
「手の長いおじさんプロジェクト」は、児童養護施設や里親家庭を巣立つこどもたちを対象とした「うつわとお洋服のお渡し会」を、2月14日(土)、3月21日(土)、5月16日(土)に開催する。
硝子作家の石川昌浩氏により発足
「手の長いおじさんプロジェクト」は、2011年の東日本大震災をきっかけに、硝子作家の石川昌浩氏の呼びかけで発足。
社会的擁護下で暮らすこどもたちを思い、わずかな傷等により商品にならない「ハネモン」をこどもたちに贈る活動から始まった。
当初は任意団体として、趣旨に賛同する器の作り手や配り手が有志で参加し、児童養護施設や里親家庭、母子保護施設などの社会的養護下で暮らすこどもたちに器や洋服を届けてきた。

2018年よりマザーディクショナリーが運営支援を本格的に開始。2021年からアパレル企業の協力者も加わり「うつわとお洋服のお渡し会」として、巣立ちゆく若者たち一人ひとりに手渡しするイベントを継続的に開催している。
今年で6年目を迎えるイベント

6年目を迎える「うつわとお洋服のお渡し会」は、春から新生活を始めるこどもたちが、器や洋服を「自分で選ぶ」体験を通して、これからの暮らしを思い描く機会を提供するという取り組み。
この春に児童養護施設や里親家庭などを巣立つこども・若者、自立援助ホーム・母子生活支援施設などを利用している人が参加対象者だ。

会場には陶器、ガラス、木工などの作り手から提供された器やカトラリーと洋服が並ぶ。
器は、「ハネモン」と呼ばれる小さな傷などの理由で商品とはならないものの、日常使いには全く支障のないもの。洋服は、アパレルブランドから寄せられるサンプル品や販売余剰品だ。

作り手やブランドの思いや背景のある日用品が、これからの人生を自分らしく歩んでいくための一つのきっかけとなっている。
「18歳の壁」を越える試み
社会的養護のもとで育ったこども・若者は、18歳前後で自立を求められるケースが多く、進学や就職、生活面において、同世代と比べて厳しい状況に置かれがちだという。
2024年4月には改正児童福祉法が施行され、年齢による一律の上限は見直されたが、施設の事情などから退去を余儀なくされる例もあり、現在もなお「18歳の壁」は社会課題として残っている。

このイベントでは「社会的養護下から巣立ちを迎えたこどもたちが、日用品を実際に手に取って選べる」「工芸作家、アパレルブランドなどの作り手の想いや背景がある器や洋服に出会える」「団体スタッフや作り手と会話をしながら、ゆっくり選ぶ・暮らしを考える時間を大切にしている」ということが特徴。

手仕事ならではのぬくもりを感じる器や、新生活に寄り添う洋服を手渡すことを通して、新しい暮らしを始める節目に、同イベントを通じて応援の気持ちと交流の機会を届けていく。
参加者の声

日々の暮らしを彩る器やお洋服を受け取った参加者からは、さまざまな声が寄せられている。

児童養護施設から自立した人からは「うつわ一つ一つ、それぞれの個性があってとても迷いました。すてきなうつわに出会えてうれしいです」、「それぞれ形は勿論、風合いや色合いが面白く、キッチンに行くだけで嬉しくなりそうです」という声が、里親家庭から自立した人からは「生地が良いお洋服だったり、普段使いもしやすいお洋服がたくさんあってありがたいなと思った」という声などが寄せられている。
プロジェクト代表からのコメント
また、手の長いおじさんプロジェクト代表・尾見紀佐子氏は「児童養護施設等を卒業し、ひとり立ちをしなくてはならないこどもたちに、直接、器を手にとって選んでもらうことを通して、器の扱い方や作られた背景をお話ししながら、さまざまな人たちが応援しているよ、いつでも立ち寄れる居場所があるよ、ということも伝える機会にできたらと思っています。
今後はNPOとして法人化し『こどもたちにクリエイティブな体験を通して希望を生み出し、関わるすべての人が未来を創造できる循環を育むこと』を目的とし、さらに活動の輪を広げていく予定です」と語っている。

若者の新しい門出を社会が祝福し、巣立ちを後押しする温かみのあるイベント。今後にも注目したい。
■第6回「うつわとお洋服のお渡し会」
開催場所:景丘の家(東京都渋谷区恵比寿4-5-15)
開催日程:2月14日(土)・3月21日(土)・5月16日(土)
開催時間:11:00~13:00/14:00~17:00
参加費:無料※十分な提供数を確保するため事前申込を推奨
申込フォーム:https://forms.gle/BzG1pVE6kPBz1fPa9
「手の長いおじさんプロジェクト」:https://motherdictionary.com/tenonagaiojisan
(鈴木 京)