公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン理事長 池上清子

2018年度の入学試験で、東京医科大学が女子受験生の点数を一律で減点し、女性比率を3割程度に抑えていたという衝撃的なニュースが大きく報道されています。女性や女の子が差別されない公正な社会を目指す国際NGOプラン・インターナショナルは、ここ日本において、機会均等が当たり前のルールであるはずの大学入試で、女子学生を排除して男子学生を優遇する措置が行われていたとすれば、深い失望と強い抗議の念を抱かざるをえません。一日も早く事実確認が行われることを望みます。
■「女の子の未来に、投資を」することが、活気に満ちた社会をつくる
私たちは、世界において、とりわけ女性や女の子が置き去りにされているという理由から、途上国を中心に彼女たちを取り巻くリスクから守り、彼女たちが生きる力を発揮できる社会の実現に向けて教育や社会参画の分野を中心に支援活動を進めてきました。「女の子だから、学校に通う意味はない」、「女の子だから、家事を手伝うべきだ」、「女の子だから、13歳で結婚していい」。そんな差別意識が、これまで途上国の女の子の可能性を奪い、傷つけてきました。
私たちは、2018年春からは「女の子の未来に、投資を」というメッセージのもと、途上国の女の子が生きる力を身につけ、社会によい影響を与えられるよう支援を訴えています。

女の子にとっての教育は、男の子と同じように社会で活躍し、より活気に満ちた社会を創造するための源泉です。それは、日本においても同様です。
■理系女子の育成は日本の課題
ジェンダー平等が、より良い未来のために欠かせないことは、国際的な潮流を見ても明白であり、日本は、ジェンダーによる機会の不平等をなくす取り組みを一層強化すべきです。
今回の措置が事実だとすれば、日本政府が2016年に科学分野に関わる女性が少ないことから、理学研究者の女性の割合を20%に引き上げる目標を立てていることからも許されるものではありません。
(「図表で見る教育:OECDインディケータ」2017年度版)
私たちは、ジェンダー平等が社会のあらゆる場面において実現するために、あらゆる教育機関が率先してその役割を果たすことを強く求めます。
【プラン・インターナショナルとは】
子どもの権利を推進し、貧困や差別のない社会を実現するために世界70カ国以上で活動する国際NGOです。創立は1937年。長年にわたり、子どもや若者、地域の人々とともに地域開発を進めてきました。すべての子どもたちの権利が守られるよう、とりわけ女の子や女性への支援に力を入れています。市民社会、政府機関や国際機関と連携しながら、世界を持続的に、前向きに変えていきます。