日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、宮城県旧中田町(登米市)を写真とともに紹介する。
Vol.313/宮城県旧中田町(登米市)
次に訪れたのは、旧中田町だ。「ナカタ」と読みたいところだけれど、「ナカダ」と読む。最初に「かがの公園」という住宅地にある公園で、「浮石」という丸い石を見た。大きな丸石が回っている。しかも、下からは水が噴水のように湧き出ている。さらに、大きな丸石は世界最大級(1.9トン)らしい。
どうやら、パスカルの原理(=わかっていない)を使って、浮かんでいるのだそうだ。
と、不思議な石を見たあと、「石ノ森章太郎ふるさと記念館」を訪れた。漫画家、石ノ森章太郎氏のふるさとが、旧中田町なのである。
最初に同記念館の企画展で、西岸良平さんの『西岸良平画業50周年記念展』があり、そちらは撮影も可能だった。ぼくはほんとうに不勉強なので、西岸良平さんが、『三丁目の夕日』の作者であることを存じていなかった。不勉強なりに、訪れた先で知ることが新鮮だ。
そして、そのあと石ノ森章太郎さんの常設展を見た。まず、石ノ森章太郎さんのことは、最近すごく聞いたことがあった。どこで聞いたのだろう…。
と思った矢先、最初にトキワ荘の写真が出てきて、
「トキワ荘だ!」
と記憶がつながった。そう、豊島区のトキワ荘マンガミュージアムにも行ったことがあったから。
さらに、石ノ森章太郎さんが、『仮面ライダー』の作者だったことも知らなかった。数々の偉業を拝見し、とにかく作品の数、丁寧なタッチ、熱量に圧倒され、来ることができてよかったという気持ちで、記念館を後にした。
記念館の周囲を少しだけ散策すると、住宅街は静かで、小さな暮らしの気配が流れていた。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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