12/12(金)、13(土)には若手農業者による「いこまニューファーマーズマルシェ」を開催
奈良県生駒市は、農業従事者の高齢化や担い手不足により、耕作放棄地が増加し農地維持が課題となる中、次世代の農業の担い手を育成するべく、新規就農を目指す人が特にサポートを必要としている、農業の「始め方を学ぶ」「相談できる繋がりを作る」「買い手となる消費者・お店と繋がる」という3つの段階に寄り添った一気通貫の就農支援にまちぐるみで取り組んでいます。これらの取り組みの成果などもあり、市内では昨年度は法人を含む11組の新規就農者が誕生するなど、農の担い手が増加しました。
生駒市による一気通貫の新規就農者 支援

▲就農支援「ファーマーズスクール」
▲先輩農家との交流支援
▲市内飲食店が協力「いこまレストラン」
また2025年12月12日(金)、13日(土)の2日間では、新規就農者を輩出する「いこまファーマーズスクール」の卒業生も参加する、若手農業者のための販売イベント「いこまニューファーマーズマルシェ」を、2025年7月12日(土)に続き2日間に拡大して開催いたします。


▲7月12日開催の様子
ファーマーズスクールについて
■ いこまファーマーズスクールの特徴
マルシェに出店する新規就農者を輩出している「いこまファーマーズスクール」は、農業者が減る中、農地を守るための多様な担い手育成を目指して令和4年度に開講した事業です。
住宅都市ならではの農業モデルを確立へ
山に囲まれ、まとまった農地が少ない住宅都市である生駒市は、「半農半X」(農業以外の仕事をしながら農業を始める人)人材の育成を通して、地域独自の農業モデルの確立を目指しています。
◇高い人気と実績:
開講以来、累計で105組159人が受講。毎年度前期・後期の募集を行い、応募倍率は2~5倍と市民の関心は非常に高く、これまでにスクール卒業生から3組4人が新規就農を果たしています。
◇農水省も注目:
市直営で担い手育成を行う事例は珍しく、農林水産省の補助金を活用するほか、近畿農政局などからの取材やその他メディアでも取り上げられています。
■ いこまファーマーズスクールの概要
・対象:農業をしていない人
・期間:4月からと10月からの半年間、年2期開催(主に毎週日曜日に3時間程度)
・講座内容・場所
実践…生駒市小明町の共同体験農園(毎週1日)
座学(季節野菜、土づくり、病害虫防除について等)(期間中6回程度)…市役所会議室
※その他、直売所や生産農家、農業祭の見学なども実施
・定員:15組(1世帯2人まで)
・費用:10,000円
(参考)いこまファーマーズスクールの実績
これまでの累計申込者数 75組(15組×5期)
令和4年度15組(75組申込。倍率5.00倍)
令和5年度前期15組(60組申込。倍率4.00倍)
令和5年度後期15組(33組申込。倍率2.20倍)
令和6年度前期15組(67組申込。倍率4.47倍)
令和6年度後期15組(78組申込。倍率5.20倍)
令和7年度前期15組(57組申込。倍率3.80倍)
令和7年度後期15組(45組申込。倍率3.00倍)
ファーマーズスクール卒業生と先輩農家の交流・継続支援について
■ 卒業生のフォローアップを実施
受講期間中に、市内の農家を見学するだけでなく、卒業後も、以下の支援に取り組んでいます。
・市内遊休農地や市民農園等の情報提供
・市内農家のもとでの研修案内(受入農家には市から謝礼を支払いサポートも実施)
・農業に関する講演会やイベントなどの情報提供 など
■ 専属職員による新たな支援体制
今年9月からは、農業推進担当として専属の職員2人を新たに雇用。これまでの圃場実習や座学に加え、学校給食への野菜納品を通じた地産地消推進や、農福連携、卒業生のフォローアップなど、多角的な支援にチャレンジしています。
これらにより、新規就農者の方が実際に農業を始めてみて直面する課題に対しても相談できる相手がおり、安心して継続できるような環境をなるべく提供しています。
いこまニューファーマーズマルシェ について
新規就農者は地域とのつながりが少ないことが多く、農産物を販売する場所が限られているという課題の一つを解消するために企画された、新規就農した若手農業者に販売する場を提供し、みんなで応援しようと実施する取組です。
■ いこまニューファーマーズマルシェの特徴
◇ファーマーズスクール卒業生も参加:出店者の中には、いこまファーマーズスクールで学び、本格的に就農した卒業生2組(いずれも1期生)が含まれています。
◇新規就農者をみんなで応援:会場やホームページに、出店者の顔写真や簡単なインタビューを掲示。イベント後も顧客とのつながりが継続するよう、野菜が買える場所も紹介します。
◇第1弾(2025年7月12日(土))では出品野菜がほとんど完売: 前回の盛況を受け、今回は夏には参加できなかったイチゴ農家も初めて加わり、市民へ若手農業者を紹介し、農業への関心を深めてもらう機会とします。
■ いこまニューファーマーズマルシェの概要
◇とき・ところ
12月12日(金)・13日(土)、10:00~12:00頃、アントレ広場(生駒市谷田町1600)
◇出店農業者 6組
■ 出店農業者(順不同)
◇生駒彩園/松本光則さん(就農1年目)
生活の拠点だった生駒で新規就農し、自分の野菜が地域の人たちの選択肢の一つになればという思いで野菜を育てている。スーパーなどの量販店で見かける野菜とは、少し違う個性がある野菜を育てることで、お腹を満たすだけのものではなく、毎日、食卓に上がっても、飽きがこないような野菜づくりを心がけている。

◇いこま満天ファーム/山本昌史さん(就農5年目)
野菜づくりには「モノづくり」と共通するおもしろさがあり、前職の経験も活かしつつ、試行錯誤して自分の農スタイルを確立させていきたいと考えている。また、地元豆腐店で廃棄になるはずだった「おから」から有機肥料を作るのがこだわり。地元の資源を有効利用したおいしい野菜づくりを心がけている。

◇きよの杜農園/清森大輔さん(就農1年目)
完熟収穫にこだわり、甘みがいっぱいのイチゴを手間暇かけて育てている。高山町で就農。自身の農園での直売の他、市内外の直売所などで販売している。これまでお世話になった皆さんに恩返しができるように農業を続けていきたいと考えている。

◇こぐまファーム/青山資史さん・佳子さん(就農1年目※)
ファーマーズスクールで学び、周りから刺激を受ける中で、生駒で農業を始めたいという思いを募らせる。個人事業主として様々な事業をしながらも、農業を核にした「半農半X」を目指す。安心・安全の野菜づくりをモットーに栽培期間中に化学肥料や農薬を使わない「やさしい農業」を心がけている。

◇南田原ファーム/本多季美さん(就農1年目※)
調理師として生駒市の給食センターに携わってきた。こどもたちにより安全な野菜を届けたいという想いを突き詰め、野菜を作ることに。子育て中で、家事にも追われる日々だが、化学肥料を使わないまろやかでうまみのある野菜を作り、いずれは学校の芋掘りなどの体験学習などにも貢献したいと考えている。

◇未来農業研究所/森田広幸さん(就農8年目)
作った野菜を家族が「おいしい」と喜んでくれたのが就農を決めたきっかけ。季節に合わせてさまざまな野菜を作るが、中でもミニトマトと白ネギはとことんこだわって栽培。高山の田園風景に惚れこみ、生駒で農業を始めた。その風景がいつまでも続くように、これからを担う農業者を育てていきたいと意気込む。

※はファーマーズスクール卒業生(いずれも1期生)
いこまレストラン について
■ いこまレストランの特徴
生駒市内の生産者と飲食店を直接つなぎ、生駒農業の活性化と地産地消を推進する企画です。
https://www.city.ikoma.lg.jp/0000025012.html
◇差別化されたメニュー開発:
生産者と直接話し、畑の様子や野菜の生産状況を理解した上で仕入れを行うため、生駒産野菜の特性を生かしたメニュー開発ができ、お店の差別化につながります。
◇消費者の声の反映:
試食会後にワークショップを開催し、試食モニターの率直な感想を聞き、新メニュー開発の大きなヒントや、リピーター獲得のきっかけなどになります。
◇仕入れ先と認知の強化:
地元の生産者から直接仕入れするルートを確保でき、また、SNSや市公式の広報により「原料にこだわった店」として認知獲得につながります。
■ いこまレストランの概要
◇目的:生駒産野菜を活用したメニュー開発と地産地消の推進、および新規顧客層の獲得。
◇対象者:協力飲食店(生駒市内で営業)、市民モニター(新メニューの試食参加者)。
◇企画内容
1.:生産者と飲食店のご紹介(仕入れ先の確保)
2.:試食会(いこま野菜について学びながら試食)
3.:ワークショップ(意見交換を通じて課題解決や理解を深める)
◇開催頻度:年3回程度を予定。
◇募集状況:協力飲食店、市民モニターともに随時募集中。
・協力飲食店申込フォーム
(https://www.city.ikoma.lg.jp/cmsform/enquete.php?id=2223)
・市民モニター申込フォーム
(https://www.city.ikoma.lg.jp/cmsform/enquete.php?id=2227)
■農業推進担当プロフィール

◇森田 広幸(写真左)
生駒市農林課。脱サラして農業歴8年目、普段は白ネギやミニトマト、ナスなどを育てています。私自身は農業の知識ゼロからの就農でした。講師として農業の基本だけでなく、私の経験や農業をやる人にしかわからない工夫・苦労を伝えて、同じ道を目指す人の助けになりたい。そして何より、野菜作りの楽しさを知ってほしいと思って活動しています。
◇藤谷 隆史(写真右)
生駒市農林課。令和3年、地域活性化事業会社において中山間地域で新規就農。農業者の高齢化、後継者不在、有害鳥獣の農作物被害などを目の当たりにし、地域農業を守っていく必要性を強く持ちました。現在は、自宅近くの畑で、夏秋ナス、オクラ、スイートコーンなどを栽培し、直売所に出荷しています。多様な「農」への関わりをサポートさせていただきたいと思っています。