日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、福島県旧長沼町(須賀川市)を写真とともに紹介する。
Vol.249/福島県旧長沼町(須賀川市)
旧岩瀬村の須賀川特撮アーカイブセンターから南へ進み、旧長沼町へ入った。大きく山を越えるわけでもなく、平野部の水田地帯を進んでいく。最初に訪れたのは、横田陣屋の御殿桜。当時の領主だった溝口氏の邸内に植えられたもので、推定樹齢は300年だという。遠目からでも大きさですぐにわかった。すでに桜の季節は過ぎていたものの、立派な枝がしだれて、葉が濃い緑色を付けていた。
しばらく周辺地域も散策する。住宅街を歩けば、静かな暮らしの気配がたたずみ、水田だけではなく畑も広がっている。道中、地元のお菓子屋さんを見つけたので入ってみた。目に留まったのは冷やしだんご。赤色のいちご味だ。冷たい白玉と甘いいちごが口の中でとろけて元気が湧いた。
さらに、西に位置する藤沼貯水池の方まで向かい、いくつかの場所で写真を撮った。徐々に雲が増えてきて、ややどんよりとした風景だったが、平坦だった地形から起伏が増し、自然が増えてきた。旧長沼町は東西に長く、東へ進めば須賀川市街地へ近づく。一方で、西へ進めば奥羽山脈に属する1000m級の山岳地帯が聳えており、雰囲気が少し変わる。山をいくつか越えていくと、会津地方に入るのだ。山を隔てて暮らしも大きく違っているだろう。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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