北海道・十勝から「農業の熟練知を次世代へつなぐAI」の社会実装へ
クウジット株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:末吉隆彦、以下、クウジット)とカナダ・トロント大学発のAgriTechスタートアップ Lyrata Inc.(本社:カナダ・オンタリオ州トロント、CEO:Adnan Sharif、以下、Lyrata)は、農業AI分野における日本国内での実証および将来的な事業化に向けたMOU(業務提携覚書)を締結しました。
両社は、北海道・十勝を実証フィールドとして、Lyrataが開発する「SmartSoil(TM) System」と、クウジットが開発する人とAIの共成長を目指す「AI分身」技術を組み合わせ、農業熟練者が長年の経験を通じて培ってきた知識や技能を記録・構造化し、次世代が活用できる形式知として継承していく、新たな農業AIの社会実装に取り組みます。
2026年7月31日、在日カナダ大使館にて本MOUの締結式を執り行いました。

カナダ大使館でのMOU締結式の様子(写真左から)Lyrata CEO Adnan Sharif、在日カナダ大使館 オンタリオ州政府 参事官(商務)Mr. Christian Howes、クウジット代表 末吉隆彦
農業の「熟練知」を、AIとともに次世代へ
農業の現場には、天候や土壌、作物の状態をどう読み取るか、いつ、どのような判断をするかなど、長年の経験によって培われながら、十分に言語化・データ化されていない多くの知識があります。
こうした熟練者の「暗黙知」をどのように残し、次世代の農業へ継承・活用していくかは、担い手不足や農業従事者の高齢化が進む中、持続可能な農業を考える上でも重要なテーマです。
Lyrataは、エンジニアリングと植物科学における世界トップクラスの専門知識を融合し、“SmartSoil(TM)”の開発に取り組むアグリテック/クリーンテック企業です。また世界的な人工知能(AI)研究機関であるベクトル研究所の支援を受け、画像・映像・音声などの非構造データから熟練者の知識やオペレーションを抽出・構造化し、AIを通じて活用可能にする技術を開発しています。
※ SmartSoil(TM): 屋内農場(植物工場など)向けの次世代型栽培培地(人工の土)で、従来の主流であるロックウール(鉱物繊維)に代わる、サステナブルな農業の新たな世界標準を目指しています。
一方クウジットは、人とAI、AIとAIが対話を重ねながら、個人の知識や経験、価値観を学び、共有していく「AI分身」技術の社会実装に取り組んでいます。
今回の連携では、両者の技術を組み合わせることで、農業熟練者の暗黙知を単に「記録する」だけでなく、AIとの対話を通じて次世代が活用できる知識へとつないでいく仕組みの実現を目指します。
※「AI分身」技術は、ソニーコンピュータサイエンス研究所の笠原俊一リサーチディレクターが推進する人とAIの共生に関する研究の一環として、日本科学未来館の実証実験公募プログラムにおける「AI科学コミュニケーター(AISC)」の実証実験成果を活用しています。クウジットは、人とAIの共生に関する研究の社会実装を共創型で推進しています。
クウジット × さんさんと「Micro Agri-Tech Living Lab.」を基盤に十勝で実証
今回のLyrataプロジェクトは、クウジットが北海道・十勝を拠点に活動する農業法人「合同会社さんさんと」(所在地:北海道河東郡音更町、共同代表:雙木弘美、以下、さんさんと)と進めている「Micro Agri-Tech Living Lab.」共同事業の一環として位置づけています。
同事業では、十勝の農地を実証フィールドとして、農業現場の課題と新しいテクノロジーをつなぎ、研究者、スタートアップ、企業などとともに、新しい技術の検証から事業化・社会実装までを伴走する取り組みを進めています。
Lyrataとの連携においても、さんさんとの農業フィールドを活用し、地域の農業現場を起点として、農業熟練者の知識の形式知化と次世代への継承に向けた実証を進めて参ります。

さんさんと実証フィールドでのPoCの様子(写真左から)クウジット 取締役CMO 兼 さんさんと共同代表 雙木弘美、Lyrata CTO Stanley Lo、Lyrata CEO Adnan Sharif、クウジット代表 末吉隆彦
※ Micro Agri-Tech Living Lab.共同事業について:https://team-koozyt.com/posts/MicroAgri-Tech
代表コメント
クウジット株式会社 代表取締役社長 末吉隆彦 :
「カナダ・Lyrataの技術、ソニーCSLから生まれたAI研究、そして何より十勝の農業現場の知恵をつなぎながら、さんさんとをはじめ地域のみなさんと一緒に、未来の農業につながる社会実装を一歩ずつ進めていきたいと思います。
私たちがさんさんとと進める「Micro Agri-Tech Living Lab.」事業の実証フィールドは、十勝・音更町にあります。ここを単なる技術の実証場所にするのではなく、近隣の農家や自治体、研究者、企業など、さまざまなステークホルダーと対話しながら、新しい技術やアイデアを一緒に育てていく場にしていきたいと考えています。
十勝から日本へ、そして世界へと開かれた共創の場に育てていく。Lyrataとの日加連携を一つのきっかけとして、地域のみなさんとともに、新しい農業の可能性を一歩ずつ形にしていけることを楽しみにしています。
今回の連携にあたっては、元ソニーCSL研究員の竹内雄一郎氏の研究がLyrataのSmartSoil開発の着想につながったことに加え、竹内氏と北見工業大学 Sharifu Ura教授とのつながりが、Lyrataとクウジットとの今回のパートナーシップへと発展するきっかけとなりました。研究を起点としたこうしたご縁が、国を越えた新たな共創へとつながったことに、心より感謝いたします。」
Lyrata Inc. CEO Adnan Sharif :
“The partnership is only the starting line.
Lyrata Inc. and Koozyt, Inc., a Sony Computer Science Laboratories spinout, are entering the next stage of validating and commercializing the SmartSoil(TM) System in Tokachi, Hokkaido.
Hokkaido is a strategic proving ground. Its outdoor agricultural practices and growing conditions reflect those found across major markets in Oceania and the Americas.
Together, we are exploring how SmartSoil can support Koozyt’s “AI Clone/Symbiont” technology, improve crop yields, lower field production costs, and generate better data for the next generation of agricultural AI.
We will share further developments as our commercialization work advances.
What begins in Tokachi is designed to travel.
Special thanks to Dr. Takeuchi, formerly of Sony Computer Science Laboratories (Sony CSL), whose work originally inspired SmartSoil, and Prof. Sharifu Ura, whose connection with Dr. Takeuchi during his time at Sony CSL helped bring this partnership together.
Thank you also to Ontario Trade and Investment Tokyo and the Embassy of Canada to Japan for their continued support.”
【会社概要】
【クウジット株式会社について】
クウジットは研究シーズを社会へ実装する事業構想とテクノロジーの会社です。社名の由来である「空」と「実」をつなぐことを理念に、“Curiosity=知的好奇心”と“Imagination=想像力”を原動力に、研究者と共に未来の価値を構想し、社会に届けて参ります。私たちが目指すのは、テクノロジーを社会の良きことに活かすこと。
データ分析やAIを最大限活用し課題をひも解き、新しい知を実社会の解決策に変えていきます。その一連のプロセスを知的好奇心に満ちたワクワクする挑戦と捉えております。
研究から芽生える知の種をテクノロジーとデザインで育み、社会の中で循環させる。クウジットは、未来に貢献するイノベーションを共創する“Research to Society”のハブであり続けて参ります。
URL:https://team-koozyt.com/
【Lyrata Inc.について】
Lyrata Inc. is a Canadian biotechnology and agri-tech startup based in Toronto, Ontario, that is disrupting indoor farming with its patent-pending SmartSoil technology. Born out of the University of Toronto, the company replaces traditional energy-intensive, non-recyclable hydroponic substrates like rockwool with a highly sustainable alternative.
URL: https://lyrata.tech/
【合同会社さんさんとについて】
北海道・十勝音更町で、代々受け継がれてきた農地を未来へつなぐ農業法人「合同会社さんさんと」。農業を取り巻く環境が大きく変化するなか、地域に蓄積されてきた農業の知恵を次世代へつなぎ、新しい技術やアイデアとともに育てていくことを目指しています。
農業生産に加え、農場を企業や研究者、地域にひらき、AIやアグリテックなどを実際の農業環境で試す実証フィールドとして活用。地域の知恵と企業の技術をつなぎ、さまざまなパートナーと共創しながら、実証から事業化まで伴走する「みんなで育てる、未来の農場」を目指しています。
URL: https://sansanto.jp/
【本件に関する報道関係の方からのお問い合わせ先】
◆クウジット株式会社 広報 E-mail:pr@koozyt.com
* 本リリースに記載された会社名・商品名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。