検証・再現できる再計算(PoCで確認済み)と、社内システムから証憑を自動で集めるAIエージェントを2027年春に提供予定。宝印刷からは「WizLabo Keeper」として同時提供

ジュリオ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:姥貝賢次、公認会計士)は、内部統制評価AI「ベンサム」の提供を本日9月30日に開始しました。内部統制報告制度(J-SOX)に基づく経営者による評価をAIで支援するサービスで、宝印刷株式会社との共同事業として、宝印刷からは「WizLabo Keeper」の名称で同時に提供します。本日から使えるのは、業務プロセスに係る内部統制の評価です。
本サービスは、2026年7月8日に「ジュリオ統制評価AI」の開発名で発表し、先行導入とPoCを進めてきたものです。正式な提供開始にあたり、サービスの考え方を表す名前として「ベンサム」を付けました。
あわせて本日、今後の開発ロードマップを公表します。2026年末を目標に、全社的な内部統制を評価対象に加えます。2027年春には決算・財務報告プロセスに対応し、税効果や減価償却の再計算(PoC=概念実証で確認済み)まで行えるようにします。同時に、AIエージェントが社内の基幹システムやストレージを横断して、必要な証憑を自動で集められるようにします。ITに係る全般統制への対応も開発を進めています。
評価は重くなり、担い手は足りない
内部統制報告制度の改訂基準が、2024年4月1日以後に開始する事業年度から適用されています。経営者の評価では、不正に関するリスクを考慮することの重要性が明示されました。内部統制の整備・運用は、形式を整えるだけでは済まない経営課題になっています。
一方で評価の現場では、少人数の担当者が業務プロセスから決算・IT・ガバナンスまでを見ています。専門外の領域でも統制の有効性を判断しなければならず、その判断は担当者の経験に左右されがちです。運用状況の評価の時期には証憑の依頼と整理に追われ、統制が実際に機能しているかを検討する時間が削られています。
ベンサムは、証憑と評価手続を読み、照合し、指摘する
ベンサムは、内部統制評価の業務に特化して設計されたAIサービスです。整備状況の評価では、業務記述書・フローチャート・RCM(リスクと統制の対応表)のいわゆる三点セットを突き合わせて読み、食い違いを指摘したうえで、RCMの見直し候補を示します。運用状況の評価では、証憑を評価手続と照合します。記載の中身まで読み、確認できた事実と追加で確認すべき点を分けて示します。
証憑をそろえるための各部署とのやり取りも、AIが引き受けます。依頼内容を作り、提出状況を管理して、提出物が依頼どおりかを一次確認します。不足があれば、根拠を添えて再提出を求めます。証憑がそろった時点で、AIが評価の下準備を始めます。
こうしたAIの支援は、評価業務の管理基盤の上で動きます。管理基盤には、承認ワークフロー、進捗の見える化、監査人向けの閲覧権限、拠点・部署ごとの管理がそろっています。転記や集計の手作業も減らせます。
AIが担うのは、資料の読み込み・照合・指摘と、証憑をそろえるまでの段取りです。統制上の要点(キーコントロール)の選定と、統制が有効か不備に当たるかの判断は、評価担当者が行います。誰が確認し、どう判断し、なぜそう判断したかが記録に残るため、企業は自己評価の妥当性を自らの言葉で説明でき、監査人にも根拠をもって示せます。

名称の由来
サービス名は、英国の哲学者・法学者ジェレミー・ベンサム(1748~1832)に由来します。ベンサムは「最大多数の最大幸福」を掲げ、それを妨げる権力者の私利を抑える手段として公開性を説きました。権力の行使を人目にさらし、説明を求められる状態に置けば、不正は起きにくくなる。財務報告の信頼性も、多くの人の利益を一部の不正から守るためのものです。統制の働きを根拠とともに見える形にするサービスに、この名前を選びました。
WizLabo Keeperとして、宝印刷からも同時に提供
宝印刷は本日から、同じAI技術を「WizLabo Keeper」の名称で、開示業務支援プラットフォーム「WizLabo」シリーズの一つとして提供します。機能は共通で、契約窓口が異なります。
WizLabo Keeperサービスサイト:https://www.wizlabo.jp/wizlabo-keeper/

検証・再現できる再計算を、2027年春に決算・財務報告プロセスで提供
決算・財務報告プロセスの統制評価は、会社が行った照合や計算が正しいかを確かめる手続が中心です。ベンサムは2027年春を目標に、この評価に対応します。証憑に「照合済み」と記載されていることを確かめるだけではありません。税効果や減価償却といった計算項目を計算し直し、会社の計算結果と突き合わせます。監査でいう「再計算」に当たる手続で、記録を読むだけの評価より強い証拠が得られます。
この再計算は、検証でき、再現できます。AIは計算表や台帳から計算関係を読み取る役に徹し、計算そのものは決定論的なプログラム(同じ入力に必ず同じ結果を返すプログラム)が行います。読み取った計算関係と数値が同じであれば、何度計算しても同じ結果になります。計算の段階でAIの誤りが入り込むことはありません。どの数値をどの計算式で突き合わせたかは記録に残るので、AIの読み取りが正しかったかも含め、評価担当者や監査人が後から確かめられます。PoCでは、税効果の計算と固定資産台帳の減価償却について、再計算まで行えることを確認しました。
AIエージェントが社内システムから証憑を自動回収。2027年春に提供
本日の機能では依頼のやり取りをAIが引き受けますが、次に目指すのは、その依頼そのものを減らすことです。証憑の多くは、もともと社内の基幹システムやストレージに保存されています。そこで、AIエージェントがこれらのシステムを横断して探し、評価手続に必要な証憑を自ら集めてくる機能を開発します。名称は「証憑自動回収エージェント」、提供開始の目標は2027年春です。担当者は、各部署に依頼を出して提出を待つ代わりに、見つかった証憑の中身を検討するところから仕事を始められます。
開発ロードマップ
[表1: https://prtimes.jp/data/corp/79638/table/37_1_c9f6dcd17067a67704df610164f0831d.jpg?v=202609302145 ]
18件の特許を出願中。順次サービスに搭載する
当社は、会計・監査・内部統制のAIに関する技術について、18件の特許を出願しています。出願中の技術には、たとえば次のようなものがあります。本日提供の機能に使われているものから順に、ベンサムとWizLabo Keeperへ搭載していきます。
- 提出された証憑が妥当かを判定し、不備の根拠を示す技術
- 業務の変更や評価結果を踏まえ、RCMの更新案を根拠とともに示す技術
- 資料から計算関係を読み取り、再計算する技術
代表コメント
ジュリオ株式会社 代表取締役 姥貝賢次(公認会計士) 「内部統制評価で時間をかけるべきなのは、この統制は本当に機能しているかを考えることです。ところが現場では、証憑を集めて形式を確かめる作業にその時間が取られています。ベンサムには、私たちが会計・監査の実務で積み重ねてきた確認の観点を組み込みました。次は、証憑を集める仕事そのものをAIに任せられるようにします。上場企業の開示を支えてきた宝印刷とともに、担当者が判断に集中できる評価実務を、段階を追って届けてまいります。」
提供概要
[表2: https://prtimes.jp/data/corp/79638/table/37_2_118ae29d6586c0cecd86824f035ae37d.jpg?v=202609302145 ]
前回リリース(2026年7月8日):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000079638.html
注記
ベンサムおよびWizLabo Keeperは、経営者による内部統制の評価を支援するサービスです。評価の判断と責任は経営者にあり、本サービスは監査人による監査を代替するものではありません。また、不正の防止・発見を保証するものではありません。
ロードマップに記載した機能と時期は現時点の予定であり、変更する場合があります。PoCの結果は限られた資料と条件で確認したもので、提供時の機能や精度を保証するものではありません。
記載の会社名・製品名は、各社の商標または登録商標です。
会社概要
ジュリオ株式会社
所在地:東京都港区高輪2-22-1 THE LINKPILLAR 2・4階 LiSH
代表者:代表取締役 姥貝賢次(公認会計士)
設立:2021年3月
事業内容:会計・監査・内部統制の領域に特化したAIサービス(クラウド/SaaS)およびカスタムAIシステムの開発。金融・通関分類の領域にも展開
URL:https://julio.jp/

宝印刷株式会社
ディスクロージャーおよびIR関連書類の作成支援会社として、創業以来約70年にわたり上場企業やIPO予定会社の情報開示を支援しています。
URL:https://www.takara-print.co.jp/
本件に関するお問い合わせ
ジュリオ株式会社 広報担当 E-mail:contact@julio.jp