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画家・芥川(間所)紗織の軌跡を回顧する企画「Museum to Museums」が各美術館で進行中

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芥川(間所)紗織アーカイブ実行委員会は、芥川(間所)紗織の作品とその生き様を風化させることなく後世に残し、1人の画家としての芥川(間所)紗織を日本の現代美術史の1ページに明確に位置づけることを目的として2022年に設立され活動してきた。

その活動の一環として、芥川(間所)紗織が生誕100年を迎える2024年に、美術館に所蔵されている作品を各美術館主催の展覧会の中で展示するというプロジェクト「Museum to Museums 軌跡を回顧する旅へ」を企画した。

プロジェクト「Museum to Museums」について

芥川(間所)紗織ポートレート

「Museum to Museums 軌跡を回顧する旅へ」は、全国10か所の美術館の協力のもとに実現したもの。各館での展示作品を通じて、当時は少なかった女性画家、芥川(間所)紗織の生き様を俯瞰して捉えることができる。

「軌跡を回顧する旅へ」という副題にもあるように、1つの美術館だけではなく、作品を所蔵する他の美術館へも足を運びながら、芥川(間所)紗織という人物そのものにも興味や関心を持ってもらう機会を創出することを趣旨としている。

生誕100年という節目の年に、日本の現代美術史における同氏の位置付けを捉え直すことができ、ひとりの画家の作品を複数の場所を通して見たときに、同氏の独自性や時代性に気づくことができるプロジェクトとなっている。

女性画家・芥川(間所)紗織が歩んできた人生

芥川(間所)紗織は、1924年、愛知県に生まれ、東京音楽学校(現・東京藝術大学)を卒業後、26歳から染色と油彩を学び始め、自画像ともユーモラスな植物の形態とも思われる「女」シリーズを発表して注目を集めた。

その後、岡本太郎の勧めで1955年の第40回二科展に出品し、特待賞を受賞。この時期に発表した「神話」、「民話」シリーズは日本文化の源流である古事記などに着想を得て、自由奔放な想像力と独自の解釈によって仕上げられた作品だ。

芥川(間所)紗織はこのような独創的なスタイルを確立したが、34歳で離婚し渡米した後、2~3色の限られた色彩で有機的なフォルムを組み合わせた抽象画へと移行し、新たな境地を開いた。しかし、帰国してほどなく、1966年、41歳の若さでこの世を去る。

今回のプロジェクトでは、見るものに今も新鮮な驚きを与え、鮮やかな色彩美とユーモアへの共感を誘う同氏の世界を堪能できる。各美術館の開催日程は、芥川(間所)紗織生誕100年特設サイトで確認しよう。

芥川(間所)紗織の生き様が表現された作品

芥川(間所)紗織の作品は、溶かした蝋で布に絵を描き染色をして、蝋を落とし水洗いをする工程を繰り返し、1枚の多色の作品を作り出す「ろうけつ染め」の技法を駆使し、色彩豊かに表現されている。

強烈な叫び声を上げているような女性を描いた「女」というタイトルのシリーズは、同氏の作品の傑出した特徴であり、自画像ともいわれている。

日本文化の源流である古事記などを愛読し、そこに現れている神話や民話の登場人物を独自の解釈で仕上げた作品は、いつまでも色褪せることなく、そのパワフルなエネルギーは観る者を圧倒する。

豊かな意欲にあふれ、常に新しいテーマや手法を模索して、渡米後に無機的な抽象画を描くことで作品が一変していることは、画家として新境地を開き続けようとする芥川(間所)紗織の生き様そのものだ。

この機会に、41年の生涯を駆け抜けた前衛女性画家・芥川(間所)紗織の世界を堪能してみては。

芥川(間所)紗織生誕100年特設サイト:https://saori-100th-anniversary.com

※プロジェクト「Museum to Museums」は、各美術館が主催する展覧会等を紹介し、関連情報を案内するもので、芥川(間所)紗織アーカイブ実行委員会が展覧会等を主催・企画するものではない。

(佐藤 ひより)

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