【2016年1月7日】外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社(本社:港区、マネージング・ディレクター:マーク・ブラジ、以下ヘイズ・ジャパン)は本日、日本国内の転職市場における2016年のトレンド予測を発表いたします。
ヘイズが予測する2016年、国内転職市場の10大トレンド
1. 深刻なスキル不足
日本経済が安定していることで、転職希望者にとって一層の売り手市場が期待できます。しかし、高度なスキルを持った人材の不足はますます深刻な状況になり、企業にとって、それぞれの分野で豊富な経験を持ったバイリンガルのスペシャリストを確保することは至難の業となりそうです。企業が求めるスキルと国内人材市場で供給されるスキルとの間には、依然として大きな隔たりがあります。
2. トップクラスの人材を巡る獲得競争の激化
有望な人材には複数の企業からオファーが届くケースがますます増加します。需要の高い分野でこうした人材の採用に成功する企業は、非常に素早い動きを見せており、後手に回った企業は獲得競争を勝ち抜くことはできません。最有力の人材を確保するためには、当初の見通しを上回る水準まで給与を引き上げる必要が出てくる場合もあります。自動車関連エンジニア等、人材不足が特に顕著な分野での採用にあたっては、企業側も採用代行のほか外部コンサルタントの活用、個別の雇用契約など、採用に強い人材紹介会社から優先的な配慮が受けられるよう工夫する必要が出てきます。
3. 企業文化との相性をより重視
人材の採用を考える際、スキルだけでなく、それぞれの企業文化との相性がこれまで以上に重視されるようになります。地域戦略にスムーズになじめるよう、場合によってはスキルよりも企業文化との相性が重視されるケースも見られます。
4. 女性エンジニアの雇用拡大
「ウーマノミクス」効果もあり、自動車業界では最近になって女性エンジニアの需要に拡大傾向が見られます。中でも、これまで男性エンジニアが圧倒的だった、いわゆるティア1と呼ばれる大手サプライヤーが、公共事業契約の獲得が有利に運ぶよう、ハイランクの管理職に有能な女性を採用するようになっています。
5. 銀行業界の新たな採用傾向
2016年には銀行各社の採用傾向に変化が生じると予想されます。これまで採用の中心だった債券関連分野に代わり、2016年にはエクイティ、インベストメント・バンキング、コーポレート・ファイナンスといった分野のプロフェッショナルに重点が置かれるようになり、エクイティ・リサーチ分析、エクイティ・セールス、エクイティ・トレーディング・マネージャーといった職種で新たな採用が期待できるほか、M&Aバンカーにも注目が集まると予想されます。
6. ハイスキルの外国人スペシャリストの需要拡大
現在、国内では高度なスキルを必要とする職種で深刻な人材不足が生じており、欠員がなかなか補充できないケースも見られます。このため、海外に住むハイスキル人材を国内に呼び込むため、ビザの延長など、政府のより一層の取り組みが期待されています。グローバル化が進む中で、企業は高度なスキルを持つ人材については、外国人スペシャリストの採用を今後も検討していくと考えられます。
7. デジタル・マーケティング分野の成長
デジタル・マーケティングの分野は2016年も拡大が続き、この分野での採用増加が見込まれます。企業は最新のインフォメーション・テクノロジーをより効果的に活用して市場シェアの拡大を図ろうとしており、市場の大幅な成長が大量の新規雇用を生むと予想されます。消費財メーカーや小売業界を中心に、エージェント側、企業側双方で人材の需要が高まっています。加えて、B2B企業でもデジタル・マーケティング部門強化のため、経験豊富な人材を求めており、コンテンツマネジメント、SEO/SEM、アナリティクス、ソーシャルメディアなどのスキルが特に注目されています。
8. ビッグデータ関連スキルへの注目
ビッグデータ・テクノロジーを活用して売上拡大を実現できる優れた人材が求められており、大手のグローバルIT企業ではビジネスインテリジェンス・ソフトウェアを使いこなせるプロフェショナルの需要が高まっています。採用プロセス自体はこれまでと変わらないものの、決定に至るまでの期間はますます短縮され、優れた実績を持つ人材に対しては給与を含めて待遇面での柔軟な対応が期待できます。
9. ジュニアレベル人材の需要拡大
現在、国内ではジュニアレベルのバイリンガル人材も不足しており、2016年も引き続き、強い需要が見込まれます。こうした人材の採用にあたっては、企業側は業界経験の有無には非常に柔軟に対処し、社内で積極的に育成を進めようとしています。オペレーション業務経験者であっても、適切な能力を持っていれば、コミュニケーションスキルを向上させて将来的にセールス担当者に育てて行こうとするケースも考えられます。
10. 採用プロセスにおける人事部門の役割拡大
2016年には、人事部門は社内の人員配分をより慎重に見極めるために、採用に関してより多面的な検討を加えるようになると考えられます。バックオフィスの雇用に際して、人事マネージャーはまず、社内ポジションの必要性そのものの検討から入るため、採用にこれまで以上に時間がかかるようになります。オフィス・アドミニストレーターの場合であれば、新規採用かアウトソーシングが検討されるため、採用を決定するまでには、一般的にかなりの時間を要することになります。
日本経済が安定し、国内では深刻な人材不足が続いていることから、2016年も転職希望者にとっては一層の売り手市場となり、転職希望者も多く出ることが予想されます。しっかりとした業界経験を持ったバイリンガル人材や、自動車エンジニア、ビッグデータ関連のスキルを持ったセールス担当者には、特に高い需要が見込まれます。
ヘイズ・ジャパンのマネージング・ディレクター、マーク・ブラジは次のように述べています。「人事担当者は人材を確保するために、個別の雇用契約を交わしたり、採用アウトソーシングサービス(RPO)を活用したり、あるいは大幅な昇給を提示したりと、状況に応じてさまざまな知恵を絞らなければなりません。トップクラスの人材は複数の企業から内定を受けるようになり、2016年にはこうした人材をめぐる熾烈な獲得競争が、いずれの企業にとっても重い負担を強いることになるでしょう。」
ヘイズは、専門性の高いプロフェッショナルを対象に人材紹介サービスを提供しているリクルートメントのグローバル・エキスパートです。
以上