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公益財団法人 アイメイト協会

「障害者差別解消法」施行から4年、“施行前よりよくなっている”との声が着実に増加

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盲導犬を理由とした“入店拒否”の状況を尋ねるアンケート調査(2016~2020)の推移

日本初の国産盲導犬チャンピイを育成した公益財団法人アイメイト協会(東京都練馬区、代表理事:塩屋隆男)は、全国の現役アイメイト(盲導犬)使用者を対象に、2016年から2020年まで毎年実施してきた計5回のアンケート調査の推移をまとめ、報告書として公表しました。以下、ポイントを抜粋してお知らせいたします。

■狙い
「全国アイメイト(盲導犬)使用者へのアンケート調査」は、「障害者差別解消法」(正式名称:「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」)が施行(2016年4月1日)される直前の2016年3月に日本で初めて実施し、その後毎年、同じ時期に、継続して調査してきたものです。この調査結果の推移からは、来るべき共生社会へ向けた社会の変化(あるいは変化のきざし)が確認できます。また、そうした社会の変化を明らかにすることは日本が共生社会へさらに一歩近づき、障害者と健常者がともに、より暮らしやすい社会に発展していくための様々なヒントにつながると考えています。
(※公益財団法人アイメイト協会ウェブサイト:https://www.eyemate.org/

【調査結果のポイント】

1.「施行前より良くはなっている」の声が、年を追うごとに増加
・「障害者差別解消法」の施行後、法が目指す目標はどの程度達成されたかの問いに対して、少しずつですが着実によくなっている傾向が見られました。2017年に28.9%だった「施行前と変化は感じられない。もっと積極的な取り組みが必要だと思う」の比率は年々下がり、2020年には16.3%になりました。また、「施行前より良くはなっているが、まだ取り組みが足りないと思う」は2017年は38.0%でしたが、年を追うごとに増えており、2020年は65.2%となりました。
・ただし、この両回答の合計は毎年66.9~81.5%で推移しており、「どちらかと言えば、達成されていると思う」「達成されていると思う」という意見の合計よりもかなり多くなっています。決して現状に満足ということではなく、あくまでも、多くの使用者が引き続き「さらなる取り組み」を求めている状況にあります。

2.入店拒否の経験者は6割以上で推移。「障害者差別解消法」施行後4年経つも、ほぼ横ばい
・「障害者差別解消法」が施行されてからの「入店拒否」の推移は、2019年調査だけは52.9%と他の年の調査より若干低くなっていましたが、それ以外は62.0~63.0%とほとんど同じ結果でした(回答者及び回答者数は異なる)。
・オリパラ2020の開催も決まり、国や行政、あるいは障害者団体などを含めて様々な活動があったことで徐々に改善されていくことが期待されましたが、データとしてはまだ、目に見えるほどの結果には結びついておらず、ほぼ“横ばい”状態にあると言えます。
・なお、2016年の調査は(それ以降とは調査の対象期間が異なり)期間を設定せずに過去の経験を尋ねており、法の施行前は9割近くの使用者が入店拒否の被害を経験をしていました。その状況を踏まえれば、少なくとも“以前よりはよくなっている”ということは言えそうです。
・なお、「障害者差別解消法」施行より約15年前の2002年10月には「身体障害者補助犬法」が施行されており、こちらの法律でも盲導犬同伴での入店を拒んではならないと規定しています。

3.お店での心温まるエピソード(これまでの調査から抜粋)
・使用者からの回答には、入店を拒否された事例だけでなく、店側の理解不足をその場に居合わせた客がフォローするといった心温まる事例もありました。
・「食堂で『他のお客様に迷惑がかかりますので』と断られたが、周りにいたお客様が『誰も迷惑だなんて言っていない』と言ってくださった」「いつも乗り合わせている他の乗客が『静かでおとなしい犬だから大丈夫よ』とフォローしてくれた」「周囲にいた人たちが応援してくれた」といった報告がありました。(2016年調査より)
・また、お店を出る時に、「初めて盲導犬を見ましたが、とても静かでお利口さんだったのに驚きました。さすがプロの犬ですね。またのお越しをお待ちしています」と言われた(2016年調査より)、お店とのやり取りの結果「お店の方と、ものすごく仲良くなった」(2019年調査より)という報告もありました。

4.アイメイトと一緒に出掛ける際、使用者として気を付けていること(2016~2018年)
・2016年は初めての調査だったためか回答数が少なかったのですが、2017~2018年の調査ではすべての選択肢に65~95%ものポイントが入っていました。アイメイト使用者が街を歩く上で、とても様々なことに気を付けていることがうかがえます。
・中でも常に上位に入っているのが、「アイメイトの健康」に関すること。そして周囲への配慮である「衛生」や「マナー」に関することでした。

■不当な差別を禁止する「障害者差別解消法」(2016年4月1日施行)
・「障害者差別解消法」は、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的としています。
・同法では、国・都道府県・市町村などの役所や、会社やお店などの事業者が、障害のある人に対して、正当な理由なく、障害を理由として差別することを禁止しています。例えば、盲導犬を理由とした入店拒否は、車いすや補装具などの障害に関することを理由にして区別や排除、制限をすることと同様、障害者に不利な結果をもたらす差別となります。
・「合理的配慮の提供」とは?
同法では、国・都道府県・市町村などの役所や、会社やお店などの事業者に対して、障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたときに、負担が重すぎない範囲で対応すること(事業者に対しては、対応に努めること)を求めています。

【写真1.】 アイメイトとともに街へ出かける様子

■街中でアイメイト使用者や視覚障害者に出会ったら? ウェブサイトで学べるコンテンツ

アイメイト使用者や視覚障害者のサポートの仕方が学べる、協会ウェブサイト内のコンテンツを紹介します。

・「アイメイト使用者に出会ったら」
街中でアイメイト使用者に出会い、何かサポートをしたい時どのようにすればいいのか、使用者への接し方や声のかけ方をまとめました。
https://www.eyemate.org/doc/assisting/

・「動画で知るアイメイト」
アイメイト(盲導犬)の歴史や、駅・街中・レストランそれぞれの場面で使用者や視覚障害者を誘導する方法を映像でご覧いただけます。
https://www.eyemate.org/doc/education/

■公益財団法人アイメイト協会について

1957年に日本初の国産盲導犬第1号「チャンピイ」を育てた塩屋賢一が創設(第1号使用者は、河相洌さん)。アイメイト(盲導犬)育成、視覚障害者への歩行指導を通じて視覚障害者の自立支援を行い、社会参加を推進しています。東京都内(23区)にありながらも、全国の視覚障害者にアイメイト歩行を指導。指導の対象は海外の方にも広がり、これまでにアイメイト協会が歩行指導し卒業したペアは延べ1,386組にのぼります(2020年4月25日現在。使用者とアイメイトのペアを1組と数えます)。

アイメイト協会では、日本にまだ盲導犬に関する法整備が整う前、日本の盲導犬事業が草創期の頃から長年にわたり、アイメイト使用者や支援者とともに盲導犬使用者への理解を社会に訴えてきました。

※アイメイト協会出身の犬は、「盲導犬」ではなく、「アイメイト」と呼んでいます。アイメイト歩行は、十分に歩行指導を受けた視覚障害者の指示を受け、人と犬とが協同で安全な移動を実現します。その主体はあくまでも人にあります。そのため、アイメイト協会では、「私の愛する目の仲間」という意味を込め、「アイメイト」と呼んでいます。

■公益財団法人アイメイト協会の歩み

1948年 塩屋賢一が目隠しの生活を体験しながら、盲導犬の育成を独自の方法で始める
1950年 自宅に「日本盲導犬学校」を開き、「盲導犬研究会」を設立
1957年 塩屋賢一が国産第1号の盲導犬チャンピイを育成
1967年 日本盲導犬学校の施設を母体に(財)日本盲導犬協会が認可される
1971年 その後(財)東京盲導犬協会として新たに東京都からの認可を受ける
(1989年4月にアイメイト協会に改称)
2007年 アイメイトペア1,000組に到達。アイメイト50周年(チャンピイ活躍開始から)
2011年 公益財団法人に移行
2017年 アイメイト60周年
(アイメイトの歴史URL:https://www.eyemate.org/history/

【写真2.】国産盲導犬育成のパイオニアたち

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