トレンドニュースサイト STRAIGHT PRESS【 ストレートプレス 】

日本野鳥の会

ラムサール条約湿地「ウトナイ湖」の生命線である美々川に開発の恐れ―― (公財)日本野鳥の会が苫小牧市の「(仮称)美沢地区土地利用方針」に対して取り下げを求める要望書を提出

このエントリーをはてなブックマークに追加

ラムサール条約湿地ウトナイ湖に注ぐ美々川は、その生命線ともいえる重要な水源です。流域周辺に残る湿原や河畔林など豊かな自然環境は、希少鳥類(タンチョウ、オジロワシ、ホオアカ等)をはじめオオハクチョウ、ガンカモ類等の渡り鳥など多くの野鳥たちの生息を支えており、国際的に守るべき重要な自然環境です。
美々川周辺は、これまで「市街化調整区域」として開発が抑制され自然環境が保たれてきましたが、現在、開発が可能となるよう「規制緩和」が行われようとしています。
長年にわたりウトナイ湖とその周辺の自然環境の保全に取り組んできた(公財)日本野鳥の会は、規制緩和の方針をまとめた苫小牧市に対して、方針取り下げを強く求める要望書(資料1)を提出しました。

土地利用の規制緩和と美々川の危機

北海道が策定する「苫小牧圏都市計画 都市計画域の整備、開発及び保全の方針」の中間見直しに伴い、苫小牧市は国道36号線沿いの美々川周辺を含む美沢地区において「(仮称)美沢地区土地利用方針」をまとめました。美沢地区はこれまで建物の建設が制限されてきましたが、この方針には千歳市の大規模な半導体工場の進出を契機に、半導体関連の物流倉庫や事務所等を建設できるよう規制緩和がもりこまれています。この規制緩和が承認された場合、これまで残されてきた美々川周辺の豊かな自然環境が開発される恐れが高まります。
<要望書の主なポイント>
●美々川流域周辺に生息する希少鳥類や渡り鳥へ影響を及ぼす恐れがあるため、規制緩和を含む土地利用方針を取り下げること

●土地利用方針を検討する際には、市民・関係者への意見聴取や情報共有等を行うとともに、審議会へ自然環境の専門家を交える体制に変更すること

●土地利用方針は美々川の保全を定めた「苫小牧市生物多様性地域戦略」と矛盾するため、本戦略を遵守すること

この方針は、事前の市民に対する説明や意見聴取の機会が十分に行われないまま、2026年1月21日の苫小牧市都市計画審議会において、1回の審議で承認されてしまいました。市街化調整区域については原則として北海道知事に権限があるため、現在は北海道の審議に入る段階となっています。北海道は本件についての「パブリックコメント」を2026年3月11日~4月10日まで募集しており、当会も3月23日付で提出しています。
日本野鳥の会は引き続き、関係各所に美々川の保全のための働きかけを行っていきます。

美々川について

美々川はウトナイ湖に注ぐ主要河川で、全国的にも珍しい直線化する河川改修がされていない、原始の姿を残した川です。この蛇行流路では、水の流れの速さや深さの違いが発生することから、それぞれの環境を好む魚類や水草などの生物がくらすことができます。河川周辺にはヨシが広がる湿原や河畔林があり、様々な環境に適した野鳥や哺乳類の利用、植生があり、生物多様性が非常に高い場所となっています。また、道央圏におけるタンチョウの重要な越冬・生息地にもなっています。原始の河川景観が残る美々川はカヌーでくだるエコツアーなどでも利用されています。美々川は、ラムサール条約湿地ウトナイ湖をつくる重要な河川のひとつとなっています。

全国的にも珍しい原始の姿を残す美々川


美々川をカヌーでくだるツアー

黄色いコウホネの花が水面をおおう


美々川河畔林で羽を休めるオジロワシ

美々川を利用するタンチョウ

ウトナイ湖について

ウトナイ湖は、1991年に「国際的に重要な価値をもつ湿地」として日本政府により、ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)に登録されています。また国際的な基準による重要野鳥生息地(IBA)にも選定され、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(EAAFP)の生息地ネットワークへの参加基準を満たす自然環境が残る貴重な場所です。美々川からウトナイ湖にかけての流域は、勇払原野本来の原生的自然環境が残されており、様々な保護対策がとられていますが、周辺の工業基地計画や新たな土地利用の変化による孤立化など、常に開発と隣り合わせでもあります。

多くの渡り鳥の中継地として国際的に重要なラムサール条約湿地「ウトナイ湖」

参考資料

資料1:提出した要望書「(仮称)美沢地区土地利用方針に対する要望書」
https://www.wbsj.org/nature/opinion/20260408-bibigawa-tomakomai.pdf


資料1:提出した要望書「(仮称)美沢地区土地利用方針に対する要望書」

当会HP「勇払原野を支える美々川の自然環境を守る」
https://www.wbsj.org/activity/conservation/bibigawa-2026/


当会HP「勇払原野を支える美々川の自然環境を守る」

苫小牧圏都市計画 都市計画息の整備、開発及び保全の方針(素案)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kn/tki/publiccomment.html


苫小牧圏都市計画 都市計画息の整備、開発及び保全の方針(素案)

「日本野鳥の会」について

「野鳥も人も地球のなかま」を合言葉に、野鳥や自然の素晴らしさを伝えながら、自然と人間とが共存する豊かな社会の実現をめざして活動を続けている自然保護団体です。
シマフクロウやタンチョウなどの絶滅危惧種の保護活動を行なうほか、野鳥や自然の楽しみ方や知識を普及するため、イベントの企画や出版物の発行などを行なっています。会員・サポーター数は約5万人。野鳥や自然を大切に思う方ならどなたでも会員になれます。

<組織概要>
組織名 :公益財団法人 日本野鳥の会
代表者 :理事長 遠藤孝一
所在地 :〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
創立  : 1934(昭和9)年3月11日
URL  : https://www.wbsj.org/

企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ

最新情報をTwitterで受け取ろう!
最新情報をFacebookで受け取ろう!
前の記事
一覧へ戻る
次の記事