日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、栃木県旧藤岡市(栃木市)を写真とともに紹介する。
Vol.101/栃木県旧藤岡町(栃木市)
佐野市から南東の方角に進んでいくと、関東平野がさらに広がり、青空の占める割合が大きくなっていく。渡良瀬川に架かる新開橋や藤岡大橋も青空の下、姿が凛々しい。
藤岡駅近くを訪れると、昭和ごろであろうか、懐かしいまちなみが広がっていた。壁を見ても屋根を見ても、建物の雰囲気からは時間というものが伝わってくるものだ。
それからは渡良瀬遊水池を訪れる。とても広くて、緑の芝と遊水池の景色が爽やかだ。ただ、ここにはかつて旧谷中村という村があったことも、同時に思いながら進んでいく。
埼玉県の旧北川辺町を巡ったとき、遊水池として廃村になる国の計画が持ち上がっていたところを、住民運動で覆した話があることを知った。その出来事のあとに、栃木県の旧谷中村は現在の遊水池となった。景色を見て自然豊かな場所だと感じるのか、誰かのふるさとがあったことを思うのか、揺れるし、どちらが正解ともいえないような気がした。けれど、その曖昧さは自分の心の中で忘れてはいけない。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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