日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、宮城県旧築館町(栗原市)を写真とともに紹介する。
Vol.303/宮城県旧築館町(栗原市)
登米市の旧南方町から、今度は栗原市の旧築館町に向かった。旧築館町は栗原市役所も位置する中心部だ。内沼を通りながら、中心街を目指していく。
そして、ラムサール条約湿地に指定されている内沼を通ったとき、道路標識に思わず足をとめた。「動物注意」の看板に、渡り鳥が描かれていたのだ。同じ動物注意の看板の大御所といえば、鹿やタヌキだろう。だが、渡り鳥のパターンがあるなんて。しかもその標識のデザインが、非常にスタイリッシュなのだ。
その後、旧築館町の市街地へ。昔ながらの町並みが広がっており、ユニークな像や言葉、絵があって、町の明るさが伝わってきた。あるシャッターには「I ♡ くりはら」の文字が描かれてあり、それを描いているのは「ねじりほんにょ」という栗原市のマスコットキャラクターだった。ねじりほんにょとは、刈り取った稲を棒掛けして乾燥させている「ほんにょ」の姿がねじれている、この地域で見られるほんにょの名称だ。
今は栗原市となっているけれど、その栗原市を大切に思う心があちこちで感じられて、ぼくもこのまちがまた好きになった。
市街地を訪れたのち、薬師公園の双林寺も訪れた。落ち着いた境内に、樹齢1200年を超えるという姥杉もあった。1200年とは、少なくとも人の寿命を12回分は生きていることになる。それだけ生きたら、どんなことを考えるかな。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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