中外製薬が異分野との共創によって生み出すイノベーションの軌跡と挑戦の最前線 各界で活躍するリーダーが「ヘルスケアの未来を生み出すイノベーション」についてディスカッション
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、サイエンスとテクノロジーによるヘルスケアの未来をテーマに、共創によるイノベーション創発に焦点をあてたビジネスカンファレンス「CHUGAI INNOVATION DAY 2025」を11月27日(木)、28日(金)に「丸ビルホール&コンファレンススクエア」にて開催しました。本イベントはヘルスケア領域のイノベーションやDXに関心のあるビジネスパーソン、学生を参加対象者とし、会場及びオンラインを合わせて、2日間で延べ3,674名の方にご参加いただきました。
サイトURL:https://digital.chugai-pharm.co.jp/


【開催概要】
■ イベント名:CHUGAI INNOVATION DAY 2025
■ 日時:Day 1/2025年11月27日(木)10:30~18:45
Day 2/2025年11月28日(金)10:30~18:45
■ 開催形式:ハイブリッド開催(事前申込/参加無料)
■ 会場:丸ビルホール&コンファレンススクエア
■ 特設サイト:https://digital.chugai-pharm.co.jp/
※中外製薬のサイトに遷移します。
■ 主催:中外製薬株式会社

11月27日のDAY1【イノベーションの源泉】では、イノベーションがどのように生まれ発展していくのか、その本質を探り、中外製薬の挑戦や実践事例を出発点として、アカデミア、経営者、投資家など様々な視点から未来への指針を議論しました。また、創薬や製薬・育薬の現場における社内での革新的な取り組みを紹介するとともに、社外パートナーとの共創によるオープンイノベーションの現状と可能性についても掘り下げて、「共創」のきっかけを見つける一日となりました。本レポートでは、DAY1の各Sessionにおける登壇者の解説・コメントを紹介します。
・本レポートは、中外製薬および講演者が所属する企業・組織の計画、戦略、業績の見通しなど、将来の見通しに関する情報を含んでいます。実際の業績は様々なリスクや不確定な事柄により、これら見通しとは大きく異なる結果となることがあります。
・本レポートは、医薬品・医療機器(開発品を含む)に関する情報が含まれていますが、それらは宣伝・広告や医学的なアドバイスを目的とするものではありません。
11 月 27 日 DAY1 【イノベーションの源泉】
【Session 1】 中外製薬と探る、イノベーションの「鍵」
基調講演テーマ:中外製薬のイノベーション「これまで」と「これから」
・中外製薬株式会社 代表取締役社長 最高経営責任者(CEO) 奥田 修
創業100周年を迎えた中外製薬株式会社のイノベーションの軌跡と未来像について紹介しました。弊社は、1925年の創業以来、「世の中の役に立つくすりをつくる」という創業者の想いを受け継ぎ、独自の技術とサイエンスで革新的な医薬品を創製してきました。ロシュ社との戦略的アライアンス以降7つのグローバル製品を生み出し、売上・利益ともに飛躍的に成長を遂げています。
本講演では、弊社が「技術ドリブン創薬」と「Quality Centric」の二軸で展開をしている独自の創薬アプローチにより、真のアンメットメディカルニーズに対峙した結果、生み出してきた医薬品による、病気に苦しむ方々の人生を大きく変える革新を紹介。今後の展望として「患者さん中心」の価値観のもと、多様なパートナーとのオープンイノベーションを推進し、業界や分野を超えた共創を通じてさらなる医療と健康への貢献を目指す姿勢を明確にしました。

パネラー(右から):
・中外製薬株式会社 代表取締役社長
最高経営責任者(CEO) 奥田 修
・Deloitte Tohmatsu Venture Support Senior
Advisor 土川 元氏
・慶應義塾大学 大学院 経営管理研究科 准教授
芦澤 美智子氏
・株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役会長
南場 智子氏
モデレーター(左端):中外製薬株式会社 上席執行役員 リスク管理、コンプライアンス、
信頼性保証、製薬技術、生産技術統括 大内 香
【Session 2】 イノベーションを実装する、中外製薬の現場力とは?
基調講演テーマ:中外製薬の創薬・製薬/生産・育薬の現場から
・中外製薬株式会社 参与 メディカルアフェアーズ本部長 西 和彦
医薬品は発売したらそれで終わりではありません。有効性と安全性の両面より適正な情報提供を行うこと、さらには開発治験の結果と実臨床の間に存在するエビデンスギャップ(例: 高齢者、乳幼児への投与、合併症治療中の患者さんへの対応など)を満たし、医療現場に正しく情報を届けることが求められています。医薬品の販売を開始した後に、その薬の更なるポテンシャルを引き出す活動を「育薬」と呼んでいます。治療の進歩に伴い、患者さんやご家族の治療に求めるニーズも変化しています。患者さん毎に治療ニーズは様々である中、「その患者さん」にとって最適な治療選択肢を届ける、これを実現すべく様々な取組みを実施しています。本講演では、具体例も含めながら、中外製薬の育薬への取組みを紹介しました。
・中外製薬工業株式会社 宇都宮工場長 山田 秀成
本講演では、製薬/生産の現場力について説明しました。創業100年の歴史の中で、革新的な医薬品の工業化およびグローバルに向けた安定供給を実現してきており、これまでにない価値を生むために構造が複雑化した次世代抗体医薬品や中分子医薬品に対しても、新規技術を開発し工業化を実現しています。現場力の源泉は、「どんな分子でもつくる」という矜持に加え、ボトムアップで技術開発や現場のKAIZEN(改善)を進めるメンタリティや仕組みにあります。今後は、よりDX・ロボティクス、モデリング&シミュレーションといった技術が重要になるという見込みを示し、宇都宮工場 新注射剤棟(UTA)におけるスマートファクトリー化の取り組みを共有しました。
・中外製薬株式会社 取締役 上席執行役員 研究、トランスレーショナルリサーチ、臨床開発、
CVF(特命)統括 トランスレーショナルリサーチ本部長 飯倉 仁
中外製薬の創薬は、「技術ドリブン創薬」と「Quality Centric」の二軸で展開をしています。疾患領域を限定せず、独自技術の開発とそれらのプラットフォーム化により、アンメットメディカルニーズに応える革新的な医薬品をこれまで創出してきました。低分子・抗体(高分子)に加え、中分子という新たなモダリティにも挑戦し、従来では治療標的として困難であった分子へのアプローチを実現しています。創薬段階では活性・選択性・安全性など多角的に最高品質を追求し、患者さん中心の価値観のもと、世界の医療現場に新たな治療選択肢が提供できるよう日々取り組んでいます。本講演では、独自技術とサイエンスによる「中外だからできる」挑戦と最近の取り組みをご紹介しました。

パネラー(右から):
・中外製薬株式会社 参与
メディカルアフェアーズ本部長 西 和彦
・中外製薬工業株式会社
宇都宮工場長 山田 秀成
・中外製薬株式会社 取締役 上席執行役員
研究、トランスレーショナルリサーチ、
臨床開発、CVF(特命)統括
トランスレーショナルリサーチ本部長 飯倉 仁
モデレーター(左端):中外製薬株式会社 上席執行役員 営業、医薬安全性、
メディカルアフェアーズ、PHCソリューション、海外マーケティング(特命)
統括 日高 伸二
【Session 3】 オープンイノベーションで加速する、中外製薬の「未来像」
基調講演テーマ:味の素グループのCDMO事業・培地事業におけるオープンイノベーション
・味の素株式会社 バイオ・ファイン研究所 マテリアル&テクノロジーソリューション研究所長
奥住 竜哉氏
味の素グループは、CDMO・培地をはじめとする多様な事業を通じ、ヘルスケア領域での価値創出に取り組んでいます。製造、プロセス開発、薬事対応といったさまざまな場面で、製薬企業やバイオベンチャーをはじめとするパートナーをサポートし、共通の目的である患者や社会のWell-being向上を目指しています。味の素グループの取り組みは、一般的にはBtoBビジネスとして位置づけられますが、その一方で、パートナーとともに価値を生み出す“オープンイノベーション”の一形態ともいえます。本講演では、その考え方と取り組みについて紹介しました。
基調講演テーマ:
次世代のバイオ製造技術開発への挑戦 ~中外製薬のオープンイノベーション事例の紹介~
・中外製薬株式会社 製薬技術本部 製薬研究部 (バイオプロセス担当)統括マネジャー 渡邊 洋介
革新的な次世代抗体を医薬品として届けるためには、製造技術の革新も不可欠です。製造プロセスの基盤となる原材料の多くをサプライヤからの供給に依存している現状において、この技術革新を実現するには、サプライヤとの関係を単なる売買関係を超えた戦略的パートナーシップへと発展させ、製造課題に対するソリューションを共創していくことが重要です。本講演では、中外製薬におけるバイオ製造技術のオープンイノベーション事例として、サプライヤとの技術共創の取り組みについて紹介しました。
基調講演テーマ:中外製薬CVCの実例と学び-海外創薬エコシステムの現在地-
・Chugai Venture Fund, LLC Associate安藤 義和氏
中外製薬のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)であるChugai Venture Fund(CVF)は、2024年1月より米国ボストンエリアにて活動を開始し、これまで約2年間にわたり6件のスタートアップへの投資を実行してきました。本講演では、当ファンドの役割およびスタートアップ投資に対する基本姿勢を改めて概説するとともに、投資家の視点から米国Boston-Cambridgeエリアにおけるバイオテック・エコシステムを俯瞰し、その文脈におけるCVCとしての取り組みについて説明しました。さらに現時点までの活動を通じて得られた示唆や知見についても、合わせて言及しました。
基調講演テーマ:自社技術の視点から考えるオープンイノベーション
・中外製薬株式会社 研究本部 創薬企画推進部 Open Innovation Senior Expert Scientist 松田 穣
中外製薬は、自社開発の独自技術を戦略的に強化しながら、複数の大型薬を外部連携により創出してきました。従来は国内アカデミアとの創薬共同研究が中心でしたが、急速に進化するグローバルな技術環境において、国外のアカデミアや企業との連携も積極的に拡大しています。本講演では、独自技術とのシナジーにより創薬プラットフォームの価値を向上させる戦略的手段としてのオープンイノベーションの取り組みと、投資活動を通じた初期段階技術へのアクセス向上など、研究開発の質と持続性を高める今後の展望について紹介しました。

パネラー(右から):
・味の素株式会社 バイオ・ファイン研究所
マテリアル&テクノロジーソリューション
研究所長 奥住 竜哉氏
・中外製薬株式会社 製薬技術本部 製薬研究部
(バイオプロセス担当)統括マネジャー
渡邊 洋介
・Chugai Venture Fund, LLC Associate
安藤 義和氏
・中外製薬株式会社 研究本部 創薬企画推進部
Open Innovation Senior Expert Scientist
松田 穣
モデレーター(左端):中外製薬株式会社 事業開発部長 浅野 由美子

【ご参考】
中外製薬ウェブサイト 「デジタルトランスフォーメーション」
(https://www.chugai-pharm.co.jp/profile/digital/)
中外製薬公式note(https://note.chugai-pharm.co.jp/)