青森県内5つの美術館・アートセンターを巡回する、AOMORI GOKAN アートフェス 2024「つらなりのはらっぱ」が、9月1日(日)まで開催されている。
すでに、青森県立美術館および青森公立大学 国際芸術センター青森での展示は終了。残すところ、八戸市美術館、十和田市現代美術館、弘前れんが倉庫美術館の3館となった。
薬草スチームサウナ『元気炉』
同アートフェスでは、5館の共通企画として、現代美術家・栗林隆さんの『元気炉』が登場。『元気炉』は、原子炉の形状をした構造物に薬草の香りを帯びた蒸気を発生させ、観客が中に入る体験型の作品だ。ただし、今後、実際に作品が稼働するのは弘前れんが倉庫美術館のみで、ほかの2館では展示だけとなる。
『元気炉』を稼働する際は、地域に自生する薬草をブレンドして使用。これまでに『元気炉』を体験した人たちは、レモングラスやくわの葉など、ハーブの香りが漂うミスト状のスチームを楽しみ、その後でハーブティーを味わったようだ。
3館での開催概要、飲食店出店やライブなども
同アートフェスでは、「Aomori GENKI-RO Trip」と題して、青森の各地域に伝わる郷土音楽やジャズ、クラッシックなど、地元で活動する奏者たちと音楽家の辰田翔さんらによるライブ演奏も実施。
また、写真家で映像作家の志津野雷さんも同行し、その様子を記録する。
さらに、各館ごとにドリンクやフードの出店もあり、アーティストと参加者が共に楽しめる企画となっている。
八戸市美術館での展示は、8月18日(日)・19(月)・21日(水)の10時~19時で実施。5館で唯一『元気炉』を屋内で展示し、音楽や各館展示の様子をまとめた映像と共に作品を鑑賞できる。
8月18日(日)には、作品鑑賞に加えて、八戸郷土芸能の団体とのコラボによる生演奏を披露。館内外では「たなぶ酒販」や「番彩珈琲みな実 Pizza217」などの飲食店出店、マエニワでは映像上映もあり、美術館の内外が賑わう夜となりそうだ。
十和田市現代美術館での展示は、8月24日(土)・25日(日)の2日間。8月24日(土)17時からは、地元演奏者のea-Z’s(いー爺ーず)と音楽家の辰田翔さん・篠田ミルさんが出演する音楽イベントを実施する。
併せて、美術館併設のカフェ「cube」では営業時間を延長し、ソフトドリンクやアルコール、栗林さんの関連グッズを販売。『元気炉』周辺に、手押し車に木造の屋台テーブルを乗せた作品『YATAI』が展示され、『YATAI』を囲みながらドリンクを楽しめる。
弘前れんが倉庫美術館での展示は、8月28日(水)~9月1日(日)に実施。そのうち、8月30日(金)~9月1日(日)の17時~20時に『元気炉』が稼働する。
また、8月30日(金)~9月1日(日)は、L PACK.によるイベント「いっしょくたにへば たげめぐなるはんで」も開催。オリジナルの屋台でコーヒーやクラフトビールが楽しめる。
さらに、弘前ゆかりの音楽家も登場。9月1日(日)には、自ら制作した土器の太鼓「縄文太鼓」をジャポニズムとアフリカンを融合した独自の演奏スタイルで独奏する太鼓演奏家・茂呂剛伸さんの演奏も聴くことができる。
現代美術家・栗林隆さん
栗林隆さんは、東西統合から間もない1993年よりドイツに滞在し、その頃より「境界」をテーマにドローイング、インスタレーション、映像など多様なメディアを使いながら作品を発表してきた。現在は、日本とインドネシアを往復しながら国際的に活動している。
栗林隆さんは「東日本大震災の発生後、アーティストとしてできることを模索しながら福島に通うなかで、地元の人たちから元気をもらっていることに気づき、タイでの経験から着想を得て、みんなが元気になる原子炉型の作品、薬草スチームサウナを震災から10年目に発表しました。当初は作品の名前はなく、作品を体験した参加者の様子をみて、みんなの元気でエネルギーを生み出す『元気炉』ということで名前がつきました。日頃から共にキャラバンをしている音楽家の辰田翔さん、写真家で映像作家の志津野雷さんも加わり、五感を超えた六感で空間全体を楽しんでいただけるような作品を作りあげます(一部抜粋)」とコメントした。
同アートフェスに参加し、『元気炉』や音楽、フードやドリンクを楽しんでみては。
■AOMORI GOKAN アートフェス 2024 つらなりのはらっぱ
参加費:無料(飲食費別)
会場・展示日時:八戸市美術館 8月18日(日)・19(月)・21日(水)/十和田市現代美術館 8月24日(土)・25日(日)/弘前れんが倉庫美術館 8月28日(水)~9月1日(日)
(Higuchi)