住友ファーマ株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:木村 徹、以下「住友ファーマ」)および国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市、理事長:中村 祐輔、以下「NIBN」)の難病・免疫ゲノム研究センター 山本拓也センター長、同センター内プレシジョン免疫プロジェクト 西山紋惠プロジェクト研究員らは、住友ファーマ創出の新規TLR7ワクチンアジュバント(DSP-0546)を用い、幅広いインフルエンザウイルスに対する予防効果を持つ「ユニバーサルインフルエンザワクチン」の開発に取り組んでいます。2024年5月14日に開始をお知らせした住友ファーマによるユニバーサルインフルエンザワクチン候補製剤「fH1/DSP-0546LP」(以下「本剤」)の欧州フェーズ1試験(以下「本試験」)につきまして、中間解析を実施しましたので、主要評価項目(本剤の安全性、忍容性および免疫原性)に続き、探索的評価指標である交差反応性に関する結果をお知らせします。
本試験は、18歳から40歳の健康成人144例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験で、本剤(fH1(2μg、8μg)/DSP-0546LP(2.5μg、5μg、10μg))、アジュバント非添加抗原製剤(fH1(2μg、8μg))、アジュバント単剤(DSP-0546LP(2.5μg、5μg、10μg))またはプラセボを、3週間間隔(Day1、Day22)で2回筋肉内に投与しました。中間解析は、あらかじめ本試験の臨床試験実施計画書に規定された方法で、投与終了4週間後(Day50)までの事後観察結果として実施されました。
交差反応性は、様々なインフルエンザ亜型由来LAHに結合し、交差防御活性を示すLAH31モノクローナル抗体※を標準物質として使用し、免疫学的測定法の一種であるELISA(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay)によって評価しました。本剤(fH1 8μg/DSP-0546LP 5μg)投与群ではDay50におけるインフルエンザウイルスH1及び高病原性鳥インフルエンザウイルスH5のLAHに結合した抗LAH抗体濃度はDay1と比べていずれも上昇し、それらの幾何平均値(95%信頼区間)は、それぞれ2,994.54ng/mL(2,077.84-4,315.67)及び2,657.93ng/mL(1,556.89-4,537.65)でした。したがって、本剤が毎年流行するインフルエンザウイルスであるH1N1亜型に対する抗LAH抗体のみならず、高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1亜型由来のLAHに対する結合性抗体も同様に誘導することを確認しました。
本試験は、投与1年後のフォローアップ観察まで継続し、探索的評価指標である抗体依存性細胞障害活性等につきましても評価中です。複数のインフルエンザウイルス亜型に対応し得るマルチサブタイプインフルエンザワクチンとしての早期実用化のために、引き続き研究開発を進めます。
※ 標準物質に関する参考文献:https://doi.org/10.1371/journal.ppat.1011554
本剤の特徴について
従来のインフルエンザワクチンは、ウイルスの抗原変異により効力を失うため、毎年流行株に合ったワクチン株の選定・製造・接種が必要であり、新型インフルエンザに迅速に対応することは困難です。
本剤は、種類の異なるインフルエンザウイルスへの幅広い防御効果が非臨床研究で確認されています。住友ファーマおよびNIBNは、共同研究の成果である本剤について、季節性インフルエンザウイルスだけではなく、パンデミックに発展する可能性のある新型インフルエンザウイルスにも効果を示す画期的な次世代ワクチンとしての実用化を目指しています。
*住友ファーマおよびNIBNは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に係る研究開発課題において共同研究を実施しています。
*本件に関連するプレスリリースとして、以下を開示しています。
- 新規ユニバーサルインフルエンザワクチン候補製剤の臨床試験(フェーズ1試験)開始についてhttps://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/20240514-2.html
- 住友ファーマ創出の新規TLR7ワクチンアジュバント(DSP-0546)を用いた新規ユニバーサルインフルエンザワクチン候補製剤の臨床試験(フェーズ1試験)の中間解析についてhttps://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/20250731-3.html
- 住友ファーマ創出の新規TLR7ワクチンアジュバント(DSP-0546)を用いた新規ユニバーサルインフルエンザワクチン候補製剤の欧州フェーズ1試験結果に関する学会発表についてhttps://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/20251001.html
ご参考
TLR7アジュバント (DSP-0546LP)
ウイルス由来のRNAを感知して自然免疫応答を引き起こすToll様受容体の一つであるTLR7を特異的に活性化させる物質を含む製剤です。アジュバントとして抗原に添加することによって免疫応答の量、質および持続性を高める免疫増強作用を有します。
LAH(Long Alpha Helix)
幅広いインフルエンザウイルスに共通する隠れた抗原領域の一つです。本剤は、通常のヘマグルチニン抗原を構造変化させることでLAHを露出させた改変型ヘマグルチニン抗原を含んでいます。
H1N1亜型
A型インフルエンザウイルスの亜型の一つであり、季節性インフルエンザの一つとして毎年流行します。2009年に新型ウイルスが世界的に流行(パンデミック)したことで知られています。
H5N1亜型
主に野鳥や家禽等に感染するA型インフルエンザウイルス亜型で、ヒトに感染すると高熱や肺炎などの重篤な症状を引き起こし、致死率が非常に高い「高病原性鳥インフルエンザ」として知られています。
医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)について
産学官連携により、我が国の力を結集し、医療現場ニーズに的確に対応する研究開発や創薬等の加速化等が抜本的に革新される基盤(人材を含む)の形成および医療研究開発分野でのオープンイノベーション・ベンチャー育成が促進される環境の創出を推進することを目的とする国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の事業です。
詳細は、https://www.amed.go.jp/program/list/index07.htmlをご覧ください。
住友ファーマとNIBNの共同研究「万能インフルエンザワクチンの研究開発」(代表機関:住友ファーマ)は、2019年にCiCLEの第4回公募の研究開発課題に採択されました。
以 上

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