日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、茨城県常陸太田市を写真とともに紹介する。
Vol.241/茨城県常陸太田市
金砂郷や水府、里美といった里山地域を訪れたのちに、いよいよ市街地の常陸太田市へやって来た。前回の市町村一周の旅では、常陸太田市として旧水府村の竜神大吊橋へ訪れていたので、市街地を訪れるのは初めてだった。まずは常陸太田市役所の周辺を歩いてみる。戸建ての住宅街が広がっており、落ち着いた時間が流れている中で、西の方角が気になった。傾斜面にも住宅が並んでおり、雰囲気の違いを感じたからだ。歩いていくと徐々に道が細くなり、車ではのぼれない階段の坂に差し掛かる。この坂が非常に風情があって、振り向けば市街地を一望できた。「板谷坂」という坂であり、その坂をのぼりきった先には台地の上の暮らしが広がっていたのだった。
板谷坂をのぼりきった先は住宅街のみならず、「鯨ヶ丘商店街」という商店街が広がっていた。しかも建物は非常に味があり、商店街としての明るさも感じられ、昔からの時間がそのまま流れている。坂の下のエリアと雰囲気がまるで異なるし、同じまちでも台地の上に懐かしい商店街が現れるとは思っていなかったので、とても新鮮だった。まさに、この台地が鯨の背中だとしたら、今までにないまちのつくりである。またゆっくり訪れてみたい商店街だ。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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