発達専門小児科医の西村佑美氏は、9月27日(金)に、『発達特性に悩んだらはじめに読む本』1,760円(税込)をGakkenから発刊する。現在Amazonにて予約受付中だ。
未就学児からのケアと支援が重要
近年、学習面または行動面で著しい困難を示すとした児童生徒数の割合が増えているという。これは、保護者や教師の特別支援教育に関する理解が進み、今まで見過ごされてきた発達特性のある子ども達により目を向けられるようになったことが一つの理由として考えられている(※1)。
そして、療育機関に通所する発達特性のある子の親の73%が「子どもの行動上・生活面・親自身について困りごとがある」と回答しており、「子どもの将来を考えると不安」を75%、「きょうだいへの負担」を28%の親が感じているという。
「発達の気がかりが最初に生じた時の年齢」は平均で1歳、「子育てが一番大変だった時の年齢」は平均で2歳と回答しており、未就学児の頃からケアと支援をしていくことが、日々不安や困りごとに直面している子どもや家族にとって重要とされている(※2)。
西村氏の思い
西村氏は、重度知的障害合併の自閉症と診断された姉をもつ“きょうだい児”であり、発達特性のある子どもを育てる“当事者ママ”だ。
発達特性がある子どもと家族に寄り添いたいという思いで、発達専門の小児科医になった西村氏。しかし現実には、「勤務医は患者と私情を挟まず、個人的な付き合いをするべきではない」という慣習があり、乳がんで余命宣告を受けた母親に「子ども達が成人になるまで見届けることができない」と相談された時に、同じ母親として寄り添う言葉もかけることができないことに憤りを覚えたという。
このことから、「病院という環境に留まらずママ友のように話しやすく寄り添える存在でありたい」と強く思い、発達特性に悩むお母さん向けの有料オンラインコミュニティ「子ども発達相談アカデミーVARY(バリィ)」を開設。発達専門小児科医としての知識と経験をあわせ、伝えるべき的確な言葉を、相手が受け取りやすい言葉で伝える活動をしている。
西村氏自身も、イメージ通りに子育てができずネガティブになった時期もあったが、「育てがいのある子を授かった」ことを誇りに思い前向きに子育てできる価値観が、同書を通じて子育てに悩む多くの人たちに伝わることを願っているという。
実体験をもとにした発達専門小児科医の著書
同書は、のべ1万組以上の親子の臨床経験、特性のある子の育児実体験をもとにした発達専門小児科医の著書となっている。
「うちの子って、もしかしたら発達障害?」「手のかかるわが子を嫌いになりそう」「普通の子のママがうらやましい…」
この本は、このように子育てに“ちょっと困っている”ママやパパから、子どもの言葉の遅れや困った行動などの大変なレベルで困っている保護者にも、何度でも頼ってほしいという思いで作られた。
小児科専門医、子どもの心理専門医としての医学や知識、療育のエッセンスを取り入れた子育てスキルなどの子どもを伸ばすための子育て方法や、ASDやADHDの発達特性をもつ長男を含む3人の子育てによる西村氏の経験や反省点などを公開している。
また、様々なタイプの悩み別発達相談アドバイスとして、「発達検査や受診はしていないけれど、こどものかんしゃくや園の行き渋りなど、日常生活で困る場面がある」「ASDやADHDの傾向があり、療育にプラスして家庭での伸ばし方を知りたい」「言葉の遅れがあり、知的障害をともなうASDと診断されて落ち込んでいる」「特性のある子と定型発達の子のきょうだいの育て方の違いがわからない」といった、基礎知識を知り子育てマインドをアップデートできる内容が掲載されており、様々なタイプの子どもの心配・困りごとに対応した、子育てのお守りのような本になっている。
さらに、成功体験に繋がるための「アイコンタクト」「注目するほめ方」「注目しない叱り方」などを紹介。コミュニケーションの発達段階に応じた言葉とやりとり力の伸ばし方、心理学をもとにした「ABC分析」でかんしゃくを減らす方法なども掲載している。
そして、特性のある子は、小さな成長に何度も感動を与えてくれる「育てがいのある子」で、“ポジティブな目線(肯定的注目)”を使い成長を信じて接していくと、親の想像を超えて大きく伸びていくということを伝えている。
『発達特性に悩んだらはじめに読む本』をチェックしてみては。
※1:通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について 文部科学省 令和4年
※2:療育機関に通所する発達障害児の親が感じる困りごととペアレント・メンターへの相談希望に関連する要因 日本ペアレント・メンター研究会 2018年
(yukari)