OVAは12月23日(月)、児童生徒へ配布される1人1台端末向けブラウザ拡張機能「SOSフィルター」に関する11月のデータを公開した。
約34人に1人が悩みに関する検索を行っている
11月末時点で、5つの教育委員会、1つの私立中高一貫校でのインストール数は6万1,129台(※)となっており、ポップアップが表示された回数5,144回、ユーザー数は1,799となった。
これにより、約34人に1人の割合で、悩みに関する検索が行われていることが分かる。
カテゴリー別に見ると、「精神疾患」の表示回数が全体の約48%(2,486)を占め、続いて「自殺」が約18%(915)、「学校での人間関係」が約15%(792)となった。
キーワードの一例は、精神疾患が「寝れない」「メンタルつらい」「うつ」、自殺が「死にたい」「消えたい」「自殺」、学校での人間関係が「ハブられるつらい」「いじめ 辛い」「友人関係 悩み」など。
キーワード別では、「死にたい」「精神疾患」「自殺」「摂食障害」「いじめ」といった言葉が多く検索されていることが分かる。詳細は次の表の通り。
カテゴリー別の表示回数は上の画像の通りで、
キーワード別の表示回数上位15個は上の画像の通りとなっている。
児童生徒の深刻な悩みに対処するSOSフィルターとは
SOSフィルターとは、「GIGAスクール構想」に基づき、児童生徒に1人1台への配布が整備されている学習用端末(1人1台端末)で深刻な悩みに関するワードを検索した際、相談窓口やセルフケアに関する情報をプッシュ型で届けられるブラウザ拡張機能だ。
検索キーワードは、「自殺」「学校での人間関係(いじめ等)」「家庭での人間関係(虐待等)」「性暴力」「自傷」「精神疾患」と計6つのカテゴリーで、約5,000個を設定。
2024年12月現在、「GoogleChrome」と「Microsoft Edge」ブラウザに対応している。
個人の特定や学校への通知がないから安心して使える
現状の1人1台端末は、検索キーワードのフィルタリングが強く設定され、特定の内容は結果が表示されない場合がある。
有害な情報に触れさせないことは自殺予防の観点からも大切だが、「死にたい」といった感情の吐露ともいえる検索行動を制限されると、生徒は抱える悩みや感情を否定されているように感じる可能性がある。
また、SOSを早期に把握する1人1台端末向けツールは既にあるが、深刻な悩みに関するキーワードで検索をすると生徒の事前の同意なく学校に自動で通知が届くものや、検索結果を出ないようにするものがある。そのため、児童生徒が安心して利用することができない。
さらに、その多くが有償であり、予算を確保できる教育機関しか導入できず、地域差が生じるという課題がある。
そこで、SOSフィルターは無償であり、かつ検索した生徒個人を特定したり、学校に通知が届いたりといった設計はあえて行わないようにした。
検索内容によっては学校や児童相談所が介入すべきケースもある。ただ、1人1台端末で深刻な悩みに関する検索行動が行われており、多くが何らかの対処をされていない、また対処されている場合でも監視・制限的な対応をしている現状を考えることにした。
そこで、まずは「児童生徒が安心して利用でき、援助要請・セルフケアの能力を高められる無償ツールを全ての教育機関に提供したい」と、開発を決めた。
子どもが抱える問題について知りたい人は、SOSフィルターをチェックしてみよう。
SOSフィルター詳細:https://sos-filter.ova-japan.org
※ 学校・教育委員会以外でも利用できる「一般向け」版のインストール数が4万台弱あり、SOSフィルター全体では12月19日(木)時点で、10万8,378万台に活用されている。
(佐藤 ひより)