日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、宮城県旧鳴瀬町(東松島市)を写真とともに紹介する。
Vol.319/宮城県旧鳴瀬町(東松島市)
東松島市の旧鳴瀬町へ向かうと、いよいよ海が近づいてくる。鳴瀬川も川幅も広がり、空も広い。これまで大崎市、栗原市、登米市といった、宮城県の内陸のまちを巡ることが多かったけれど、多分景色が大きく変わるなあと思った。
ありがとう、宮城県の内陸部! 思い出深い出会いがたくさんありました。
旧鳴瀬町では、野蒜(のびる)海岸を越えて、大高森という小高い山の山頂から、松島や石巻の景色を眺めた。
登山口では一人の若い男性と出会い、挨拶を交わしているうちに、一緒に登る流れに。それでも、お互いに名前は名乗らない。仕事は何しているのかとか、細かなことも聞かない。さらっとした雑談の中で、汗をかきながら登っていく。そうして展望台に辿り着き、「ありがとうござました!」と自然と解散した。お互いのことを聞かなくても、良い関係性は成り立つ。気持ちのいい景色を眺めながら、小さな思い出ができたなあと思った。
彼は今頃どこにいるのかな、って思う。
大高森を降りてからは、「あおみな」という施設にも立ち寄った。道の駅と似ていて、特産品も販売している。この地域は日本三景の松島の東に位置し、「奥松島」と呼ばれている観光地だ。隣の松島は、全国的にも有名な観光地でお客さんも多いけれど、奥松島へ訪れれば、よりゆったりとした時間が流れているのかもしれない。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
仁科勝介公式Twitter:https://twitter.com/katsuo247
仁科勝介公式Instagram:https://www.instagram.com/katsuo247