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大阪府和泉市、がん患者以外のヘアロスにも医療用ウィッグ助成を拡大

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~当事者の声から生まれた「和泉市モデル」、全国自治体への広がりに期待~

特定非営利活動法人Alopecia Style Project Japan(以下:ASPJ)は、非がん性のヘアロス(抜毛症・円形脱毛症など)を持つ子どもと家族の支援・政策提言活動の一環として、大阪府和泉市の辻宏康市長にインタビューを実施しました。和泉市では2025年8月より「こども医療用ウィッグ購入等費用助成事業」として、医療用ウィッグの助成対象をがん患者に限定せず、非がん性のヘアロスを持つ子どもにも拡大しています。


左より、和泉市議会議員 垰田英伸氏、円形脱毛症当事者 黃安培、抜毛症当事者 土屋光子、和泉市長 辻宏康氏、和泉市教育長 大槻亮志氏

■ 背景:「病気ではないから支援がない」というはざま

医療用ウィッグの助成制度は全国の自治体で広がりつつありますが、その多くはがん治療による脱毛に対象が限定されています。ASPJが独自に実施した調査では、非がん性のヘアロスを持つ子どもの多くが、教育現場や社会生活の中で困難を経験していることが明らかになっており、費用面での支援の少なさが当事者・家族の負担となってきました。こうした中、和泉市は対象を非がん性のヘアロスにも広げた「和泉市モデル」として、全国でも先進的な取り組みを実現しました。

■ 導入のきっかけと決め手

制度拡大のきっかけは、市議会からの質問でした。辻市長は次のように振り返ります。
「垰田議員からの質問をきっかけに検討をはじめました。子どもたちの中には、髪がないことでいじめを受けたり、深刻な状況に至るケースもあると伺い、対応すべきだと判断しました。ウィッグを使うことは特別なことではなく、今ではファッションの一つとして一般的になっていると思います。」

制度導入にあたっては、市の担当部署が独自に調査・設計を進め、市ホームページでの周知やパンフレットの作成・医療機関への配布などを通じて広報を行いました。医療機関からも好意的な反応があったといいます。

■ 制度概要:こども医療用ウィッグ購入等費用助成事業

対象は、和泉市内に住所を有し、脱毛症状により全頭用医療用ウィッグを購入・リースした6歳から18歳までの子ども(他に補助を受けていないことが条件)。
ウィッグの購入・リース費用と診断書等発行費用を合わせた総額の2分の1、上限5万円まで(付属品・ケア用品は対象外)を助成し、2年に1回申請できます。

同事業の特徴は、対象をがんや難病といった特定の病名で区切るのではなく、「脱毛症状に伴う疾病」という枠組みで捉えている点にあります。制度開始(2025年8月)以降、これまでに申請が寄せられています。

和泉市こども医療用ウィッグ購入等費用助成事業 案内リーフレット(PDFファイル)

■ 「公平性」についての考え方

「病気ではないから支援がない」という当事者の声に対し、公平性の観点をどう考えるか尋ねると、辻市長はこう答えました。
「病気であっても、支援が十分に行き届いていないケースは数多くあります。すべてを一度にカバーすることは簡単ではありませんが、まずできることから、小さな一歩を踏み出すことが大切だと考えています。がん患者向けのウィッグ助成という最初の一歩があったからこそ、今回の拡大という次の一歩を踏み出すことができました。」

■ 他の自治体・当事者へのメッセージ

「物事に完璧な特効薬はありません。小さな一歩を踏み出すことができれば、また次の一歩につながっていきます。まずは踏み出すことが大切だと思います」(辻市長)
ASPJ理事長・土屋光子は次のようにコメントしています。
「『病気ではないから支援がない』というはざまに置かれてきたヘアロスの子どもたちにとって、和泉市の決断は大きな希望になります。私たちはこの取り組みを『和泉市モデル』として、全国の自治体に広げていきたいと考えています。」

左より、和泉市議会議員 垰田英伸氏、円形脱毛症当事者 黃安培、抜毛症当事者 土屋光子、和泉市長 辻宏康氏、和泉市教育長 大槻亮志氏

■ 教育現場への支援ツール:毛髪疾患サポートハンドブック

ASPJは、「ストレスが原因で髪が抜ける」という誤解を正し、教育関係者に正しい知識を持ってもらうため、「毛髪疾患サポートハンドブック」を制作しています。ヘアロスは、入学時に症状があっても在学中に回復したり、逆に在学中に新たに発症したりと、変動を繰り返しながら経過するケースが多く、完治が難しいという特性があります。こうした特性をあらかじめ教員が知っておくことが重要だとASPJは考えています。

毛髪疾患サポートハンドブックには、ヘアロスの子どもへのヒアリングシート、他校での対応実例、相談窓口の紹介に加え、担任が変わっても対応を引き継げる引継ぎシートなどを収録しています。ASPJは、教員に問題解決を求めているわけではなく、あくまで当事者・保護者のコミュニティへつなぐ窓口になってもらうことを目的としています。これは、当事者にしかわからないことが数多くあること、そして過度な対応がかえって子どもを傷つける場合があるためです。

毛髪疾患サポートハンドブックはウェブサイト(https://aspj.site/shb/)でデジタル版を無償公開しているほか、希望者には冊子を無償で郵送しています。


毛髪疾患サポートハンドブックはウェブサイト(https://aspj.site/shb/)でデジタル版を無償公開。ヘアロスの子どもを持つ保護者の方が、就学前などに学校側への説明資料としても活用いただいています。

■ 今後の展開

ASPJは現在、全国の教育委員会を対象とした大規模調査と白書(白書2027)の準備を進めており、非がん性ヘアロスを持つ子どもの教育・社会参加における障壁を明らかにし、政策提言活動につなげていく方針です。和泉市モデルを一つの事例として、同様の制度導入を検討する自治体への情報提供や後押しを行っていきます。

■ 特定非営利活動法人Alopecia Style Project Japan

ヘアロス(円形脱毛症・抜毛症・乏毛症・副作用による脱毛・薄毛)の当事者が外見によって不利益を受けることのない社会を目指す非営利団体です。2021年設立、累計1万名以上に活動を届けてきました。ヘアロスを持つ子どもと家族への支援、および行政・企業・教育機関への政策提言・啓発活動の三軸で外見の多様性が尊重される社会をつくりを目指す団体です。

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