日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、福島県旧新鶴村(会津美里町)を写真とともに紹介する。
Vol.259/福島県旧新鶴村(会津美里町)
旧北会津村から西へと進み、宮川を渡って旧新鶴村へ入った。旧北会津村は2004年11月に会津若松市へ編入合併し、旧新鶴村は2005年11月に合併で会津美里町となった。隣り合う町だけれど、およそ同じ時期で違う自治体になっているので、合併の時期はいろんな話が出たのかもしれないなあ。昨日、伊佐須美神社で行われていたあやめ祭りのテントにも、「新鶴」の名前が入ったお店が並んでいた。だから、会津美里町ではあるけれど、新鶴という地名もまだ土地にはしっかり残っていることを感じている。
今回は市街地を散策し、新鶴温泉のある場所まで行ってみた。
市街地に流れている時間はとてもゆっくりだった。建物があまり新しくなっておらず、住宅街が出来上がったときと変わらない時間の流れを感じる。赤茶色に染まった路面も多い。雪を溶かす消雪パイプに鉄分が含まれていて、徐々に変色していくという路面。今は穏やかな晴れが広がっているものの、冬になれば雪で景色が一変するはずだ。
市街地を離れ、やや小高い丘を登った先に、「新鶴温泉 んだ」がある。日帰り入浴も可能で、営業は朝8時からだ。訪れた午前中の時間帯でも、地元であろう方たちが自分のカゴを持って温泉へ入っていく。日常の中に温泉の時間があるのだと思うと、生活の豊かさが感じられるのだった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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