日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、茨城県旧内原町(水戸市)を写真とともに紹介する。
Vol.227/茨城県旧内原町(水戸市)
旧内原町は2005年2月に、水戸市と編入合併をしたまちだ。水戸市街地から東へ10kmほど進んだ先に、まちは広がっている。まずは庁舎へ向かってみることにした。その道中、木々に囲まれた道を抜けたあと、一気に水田がひらけた。訪れたのは6月中旬で、すでに苗は背を伸ばし、水面が見えないほどに育っており、若い緑色の絨毯が気持ちいい。その奥に、大きな街のような光景が目に入った。複層的な建造物が目立っている。一瞬なんだろうかと考えたが、イオンモールであった。水田の風景の奥に聳えるイオンモールは、なかなか見慣れない風景だった。
その後、庁舎周辺を散策しているときに、「平成版内原の景色十選」という案内板があった。池や田園風景、しだれ桜、古墳などが選ばれている。その中にあった、「和光院と蝉時雨」が目に入り、和光院へ訪れてみることにした。入口には仏像があり、紫陽花も咲く静かな境内であった。これが夏になると、さらに木々の葉も茂り、蝉時雨が境内を包むのだろう。蝉の鳴き声も、どのような心持ちで聞くのかによって、聞こえてくるものが変わりそうだ。そして、何気ない土地の声というものは、これからも長く残って欲しいものである。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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