京都市東山区の泉涌寺では、11月9日(土)~12月1日(日)の期間、秋の特別公開として、通常非公開の舎利殿を特別公開する。
同公開は、「第60回京都非公開文化財特別公開」の事業の一環として、昭和40年にはじまった文化財愛護の普及啓発事業で、文化財を公開することにより、文化財保護の関心を高めるという趣旨のもとに実施される。
貴重な「韋駄天像」を公開
泉涌寺は四条天皇以来、皇室の御菩提所として歴代天皇御葬儀の多くが営まれ、江戸時代に入ると歴代天皇・皇后らの陵墓が境内に設けられ、以後全国にひとつしかない御寺として、脈々と守り受け継がれてきた。
一般への公開が許されたのは、昭和30年代に入ってからのことだそう。
今回の特別公開では、これまで一般に公開されることがほとんどなかった舎利殿内陣の「韋駄天(いだてん)像」を公開するほか、12年に1度辰年に公開される狩野山雪筆「雲龍(うんりゅう)図」の鳴き龍体験を期間限定で実施。
泉涌寺の舎利殿は、仏牙舎利(釈迦の歯)を奉安する貴重な霊殿であり、仏牙とは、仏の歯のうち4本しかない犬歯のことで、そのうちの1本が泉涌寺に祀られている。仏法を説いた釈迦の口元にあったため、他の仏舎利よりありがたいとされているという。
また、公開期間に合わせて、秋季限定の御朱印に加え、舎利殿鳴き龍の限定御朱印を授与してもらえる。
紅葉の御座所庭園と併せてお参りしてみよう。
楊貴妃観音像にも注目
さらに、泉涌寺の大門をくぐってすぐ左手奥にある御堂には、寛喜2年(1230)に南宋から請来した木像の「聖観音(楊柳観音)」が安置されている。像容の美しさから、玄宗皇帝が亡き楊貴妃の面影を写させて造像したとの伝承を生み、江戸時代初め頃から「楊貴妃観音像」と呼ばれ信仰される泉涌寺の秘宝だ。
800年の月日を越えてもなお彩色が多く残り、生けるが如くに端坐する姿は、その名に相応しい尊像。昨今では容姿だけでなく、また性別にかかわらず、人としての内面、心も美しくありたいと願う多くの人々から美人祈願の観音様として親しまれているという。
拝観料をチェック
拝観料を紹介しよう。
伽藍拝観は500円/小中学生300円で、仏殿・楊貴妃観音堂・宝物館(心照殿)などを拝観することができる。特別拝観は500円/保護者同伴の小学生以下無料で、御座所・御座所庭園を拝観することができる。
なお、今回の特別公開の拝観の際は、泉涌寺に納める拝観料とは別途、1,000円/中高生500円が必要。拝観料は、貴重な文化財を未来に伝えるため、保存修理・維持管理等に役立てられる。拝観受付時間は9時~16時だ。
舎利殿特別公開に足を運び、歴史を感じてみては。
■第60回京都非公開文化財特別公開 泉涌寺 舎利殿拝観
場所:総本山 御寺泉涌寺
住所:京都府京都市東山区泉涌寺山内町27
特別公開 拝観受付時間:9時~16時
総本山 御寺泉涌寺 拝観時間:9時~17時(12月~2月は16時30分まで)
※拝観受付は閉門30分前まで
※行事により一部施設が拝観できない日や時間がある
京都古文化保存協会事務局:http://www.kobunka.com/index.html
総本山 御寺泉涌寺:https://mitera.org
(ソルトピーチ)