岡山県の瀬戸内市文化観光課は、せとうちで活躍するアーティスト・金孝妍(キム ヒョヨン)氏が手掛けた作品『The Reflective eye』を、前島港に設置した。
牛窓地域にパブリックアートを新たに整備
瀬戸内市文化観光課は、2022年度の岡山デスティネーションキャンペーンの成果を受けて、牛窓地域にパブリックアートを新たに整備することで、観光地の魅力創出を図り、国内外からの観光誘客の促進を図っている。
8月に牛窓オリーブ園にて設置した『ランデヴー』に続き、『The Reflective eye』は2つ目のパブリックアート作品となる。せとうちの漁業に欠かせない漁網を創業以来100年近く生産してきた、瀬戸内市の横山製網をはじめ、地域の人々の協力のもと、金氏によって制作された。
“視点によって、ものの見え方が異なる”をテーマにしており、見る人の立ち位置や知識、思考によって変化する様子を、象徴的な幾何学的形で表現。風景との調和や、見る角度による変化を楽しむことができる。2023年12月25日(月)には、金氏、瀬戸内市長・武久顕也氏などが参加した除幕式を実施した。
せとうちで活動するアーティスト金孝妍氏
金孝妍氏は、1980年韓国⽣まれ、岡山県在住。2001年パリ国⽴⾼等美術学校交換学⽣、2005年韓国ソウルの弘益⼤学⼤学院絵画科修了。2018年倉敷芸術科学⼤学⼤学院芸術研究科博⼠課程修了。2019年から2023年同⼤学⾮常勤講師を経て、2023年岡⼭県⽂化連盟「おかやま⽂化芸術アソシエイツ」プログラム・コーディネーターに就任している。
⽴体と平⾯の関係性を考察した絵画作品シリーズとして、紙やキャンバスで⽴体物を包んでできた凹凸に線を反復して描いたものや、和紙に銀箔を貼り煙の化学反応で⾊付けする硫化銀の表現を使うなどの絵画作品を作っている。また、場所、物、⼈との関係の中で作家⾃⾝の⾝体を媒介物として環境と相互作⽤する状況またはその痕跡を⽤いてパフォーマンス、インスタレーション、サイト・スペシフィックな作品など、さまざまなものを使いコンセプチュアルな試みを実⾏している。環境や場所等の関係性を探りながら、「存在」をテーマに、世界を確かめるべく⾝体を直に介⼊させながら作品を作っている。
岡山県立美術館に展示の『月と光、そして太陰潮』(2020)、
高松丸亀町商店街・壱番街前ドーム広場で開催された、瀬戸内国際芸術祭2022県内周遊事業「おいでまい祝祭2022」で展示された『息時計』(2022)、
高梁市立成羽美術館の『素材と絵の間-自画像-』(2021)などの作品がある。
瀬戸内市の牛窓地域にて、アート作品『The Reflective eye』をチェックしてみては。
(山本えり)