京町家の再生販売などを手掛ける京都の不動産会社「八清(ハチセ)」が、京都市から建築基準法第43条第2項第2号の特例許可を受け、新築した住宅が完成した。
4棟の長屋を新築
京都市内には約4,330本もの袋路があると言われており、これに面する住居の空き家化や建物の老朽化が進んでいる。袋路内に建ち並ぶ家の多くが建築基準法上の道路に2m以上接道していない建物で再建築不可の場合が多くある。再建築不可の建物は土地そのものの利用価値や資産価値も低いとみなされてしまう上、安全性、都市防災上でも課題のひとつとされてきた。
この物件も袋路にあり、20数年前の火災により長らく空き地と空き家化が進んだ6区画を集約して「都市居住推進研究会」と協働し、建築基準法第43条第2項第2号の特例許可を受けて4棟の長屋を新築した。
建築物の敷地は、原則として建築基準法上の道路に2m以上接しなければならないが、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、再建築可能となる。
見直される路地での暮らし
京都の路地には伝統的な建築による歴史的な景観と文化が残り、路地ならではのコミュニティーが継承され、持続可能なまちづくりを考える際の様々なヒントがある。また近年地価が高騰し続ける京都市都心部において、子育て世帯が郊外や市外に流出しているなか、路地には若年・高齢の単身者等が、適切な住居費負担で暮らせる住宅としての役割を果たすことが期待できる。
路地は車両が入ってくることがなく、関係者以外の往来が少ないため、子どもを遊ばせるには最適な場所。そのため同プロジェクトでは子育て世帯をターゲットとして、子どもがいる世帯が暮らしやすい家の設計を「魚谷繁礼建築研究所」に依頼した。
子育て世帯に向けた貸家のオーナーとして社会的意義に賛同してくれる人に4棟一括で販売する方針だという。
特例許可を得るための課題
再建築不可の袋路において建築許可を得るための障壁としては、①袋路の土地権利所有者全員の合意が必要、②土地所有権者の追跡が必要、③避難通路の確保が必要、という点が挙げられる。
これらのことが障壁となりなかなか再生が進められない側面があるという。
今後は、行政や民間企業・団体と協力し、路地再生の事例を増やし、発信していくことで「安心・安全・快適」に暮らせる京都のまちづくりに取り組んでいく。
オープンハウスを開催
今回、4棟の長屋のオープンハウスを、2月17日(土)11:30~16:00に開催する。予約不要で、入退場自由、誰でも来場できる。
詳細については、八清公式サイトを確認しよう。
この機会に「八清」の新築した住宅を、チェックしてみては。
八清:https://www.hachise.jp
オープンハウス:https://www.hachise.jp/buy/68097/index.html
(江崎貴子)