ちとせグループの中核法人である株式会社ちとせ研究所(以下、ちとせ)は、株式会社 明治(以下、明治)とともに、乳酸菌が産生する多糖の生産性向上を目的とした共同研究を実施しました。本研究では、ちとせのAI培養技術(※1)を用いて培養条件の最適化を行い、わずか11バッチ(※2)の学習データで、多糖の生産性を対初期条件比で約20%向上させることに成功しました。

高コストな多糖生産に挑み、従来の5分の1のバッチ数で生産性を大幅向上
多糖をはじめとする乳酸菌が産生する代謝産物は、食品分野において広く用いられます。しかし、その複雑な分子構造に起因し、高効率な生産のための培養条件を最適化するのに多大な時間とコストを要します。そこで、乳酸菌研究の知見を持つ明治と、多岐にわたる微生物の培養ノウハウおよびAI培養制御技術を持つちとせは、AIによる培養条件の迅速かつ高精度な最適化を目指す共同研究を実施しました。
本共同研究では、ちとせのAI培養制御システムを用いて培養条件の探索・最適化を行いました。その結果、従来必要とされてきた培養試験回数(※3)の5分の1となるわずか11バッチの学習データで、多糖生産量を約20%増加させる条件を確認しました。同時に、微生物による物質生産において廃棄物となることが多い菌体の量が約50%減少しています。これは、ちとせのAIが設計した培養条件のもとで菌体の増殖が抑えられ、その分のエネルギーが多糖の産生に優先的に使われるなど、効果的に代謝が制御されていることを示します。少ないデータ数から高い精度で学習し、培養中に温度やpHなどの条件変化も含めて最適な調整を行える点は、ちとせのAI培養制御システムの強みです。

多様なバイオ生産へ広がるちとせのAI培養制御技術
これまでちとせは、大腸菌や糸状菌など複数の微生物を対象に、AI培養技術による生産性向上の成果を挙げてきました。今回の共同研究は、これまでの対象微生物と培養条件が異なる嫌気性微生物である乳酸菌に対しても同技術が有効であることを示すものです。さらには、少ない学習データ量でも最適な培養条件を導き出せることが確認され、ちとせのAI培養制御技術の学習効率と汎用性が一層高まっていることが明らかになりました。これは、これまでの実績と比べても、ちとせのAI培養制御技術が継続的に進化していることを示すものです。
ちとせは今後も、様々なバイオ生産を対象にAI培養制御システムの社会実装に取り組み、食産業においても、人々の健康に繋がる機能性食品等素材の効率的かつ安定的な生産に貢献してまいります。
※1 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の下記事業の成果による
事業名:Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業/業界横断型AIシステムと業界共用データ基盤の連携開発/コンボリューショナルデータを活用したバイオ生産マネジメント事業
事業期間:2019年度~2021年度
事業概要:https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101190.html
※2 培養試験回数
※3 本成果と比較をしている2020年、2022年の実績は、今回の乳酸菌とは異なる対象微生物・検討内容におけるものです。
<株式会社 明治概要>
株式会社 明治は、牛乳・乳製品、菓子、食品などの製造販売を通して、「おいしさ、楽しさ、健康、安心」をお届けしています。「食と健康のプロフェッショナル」として、あらゆる世代のお客様の「健康な食生活」に貢献しています。
詳しくはhttps://www.meiji.co.jp/をご覧ください。
<ちとせグループ概要>

https://chitose-bio.com/jp/
ちとせグループは、世界のバイオエコノミーをリードするバイオ企業群です。千年先まで人類が豊かに暮らせる環境を残すべく、国や多くの企業と協力し、経済合理性を成立させながら技術を社会に展開しています。
◯ちとせグループ全体を統括する「CHITOSE BIO EVOLUTION PTE. LTD.」の概要
・設立:2011年10月
・本社:シンガポール
・代表者:CEO 藤田朋宏 Ph.D.
◯ちとせグループの中核法人として、技術開発・事業開発を行う「株式会社ちとせ研究所」の概要
・設立:2002年11月
・本社:神奈川県川崎市
・代表者:代表取締役CEO 藤田朋宏 Ph.D./代表取締役COO 釘宮理恵