「Still」展とのジョイント企画となり、2つの展覧会がそれぞれのギャラリーにて同時開催される。
NANZUKA UNDERGROUNDのオープニング・レセプションは、11月17日(金)に、来日するアーティストを囲んで開催される予定だ。
この機会に、「Traveling Without Moving」をチェックしてみては。
■Traveling Without Moving
開催期間:11月18日(土)~12月24日(日)
会場:NANZUKA UNDERGROUND
住所:東京都渋谷区神宮前3丁目30-10
開催時間:水曜日~日曜日11:00~19:00
休業:月曜日、火曜日
NANZUKA UNDERGROUND公式サイト:https://nanzuka.com/ja
photo by Bianca Garcia
(角谷良平)