日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、福島県会津若松市を写真とともに紹介する。
Vol.266/福島県会津若松市
朝、会津若松市街地から少し遠いところに位置する、赤ベコ公園に行ってみた。気になる名前だったのだ。到着すると、まさに野生の赤べこがいた。
だからと言って、有名な観光地というわけではないだろう。ごく自然に、あくまでその公園の遊具や水飲み場が、赤ベコなのだ。しかし、唯一無二であることは確かで、日本も広いなあと思うのだった。
会津若松といえば「鶴ヶ城」や「七日町通り」がとても有名だけれど、今回は「会津さざえ堂」という御堂に行ってみることにした。ちょうど白虎隊記念館もあるので、合わせて訪れようと。
さざえ堂は飯盛山に建立されており、山の中を登っていく。道中は神社があったり、美しい小川の流れもあった。
目の前に現れたさざえ堂は、ピサの斜塔のように少し斜めに見えて、独特の気配を放っている。さらに、さざえ堂はお金を払って堂内を登ることができる。登る? という話だが、なんと二重螺旋構造になっていて、上りと下りを一方通行で進むことができる、とても珍しい建物なのだ。
入場料を支払って登ってみた。中に入ると木の香りがして、木がきしむ音が響いた。それ以外は静かだった。世の中には知らないすごい建物があるのだなあと感動した。
また、近くには戊辰戦争で自刃した白虎隊十九士の霊を祀る宇賀神堂や、白虎隊士十九士の墓もあった。最後に白虎隊記念館にも訪れてみる。
ぼくは浅学なので、白虎隊についても詳しいわけではない。記念館では10分間の映像も見た。今日で理解がどこまで深まったかもわからないけれど、戊辰戦争の流れを見ていて、やっぱり、切ないなあという気持ちになった。
白虎隊や赤穂浪士。歴史に刻まれた生き様に、私たちは心揺さぶられる。しかし、白虎隊に感動した人が、新政府軍の物語を見れば、同じように感動することもあるのだから、歴史や正義というものはあまりに表裏一体だ。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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