
秋田キャッスルホテルは、欠けや摩耗などの理由で使用されなくなり、バックヤードで長期間保管されていた陶磁器製の皿約400枚を、廃棄せずにリペアして再生した。皿の表面を研磨し、欠けや摩耗を補修したうえで、新たに秋田らしい柄を絵付けし焼き直した食器を活用することで、地域性を活かしたおもてなし向上を図る。
修復と再デザインによって新たな価値を

金彩のかすれや表面の摩耗などが生じた皿
ホテルには長年の運営の中で蓄積された食器があり、料理や宴会スタイルの変化などに伴い、その活用方法も変化していく。今回再生した皿は、20年以上前に購入し、婚礼料理やレストランで使用していたもの。

その後、使用する機会がなくなり、バックヤードで長期間保管されていた。

秋田キャッスルホテルでは、それらを単なる廃棄対象として捉えるのではなく、修復と再デザインによって新たな価値を生み出し、再び活用できる器として再生。食器リペアによって機能性を回復させるだけでなく、現在の料理や空間にも調和するデザインへと生まれ変わらせている。

リペア前(左)とリペア後(右)
同取り組みは、食器を修復して再利用するアップサイクルの考え方を取り入れたものであり、食器の長寿命化と廃棄物削減を図りながら、限りある資源を有効に活用する資源循環の取り組み。新たな食器を製造・購入する場合と比較して、リペアにより約70%のCO₂排出削減(※)が見込まれており、サステナブルなホテル運営につながるものだ。
秋田らしさを感じられる器に

秋田産の食材を取り入れた前菜を盛り付け、料理と器で秋田を表現
今回リペアした食器には、秋田の伝統工芸・組子細工にも用いられる「麻の葉模様」を取り入れた。

放光の間

秋田の伝統工芸「組子細工」をイメージし、麻の葉模様を取り入れた照明装飾
同じ模様は、ホテルのメイン会場「放光の間」の照明装飾にも用いられている。会場空間と器のデザインをつなげることで、料理とともに秋田らしさを感じられるおもてなしを目指す。
環境配慮にもつながる取り組み

CO2排出量削減と環境負荷低減のイメージ
陶磁器製の食器を新たに製造するためには、原料の採取、成形、焼成、輸送など多くの工程が必要となる。今回の取り組みでは、既存の食器を修復して再利用することで、製造工程の多くを省くことができ、新たな食器の製造・購入を抑える。その結果、食器の長寿命化と廃棄物削減を実現し、循環経済の推進やCO₂排出量の削減にもつながる。
ホテル業界において、環境配慮への取り組みが重要となるなかで、同取り組みはSDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」にも通じるもの。食器を単なる消耗品ではなく、手を加えることで長く活用できる資産として捉え、長期的に活用することが可能だ。
今回の食器リペアは、ホテルにおける循環経済やサステナビリティを考えるうえでの実践事例のひとつであり、ホテル業界が抱える課題に対して、新たな選択肢を示す取り組みでもある。
持続可能なホテル運営

秋田キャッスルホテルでは、2011年に「エコホテル宣言」を行い、個別空調システムの導入、

日射調整用遮熱フィルムの貼付、

エコステイプランの販売、

プラスチック使用量の削減などを通して、環境負荷低減に向けた活動を継続してきた。今回の食器リペアも、その一環だ。
また環境負荷の低減だけでなく、地域の文化や伝統をサービスに取り入れることも大切にしている。
同取り組みでは、環境への配慮と秋田らしいおもてなしの価値を器に重ねた。今後も、さまざまな資源を大切に活用しながら、地域文化と調和した価値創造を通じて、持続可能なホテル運営を推進していくとしている。
廃棄食器の課題解決に取り組む「おぎそ」
「おぎそ」は、業務用食器の製造・販売を手掛ける企業。長年にわたり、回収した使用済み食器を原料の一部として活用するリサイクル食器の開発・普及に取り組むほか、近年は、使い尽くした食器を修復して再利用するリペア事業を展開している。
同社では、こうした取り組みを「regenerative(リジェネレイティブ/蘇生)」と位置付け、ホテル業界が抱える廃棄食器の課題解決と循環経済の推進に取り組んでいる。
秋田キャッスルホテルについて

1970年7月7日開業の秋田キャッスルホテルは、客室数150室、大小11の宴会場、料飲店舗5施設を有する秋田を代表するシティホテル。医療施設エリア「メディカルモール」やホテルオフィス、テナントショップなどを併設し、地域の活動拠点としてあらゆるシーンで利用できる。2001年よりホテルで培ったノウハウとおもてなしの心を活かした病院・福祉施設の食事提供を行う「メディカル給食事業」も展開中だ。
環境に配慮しながら秋田らしいおもてなしを形にする、秋田キャッスルホテルの取り組みをチェックしてみては。
■秋田キャッスルホテル
住所:秋田県秋田市中通一丁目3番5号
公式HP:https://www.castle-hotel.jp
※CO₂削減効果はおぎその試算に基づく。
(erika)