廣度院練塀保存委員会は東京文化財ウィーク2024の開催にともない、廣度院の練塀の内部構造を特別公開するほか、体験型イベントを開催する。
「廣度院」の登録有形文化財「練塀」
廣度院(こうどいん)は東京都港区芝公園にある寺院で、表門および練塀(ねりべい)が登録有形文化財に登録されている。
廣度院の練塀は、二度目となる解体調査が2023年5月に行われ、重要文化財資料『江戸城造営関係資料(甲良家伝来)·塗師方壁方瓦方当時時并本途内訳』にある江戸城「西丸吹上」図版と構造工法が一致していることが解明された。
かつて増上寺境内一帯に練塀があったが、現在、内部構造まで確認できるのは廣度院の練塀のみと貴重な存在だ。しかし、調査保存修復には多大な費用がかかり、多くの人の協力が欠かせない。そこで、貴重な文化財である練塀を守り伝えて行くため、東京文化財ウィーク2024の開催にともない、さまざまなイベントが開催される。
10月27日、11月3日は練塀造営体験を実施
10月27日(日)、11月3(日) 13:00~15:00には、「練塀を造営しよう!」が行われる。これは、前述の『江戸城造営関係資料集』に記された江戸城・増上寺三門左右そして廣度院の練塀を解き明かした工学院大学客員研究員・菅澤茂氏監修のもと、自分の手で練塀を造るというもの。
各回定員10組で参加は無料。期間中、無料で公開されている内部構造の見学も可能だ。参加したい人は応募フォームから申し込もう。
10人の専門家が登壇!無料文化財講座
10月26日(土)~11月4日(月)の期間、10人の専門家による「心に響く、練塀ヘリテージマネジメント講座」が行われる。
参加は無料だが、応募フォームからの申し込みが必要となる。講座の日時、講師、テーマについては応募フォームにて確認しよう。
港区の歴史を感じて「練塀」を知る、散策会
江戸時代、練塀は、寺社仏閣や武家屋敷など、江戸のまちのさまざまなところに存在していた。そんな練塀を知り、また港区の歴史を感じる散策会が行われる。
散策会は3コースあり、「増上寺周辺の歴史を巡り」は豊富なガイド経験を持つ近藤圭二さんのオリジナル企画。廣度院の表門と練塀を見学した後、増上寺周辺の歴史を巡るコースとなっている。
このほか、廣度院副住職による「増上寺参拝と江戸時代の練塀探索」「増上寺山内散策と江戸時代の練塀探索」も実施される。
いずれも参加は無料だが、応募フォームからの申し込みが必要(「増上寺参拝と江戸時代の練塀探索」は参拝料が別途必要)。各コースの日程や詳細については応募フォームにて確認しよう。
無料講座あるいは散策会に計5回以上参加すると、川瀬巴水「雪の増上寺」印鑑マットがもらえる。
「みんなで、ねりべい博士になろう!」スタンプラリー
かつて、増上寺大門左右から三解脱門左右までは練塀の参道があった。この参道にあるお店の協力を得て、練塀クイズ・スタンプラリーが開催される。廣度院会場・サテライト会場にてスタンプを制覇して、記念の絵葉書をもらおう。
甘酒専門店の厳選グッズ特別販売
東京都港区大門・浜松町にある「こめどりーみんぐ」の出店もある。同店は甘酒を中心に、麹調味料や甘酒入りのプロテイン、さらにお米のアクセサリーなどを販売するカフェだ。
今回は廣度院とのコラボ甘酒を販売。売上の一部は練塀の保全・調査費に寄付される。さらに、サテライト会場である店頭と廣度院等でスタンプを集めると絵葉書をもらえる。
御朱印・御守り・瓦寄進
御朱印、御守りの授与もある。御朱印、御守りともに、授与は廣度院開山以来、初めてだという。
御朱印は、江戸城・増上寺の練塀内部構造を廣度院で唯一確認できた記念に。
御守りは、練塀が無事頑丈であったことから、「安穏無事」の利益が宿っており、日々の暮らしにおいて平穏と安心をもたらす力が込められている。この機会にぜひ手に入れよう。
また、瓦寄進も受け付けている。2025年より廣度院練塀の修繕工事が再開されるが、修復にあたり、練塀内部に納まっていた欠け瓦が出土している。寄進は、この瓦に想いを込めて、練塀内部に納め直すというもの。寄進を通じて欠け瓦に新たな命を吹き込み、未来へと伝統を繋ぐ手伝いをしてみては。
人力車で東京タワー周辺の歴史文化に触れよう
京みなと人力車 田中屋を利用すると、廣度院の練塀に準えた東京タワー周辺の歴史文化を案内してもらえる。絶景フォトスポットでは持参したスマートフォンやカメラで撮影もしてもらえる。
この秋、練塀を通じて江戸時代の歴史文化を体感してみては。
■廣度院
住所:東京都港区芝公園1-8-16
廣度院・公式情報サイト:https://neribei.com
「公開講座」「練塀造り体験」「港区歴史散策会」応募フォーム:https://forms.gle/8BWrak1tN8C99H3e8
(オガワユウコ)