ミライプロジェクトは、高齢者向け美容サービスを専門とした人材を育成する「介護×美容」のプロフェッショナルスクール「介護美容研究所」を運営している。
同スクールの卒業生は毎年増加しており、今年3月に卒業し「ケアビューティスト」となった人数は前年比で約1.5倍となったそう。今回は、ケアビューティストが提供するサービスなどについて紹介していこう。
「介護美容」を提供するケアビューティスト
ケアビューティストは、「介護」と「美容」両方の技術を習得したプロフェッショナル人材。通常のネイル・メイク・エステなどの美容施術とは異なり、高齢者に特化した美容施術を行う「介護美容」を提供する。
施設スタッフや家族の介助なしで施術が行えるため、日常生活動作が困難な人や認知症を持つ人にも安心して美容サービスを受けてもらえるのだそう。
美容を通してただきれいになるのではなく、その人らしくいられること、ADL・QOLの向上、健康寿命の延伸に寄与できることを目指している。
2025年、すべての「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になり、将来の介護職員不足が課題となっている中、多様な年代・業種・バックグラウンドの人がケアビューティストとして介護業界で活躍できるようになることで、地域の高齢者をサポートできる人を増やしていけることが期待される。
「介護美容」を贈る新サービスの提供者が増加
ケアビューティストは、施設での介護美容サービスの提供や地域の美容イベントの出展を通し、地域の高齢者の健康維持や交流の機会を増やして貢献している。そんな中、ギフトとして「介護美容」を贈る新しいサービスを提供するケアビューティストが増加しているのだそう。
米田美穂さんも、「介護美容」をギフトとして贈る新サービスを提供するケアビューティストの1人。米田さんは病気を持つ両親の介護を行ったヤングケアラーの経験がきっかけとなり、1年かけて介護美容研究所で高齢者向け美容サービス提供の技術を学び、今年3月に卒業してケアビューティストとなり自身のエステサロンを開業した。
現在は、施設で美容レクリエーションを定期開催しつつ、地域の高齢者向け美容イベントを自主企画で開催し、介護美容を広げるための活動を行っている。
そのイベントをきっかけに大阪府大阪市住吉区の地域活動協議会との関わりが生まれ、地域の引きこもりがちな高齢者の居場所づくりや地域活性化・多世代交流に向けて連携して活動していくことになり、今後は月に1度、地域の美容デーを設けることになったとのことだ。
「介護美容」をギフトとして贈った事例
米田さんは、ギフトとして「介護美容」を贈るサービスを提供するにあたり、介護美容の贈り先の高齢者本人だけでなく、普段ケアをしている家族などケアラーの支援にもつなげることを目的としていると話す。
これまで、孫から祖母への誕生日プレゼントとして贈る、普段は遠方に住む家族が集まる日に贈る、大阪市の市民後見人(および民生委員)が身寄りのない地域の高齢者に贈るといったケースがあったそうだ。
「介護美容研究所」について
「介護美容研究所」は、高齢者向け美容サービスを専門とした人材を育成する「介護×美容」専門のプロフェッショナルスクール。東京、横浜、名古屋、大阪、福岡の5拠点で開校しており、これまでに育成したケアビューティストは1000人以上に上るそう。
受講生は年々増加しており、10月には大阪駅直結のイノゲート大阪に「介護美容研究所 梅田校」がオープン予定だ。
また、技術者の育成だけではなく、就職支援事業「B&C キャリアパーク」、訪問美容事業「care sweet」を運営し、ケアビューティストを目指す人々を総合的にサポートしている。
今後も、ケアビューティストの活躍に注目したい。
介護美容研究所URL:https://academybc.jp
(Higuchi)