「お菓子作り体験」を「本物のビジネス」に変えた、子どもたちの1,095日。
プレゼンテーションの会場装飾、プレゼンの構成、役割分担、台本執筆、さらには工場への相見積もりやメディアへのテレアポまで。大人の「指示」を待つのではなく、子どもたちの「意思」で1,000個のカヌレを売り切った。NBCの18名の経営者たちが驚愕し、感動した「真の主権者教育」がここに。

当日の様子をまとめたサムネイル
子ども食堂の概念を覆す「自立型教育」の誕生
東京都江戸川区を拠点に、誰でも安心して立ち寄れる居場所を提供しているNPO法人らいおんはーと(理事長:及川 信之)。当法人が運営する「365日24時間緊急対応型子ども食堂 ぬくぬく」では、従来の食事提供という「食支援」の枠を超え、株式会社SHARE EAT(代表取締役:福田怜奈)からの協力を得て、子どもたちが社会で生き抜く力を養う「早期起業家教育」に注力してきました。
その集大成として、2026年4月26日「子ども食堂 ぬくぬく」にて、子どもたち自身が企画・開発・販売・広報を担ったオリジナルカヌレ「カヌくぬくレ」の成果発表イベント「キッズぬくもりCafe」を企画、NBCジュニア委員会のメンバー経営者を招待しました。
本イベントでは、18名の現役経営者を前に、小中高生12名が自ら執筆した合計7,000文字に及ぶプレゼン台本を手に、ビジネスの厳しさと喜びを堂々と発表後、在庫110個をその場で完売。
その姿は、福祉の対象としての「子ども」ではなく、未来を創る「パートナー」そのものでした。
本プロジェクトは、単なる職業体験ではありません。
市場調査、商品企画、試作、原価計算、工場選定、販売戦略、広報活動までを、子どもたち自身が主体的に実践した“リアルな起業家教育”です。
3年間の軌跡:子どもたちが「本物の経営者」になるまでのドキュメント
■市場調査とペルソナ設定:渋谷の街に赴き、データを集める
始まりは「どんなお菓子が人気なのか?」という純粋な疑問でした。子どもたちは渋谷の百貨店に行き、数時間に及ぶ通行人調査を実施。「日曜日は30代~40代の女性や老夫婦が多い」「外国人はお土産に和菓子を選ぶが、日本人は焼き菓子に惹かれる」といった生データを収集。それらを元に、ターゲットを「20代~40代の女性」に絞り込み、持ち帰りやすくアレンジが自在な「カヌレ」を商品に決定しました。

市販のお菓子の分類
マーケティング会議で発表する子ども
百貨店の調査レポート
■「カヌレ派 vs ゼリー派」涙の対立と合意形成
商品決定の過程では、意見が真っ向から対立しました。「若者に人気のゼリーがいい」という声と、「高級感とアレンジ力のあるカヌレがいい」という声。中学2年生から小学4年生までが対等に議論を交わし、時には涙を流しながらも「自分たちが伝えたい価値(ぬくもり)を最も表現できるのは何か」を問い直し、最終的に全員が納得する形でカヌレに決定しました。

みんなでイメージを考える
ゼリーのイメージをイラストに描く
カヌレのイメージ図
■合計7回に及ぶ試作を経てカヌレを開発。
当初は生焼けや色の失敗に直面しましたが、競合分析を行い「ココナッツファイン」の採用で独自性を確立しました。工場生産移行時も妥協せず、配合をデータ化し精密に計測。3パターンの比較試食から「プラス15%」の甘さを導き出しました。

子どもたちで協力して試作品を作る
焦げて失敗したカヌレ
試食し、評価をデータにして比較
■「工場選定」と「原価計算」:1円の重みを知る過酷なプロセス
製造においては、自分たちの理想を形にしてくれるパートナーを子どもたち自身が探しました。「最小ロット数は?」「納期は?」「費用は?」という3つの条件を掲げ、数ある候補の中から大阪の工場を選定。1円単位の原価計算に苦戦し、「自分たちの取り分(利益)」と「お客様が買いやすい価格」の狭間で、何度も電卓を叩き直しました。

子ども目線に立って丁寧に指導するシェアイート福田先生
会議で議論を何度も重ねる様子
利益率の計算
テレアポ、広報、販売まで“本物”に挑戦
■テレアポと広報:震える手でメディアへ電話
広報担当の子どもたちは、プレスリリースの作成だけでなく、新聞社やテレビ局への「直接のテレアポ」に挑戦しました。「断られたらどうしよう」という不安を抱えながらも、「私たちの活動を知ってほしあい」という一心で受話器を握り、「リリースを送ってもいいですか?」という交渉を自力で行いました。
上記のプロジェクト詳細が記載された子ども達が作ったプレスリリース
子ども食堂発「カヌくぬくレ」新宿マルイで夏休みに限定販売!子どもたちが企画・開発・販売すべて手がけました!
■【販売の戦略】「SusHi Tech Tokyo」と「マルイ」で体得した、場所に応じたマーケティング
SusHi Tech Tokyo(東京ビックサイト)とマルイ新宿店での計5日間、現場に合わせた柔軟な販売を実践。イベント会場では活気ある呼び込みを行い、百貨店ではマナーを徹底しつつ華やかな装飾で「選ばれる空間」を演出しました。単に売るのではなく、開発秘話や実感を伴う言葉で「物語」を伝える広報的視点を重視。接客のたびに振り返る高速のPDCAを回した結果、全日完売を達成し、自分たちの想いが社会に届く手応えを掴み取りました。

子どもたちでアングルを工夫して商品写真を撮る様子
撮影した写真にロゴを入れた商品POP

「SusHi Tech Tokyo」でのブース呼び込み
マルイでお客様に商品説明する子ども
子どもたちが創り上げた成果発表会「キッズぬくもりCafe」
発表会の1ヶ月前から企画、台本制作を進め、前日はリハーサル、4月26日イベント当日、会場の「ぬくぬく」は、子どもたちが模造紙や手書きの値札、POP、折り紙で作った輪っか、花で飾り付けた「ワクワクする経営の場」へと変貌しました。さらに、子どもたち自身がイベントの進行を担当。経営者との名刺交換、プレゼンテーション、試食会、即売会までを主体的に運営しました。
[表: https://prtimes.jp/data/corp/135919/table/24_1_a5bebe74de2c71d6fdda4df5a515f8b9.jpg?v=202606041245 ]

会場の装飾をする様子
子どもにとって初めての名刺交換
経営者の皆さんとの軽食タイム

子どもが作った「当たりクジ」付きのカヌレ
カヌレを購入し、手渡しする様子
「NBC Jr.イベント」の修了証授与
圧巻の「7,000字プレゼン」:子どもたちの生の声(一部抜粋)
NBC会員経営者へのプレゼンでは、8つのパートに分かれた子どもたちが、それぞれの専門分野を「自分の言葉」で自作した台本で、語り尽くしました。
- マーケティング(中2・女子): 「大人の手を借りず、子どもたちだけで作り上げた市場分析です。渋谷での調査から、お菓子は『サイズ感』が購入の決め手になることを学びました。」
- 商品決定(中2・女子/小4・女子): 「ゼリー派とカヌレ派で激しく対立しました。でも、『持ち運びやすさ』という戦略的視点で合意したんです。」
- 試作(中2・女子/小6・女子): 「パティシエさんと焼いても焼きムラができ、子どもだけだと生焼けに。失敗を繰り返し、甘さを15%アップさせる黄金比に辿り着きました。」
- 工場選定(中2・女子): 「カヌレは作れないと断られ続けましたが、諦めずに探し抜き、自分たちの想いに応えてくれる大阪の工場を選定しました。」

スライドを使った大人顔負けのプレゼンテーションの様子
プレゼン後、質疑応答する「開発部」の子ども達
- 広報(高2・女子): 「ロゴのライオンは『熊ではなく子どもライオン』です。親しみやすさを出すためにパステルカラーに拘りました。商品名『カヌくぬくレ』には、居場所を知ってほしいという願いを込めています。」
- 経理(中1・男子/高2・男子): 「利益率20%の設定と原価計算に何度も計算ミスをしました。儲かることと安さの両立。この壁を仲間と乗り越えました。」
- 販売(小6・女子/中2・女子): 「マルイでの販売では『大声を出してはいけない』という制約がありました。そこで、声ではなく『見せ方』や『ストーリーを語る』接客に切り替え、完売させました。」
- 締め・取材依頼(小4・女子): 「私が一番頑張ったのはプレスリリース作りとテレアポです。私たちの活動を取材してもらえると嬉しいです!」

パートごとでの発表
テレアポのロープレを披露

プレゼン後、子ども達と経営者の皆さん全員で記念撮影
参加した子どもたちの自己評価:NBC集計データより
イベント後、NBCが集計したデータには、子どもたちの著しい成長が示されていました。
- 「他人から見た自分と自分から見た自分の違い」への気づき: 「自分では緊張して上手く喋れなかったと思っていたが、経営者の方から『熱意が伝わった』『プロのようだ』と評価され、自分の強みを再発見できた」という声が8割を超えました。
- 「挑戦する力」への加点: 「最初はテレアポや工場選定に恐怖があったが、やり遂げたことで『新しいことへの恐怖』が消えた」と全員が回答。
- 「チーム力(協調性)」: 「対立があったからこそ、最高のカヌレができた」と、意見の相違を肯定的に捉える力が育まれました。
多くの子どもたちが「新しい挑戦への恐怖がなくなった」と回答。対立や失敗を通じて、チームで課題を乗り越える力や、自分の強みに気づく機会になったことが確認されました。
NBC参加の経営者からも称賛の声と評価点数:NBC集計データより
子どもたちの主体的な活動に対し、経営者18名から高い評価が寄せられました。プレゼン・販売実践を含む総合評価は平均4.6点(5点満点)を記録。

評価するNBC参加の経営者たち
主な称賛の声:
- 実行力と自信:リサーチから工場選定、テレアポまで、大人の甘えを排除しビジネスの作法に則って実行した点が高く評価されました。「この年齢でこの経験をしたことは大きな自信になる」との声が上がっています。
- マーケティング・企画力:実地調査に基づく緻密な分析と、ストーリーを重視した販売戦略が経営者の心を掴みました。「ストーリーを見せることで購買意欲が湧いた」と絶賛されています。
- チームワークと成長:PDCAを回し改善を繰り返す姿勢が評価され、「皆さんのパッションと挑戦する姿勢が伝わった」と、子どもたちのポテンシャルに期待が寄せられました。
平井 由紀子 (NBC特別理事 ジュニア委員会委員長/(株)セルフウイング 代表取締役/学術博士)コメント

平井 由紀子 (NBC特別理事 ジュニア委員会委員長/(株)セルフウイング 代表取締役/学術博士)
「やり抜いた起業家」の皆さんへ
今回のプロジェクトで、みなさんは自分たちで考え、仲間と話し合い、失敗や困難を乗り越えながら最後までやり抜きました。それは、まさに起業家(アントレプレナー)の姿です。今日ここに、小さな起業家がたくさん誕生したことを、私たちは心から誇りに思います。
起業家とは会社をつくる人だけではありません。誰かの困りごとを見つけ、より良い未来のために行動する人です。みなさんには、その力があることを今回の挑戦が証明してくれました。
これからも失敗を恐れず、自分のアイデアを信じて挑戦してください。そして次は、みなさんが先輩として、これから挑戦する子どもたちに経験や学びを伝えてあげてください。教えることで、学びはさらに大きくなります。
私たち東京NBCジュニア委員会は、未来をつくる仲間として、これからもみなさんを応援しています。一緒に新しい価値を生み出し、社会をもっとワクワクする場所にしていきましょう。
NPO法人らいおんはーと 理事長・及川 信之氏よりコメント
「3年前、人前で話すことすら苦手だった子が、今は名刺を手に大人と渡り合い、原価や利益を語っています。子ども食堂は、お腹を満たすだけの場所ではありません。すべての子どもが『自分には世界を変える力がある』と確信できる場所であるべきです。
1,000個のカヌレは、彼らが掴み取った自信の結晶です。怜奈先生のご指導により、ここまで成長できたことに心から感謝いたします。」
一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC)について
■会長: 青木 正之 (株)Ubicomホールディングス /代表取締役社長 (CEO)
■所在地: 〒107-0052 東京都港区赤坂7丁目1-16 オーク赤坂 6階
■団体概要: ニュービジネスの振興、起業家の育成、および政策提言を行う日本最大級の起業家団体。上場企業経営者からスタートアップまで、多様な経営者が集い、日本の新産業創出を牽引している。
■NBCジュニア委員会: 「次世代のアントレプレナー育成」をミッションとし、早期起業家教育の普及活動を推進。本プロジェクトでは、現役経営者によるメンタリングや講評などを通じ、子どもアントレプレナーシップ精神を育成し、伴走することで、その挑戦を社会とつなぐ役割を担っている。
HP: https://www.nbc-world.net/
「NPO法人らいおんはーと」について
「すべての子ども達に豊かで幸せな人生を」を理念に掲げ、教育格差や貧困による体験の格差に取り組み「親と子どもの成長支援」をしている江戸川区のNPO法人です。365日24時間緊急対応型の「子ども食堂」として2026年から稼働しています。
■所在地:〒133-0073 東京都江戸川区鹿骨1-59-8 川和ビル2階
■理事長:及川 信之
■設立: 2018年1月11日
■事業内容:子ども食堂、体験活動、進学支援、学習支援、フリースクール、フードパントリー
■公式ホームページ https://npo-lh.com/