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全国空き家対策コンソーシアム

全国の市区町村別で放置空き家率の推移がわかる「全国放置空き家率増減MAP」を公開

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「三大都市圏への人口集中」と「都道府県内での県庁所在地への集積」により空き家問題が加速

 産官学連携で空き家問題に取り組む非営利団体「全国空き家対策コンソーシアム(代表理事:株式会社クラッソーネ 代表取締役CEO 川口哲平、以下:本コンソーシアム)」は、住宅・土地統計調査のデータをもとに、「全国放置空き家率増減MAP」を作成し、2008年から2023年にかけての「放置空き家率」の変化を、全国1,047市区町村について分析しました。

■分析結果サマリー
 住宅・土地統計調査のデータをもとに、2008年から2023年にかけての「放置空き家率」の変化を、全国1,047市区町村について分析しました。分析の結果、以下の2つの事象が明らかになりました。
- 事象1. 三大都市圏(南関東・近畿・東海)では放置空き家率の上昇が全国平均の約3分の1以下にとどまる
- 事象2. 47都道府県中42県(89%)で、県庁所在地の上昇率が都道府県全体を下回る

 これらの結果により、日本の空き家問題が「三大都市圏への人口集中」と「都道府県内での県庁所在地への集積」という二重の引力によって構造的に加速していることが考えられます。
 二重の引力構造に基づき地域を類型化した上で、地域の実態に即した施策を国・基礎自治体・民間企業がそれぞれ推進することが必要だと考えられます。
■全国放置空き家率増減MAP
 総務省が発表している「住宅・土地統計調査」の2018年、2023年のデータを用いて、「全国放置空き家率増減MAP」を作成しました。放置空き家率は放置空き家数 ÷ 住宅総数で算出し、放置空き家率の変化値(2023年値 − 2008年値)を地図上で示しました。赤(+20%以上)に近いほど上昇が大きく、青(−20%以下)に近いほど低下していることを意味します。

 首都圏・大都市圏周辺は全体的に白~薄ピンクの低上昇域となっており、地方部・山間部ほど赤が濃くなっています。

▼下記URLより全国放置空き家率増減MAPを利用できます
https://www.crassone.jp/special/map-chart/index.html

放置空き家率の変化マップ(2008→2023年) 色基準:−20%(青)~ +20%(赤)

■分析結果詳細

分析対象のデータ

[表1: https://prtimes.jp/data/corp/168782/table/7_1_8acfdaa4d2608fe5d04fd00ebf93718a.jpg?v=202605040745 ]

事象1.:三大都市圏で上昇が顕著に小さい

 11地域区分別に放置空き家率の上昇値(2008→2023年の変化)を集計すると、南関東(首都圏)が+0.59ポイントと最低水準を示し、近畿(+1.90ポイント)、東海(+2.31ポイント)がそれに続きます。一方、四国は+6.49ポイントと最大で、南関東の約11倍に達しています。

 首都圏を中心とした三大都市圏に人口が継続的に流入しており、それ以外の地方圏では住宅の担い手を失って放置空き家が増加していると考えられます。特に四国は2008年時点でも既に空き家率が高い水準にあり、「もともと多い地域がさらに悪化する」という構造的な問題を抱えています。

補足:
・東海(+2.31pt)は北海道(+2.13pt)を若干上回っており、厳密には「南関東・近畿・北海道・東海」の順となります。三大都市圏という区分では上昇が小さいことは確かです。
・沖縄(+0.46pt)が最小となっているのは、観光需要や移住人口の増加、新規住宅供給の増加という独自の事情が背景にある可能性があります。

事象2.:県庁所在地の上昇が県全体を下回る傾向

 47都道府県すべてについて、都道府県全体の放置空き家率の変化と、県庁所在地の変化を比較しました。その結果、42県(89%)で「県庁所在地の上昇値 < 都道府県全体の上昇値」が確認されました。

 都道府県内においても、県庁所在地(もしくは経済的な中心都市)に人口・経済活動が集積し、それ以外の市区町村では空き家問題が深刻化していることが見受けられます。この傾向は四国・中国地方で特に顕著です。

補足:
 47中5件(水戸・甲府・長野・津・奈良)は、県庁所在地の放置空き家率上昇値が都道府県全体を上回る結果となりました。これらの共通点を分析すると、「県内に自分より大きな経済圏が存在する」という特徴が見受けられます。
・奈良市(+1.29ptの差) → 大阪・神戸への通勤圏内で、市内居住需要が弱い
・津市(+0.86ptの差) → 名古屋経済圏の影響が強く、県内でも四日市・鈴鹿が経済的中心
・長野市(+0.36ptの差) → 松本市との分散が生じ、県庁所在地の一極集中が弱い
これらの事例は、「県庁所在地に集まる≒県内の実質的な経済中心都市に集まる」と言い換えることが可能であると意味しています。
■分析まとめ

二重の引力が地方空き家の要因か

 分析の結果として、「三大都市圏(南関東・近畿・東海)への人口集中」と「県庁所在地(経済中心都市)への集積」という二つの引力が同時に働くことで、その双方から取り残された地域では放置空き家率の上昇が加速している、という構造が見えてきました。

 四国・中国地方の地方都市がとりわけ深刻なのは、三大都市圏からも遠く、かつ都道府県内でも周辺部に位置するという「二重の不利」を抱えているためと考えられます。

住生活基本計画との接続

 国としては、2026年3月27日に住生活基本計画改訂の閣議決定を行い、「市場機能の進化を通じた住宅ストックの価値の最大限の活用」と「人生 100 年時代の住生活を支える基盤の再構築」というテーマと4つの取り組みを掲げています。
- ニーズに応じた住宅を適時適切に確保できる循環型市場の形成
- インフラ・居住環境の整った既存の住宅・住宅地の市場を通じた本格的な有効活用
- 分野横断的な連携による「気づき」と「つなぎ」のある居住支援の充実
- 既存住宅を最大限に活用する持続的な住宅市場を支えるあらゆる主体の連携・協働の推進

 これらの取り組みは、空き家問題全体に対する包括的かつ強力な方針を示すものです。

 本分析で明らかになった「三大都市圏への集中」と「県庁所在地への集積」という二重の引力構造を考慮に入れることで、この基本計画の掲げる「住宅ストックの最大限の活用」を、地域の実情に合わせてより実効性の高いものに進化させることが可能になると考えます。地域ごとの需要構造に合わせた施策の優先順位付け、すなわち「地域類型の視点」を導入することで、担い手や需要が乏しい地域においても持続的な居住環境の再構築が可能となります。

国・自治体・民間企業の対策活動について


 二重の引力構造に基づき、地域を類型化した上で支援策に濃淡をつけることが求められます。県庁所在地や三大都市圏の周縁部など、一定の人口流入が見込める地域には空き家の利活用・移住促進策を重点投下する一方、双方の引力から外れた地域では「活用」よりも「除却と集約」を主軸に据え、住民生活を支えながらのダウンサイジングを財政面から支援するのが有効だと考えます。
自治体
 県庁所在地は、県内における人口の受け皿としての役割を意識しつつ、周辺市町村から流入する人口に向けた住環境の整備を進めることが有効です。一方、二重の引力の外側に置かれた周辺部の市町村は、空き家の個別対処にとどまらず、居住エリアの戦略的な集約を視野に入れた長期計画の策定が求められます。国の補助制度と民間事業者を組み合わせながら、地域の実態に即した施策を推進する必要があります。
民間企業
 空き家関連事業者にとっては、二重の引力の内側(県庁所在地周辺で上昇率が相対的に抑えられている地域)が利活用ビジネスの現実的な対象となります。引力の外側に位置する放置空き家率の急上昇エリアでは需要の掘り起こし自体が難しく、解体・跡地活用などでのビジネスモデルを検討する余地があります。また、空き家問題の根本には人口移動があることを踏まえ、地方拠点整備やリモートワーク環境の充実を通じて「引力に抗う選択肢」を広げることも重要だと考えています。

■全国空き家対策コンソーシアムでの今後の活動
 全国空き家対策コンソーシアムでは、2025年11月に「自治体向け空き家対策の手引き」を公開しました。 各自治体が自らの進捗を把握し、成果を出すために何をどの順番で行えばよいかを明確にできるよう、 実践的なステップをまとめています。

 今回の分析結果を踏まえ、類型化された地域ごとにどのように空き家対策の手引きを活用すると良いか等、実際に手引きを活用している自治体の声も参考にしながら、情報発信・対策支援を進めて参ります。

■全国空き家対策コンソーシアム 概要
[表2: https://prtimes.jp/data/corp/168782/table/7_2_0c4c2a0cb415bc311715706de0de1e39.jpg?v=202605040745 ]

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