日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、千葉県旧佐原市(香取市)を写真とともに紹介する。
Vol.168/千葉県旧佐原市(香取市)
前回の市町村一周の旅では、香取神宮を訪れた。なので、旧佐原市の市街地は通過してしまっていた。それに、地名が混同していたところもあった。香取市なのか、(旧)佐原市なのか、千葉県には佐倉市もあるし、地元の方々からすればそれぞれ違って当然だろうけれど、ぼくの中で混同してしまっていたのだ。
だが、今回の旅でしっかりと区別がついた。香取市のに佐原があること。かつては「佐原市」だったこと。
今日はあらためて香取神宮へ参拝したあと、水郷佐原あやめパークと、佐原のまちなみを巡った。佐原の町並みの中にある、伊能忠敬記念館にも。
水郷佐原あやめパークは、利根川を渡り佐原の中心街から10kmほど離れていた。さらに、茨城県潮来市にも「水郷潮来あやめ園」がある。だから、このことも混同していたけれど、それぞれ別の場所に、それぞれあやめのスポットがあるというわけだった。あやめの見頃より若干早く訪れてしまったものの、日本らしい和の雰囲気を感じることができた。
さらに、伊能忠敬記念館を訪れた。伊能忠敬が日本地図づくり行脚の旅を、高齢になってから成し遂げたことは知っていた。しかし、知らなかったのは結婚して伊能家に養子に入り、長い時間を家と村の繁盛に尽くしていたこと。その後50歳になって江戸に移り住み、天文学者だった高橋景保(かげやす)に弟子入りするのだが、伊能忠敬よりも19歳年下であったそうだ。
そして、結果的に日本地図を歩いて測量してつくる運命になったわけだが、やり遂げる情熱に胸を打たれた。記念館で肉眼で地図を見ると、そこに込められた時間がドクドクと伝わってきた。卑下するわけではないが、自分なんてまだまだここからだ。「進まねば!」と、強くメッセージを受け取ったのだった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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