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テクノロジーの脅威を、コア事業の戦略的再生へ【A.T. カーニー】

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企業が競争力低下の前に重要技術を見極め、獲得・展開する方法を日本企業の事例を交えて提示

A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、論考『テクノロジーの脅威を、コア事業の戦略的再生へ」』(英題:From technology threat to strategic renewal)を公開しました。
AIをはじめとする新たな技術は、既存企業の持続的な競争優位性を保つコア事業を直ちに失わせるものではありません。一方で、製品、価格設定、業務プロセス、販売チャネル、サービス提供コストといったコア事業を収益化してきた仕組みを大きく変える可能性があります。
本論考では、既存企業がコア事業を手放すのではなく、必要な技術・人材・外部能力を戦略的に取り込み、将来に向けて再生・拡張していくための考え方と実行上の要諦を示します。

新技術のM&Aは、過去20年のクロスボーダーM&Aと異なる4つの前提
本論考は、新しい技術のM&Aが従来型の規模獲得型買収と異なる点を4つに整理しています。第一に、買収するのは現在のキャッシュフローではなく、技術領域の進化方向とチームである点です。第二に、買収資産を受け入れるための戦略転換を先行させる必要があります。第三に、創業者主導の企業では、条件交渉の前から信頼と文化的親和性が問われます。第四に、対象企業や市場を特定する前からエコシステムとの関係構築を始める必要があります。
このため、評価の中心も前年の収益倍率や市場規模だけではありません。技術の差別化、開発チームの成長軌道、学習速度、希少人材の採用・維持力、プラットフォームや規制の変化への適応力を精査し、買収後に能力を受け入れられるよう戦略と組織を設計することが重要です。

『生きたネットワーク』の活用事例を紹介
本稿の事例では、Kearneyのイノベーションおよびベンチャー機能であるSilicon Foundryと連携し、AIを活用する特定の事業モデル領域で、提携候補となる約20社のスタートアップを抽出しました。その後、3週間でCEOまたは主幹ベンチャーキャピタルとの約15件の対話へ進み、本格的な提携協議を3件に絞り、うち1件がデューデリジェンスを経て買収に至りました。
本事例は一般的な成果を示すものではありません。論考は、迅速な絞り込みを可能にした要因として、データベースやコールド・アプローチだけに依存せず、創業者、投資家、テクノロジー企業、学術・研究機関などとの信頼関係から成る『生きたネットワーク』を挙げています。

5つの要諦で、脅威の定量化から能力の全社展開までを設計
本論考では、既存の競争優位や収益構造を変え得るテクノロジーの買収を、持続的な価値創出につなげるために、以下の五つの要諦を提示しています。
- 戦略から始め、脅威を定量化する技術を単なる成長テーマとして捉えるのではなく、コア事業の競争力や収益構造に及ぼす影響を特定し、リスクにさらされる価値を定量化する。
- 生きたネットワークを通じて、先を読み、候補を探索するデータベースや限定的な現地拠点だけでは把握できない技術・人材・ディールフローにアクセスするため、イノベーション・エコシステムとの継続的な関係を築く。
- 候補抽出から直接対話までを迅速に進め、ディール成立を仲介変化の速い領域では、候補企業との対話を数週間単位で進めることが重要となる。買い手とスタートアップの間に立ち、戦略、プロセス、文化の違いを乗り越える橋渡しを行う。
- 商業性に加え、技術とチームを精査市場予測や財務モデルだけではなく、技術の競争優位性、人材の厚み、学習速度、変化への適応力を評価する。
- 獲得した能力を全社展開し、無理な統合を避ける買収先の自律性を損なうことなく、知識と技術を親会社へ展開する。案件成立前から、ガバナンス、組織、人材、文化を含む展開計画を設計する。

重要なのは、「何を買うべきか」から検討を始めることではありません。「何を守り、何を拡張でき、何を獲得し、何から撤退すべきか」という問いから始めることです。コア事業の再生に必要な能力が社外にあり、社内で十分な速度で構築できないとき、その能力へ迅速かつ深くアクセスすることが、再生に不可欠な行動となります。

A.T. カーニー パートナー、ジェフ・ヴォリンスキによるコメント:
「日本企業の多くは、顧客基盤、信頼、ブランド、販売網といった強いコアを持っています。重要なのは、そのコアを守ることと、過去の収益モデルを守ることを混同しないことです。必要な能力が海外のスタートアップ・エコシステムにある場合、中長期戦略の中で何を守り、何を伸ばし、何を外部から獲得するかを明確にしたうえで、提携、投資、買収の中から最適な手段を選ぶ必要があります。本稿が、戦略と外部ネットワークをつなぎ、テクノロジーによる脅威をコア事業の再生に変えるための議論の出発点になれば幸いです。」

論考について
論考名:『テクノロジーの脅威を、コア事業の戦略的再生へ』(英題:From technology threat to strategic renewal)
URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/from-technology-threat-to-strategic-renewal

執筆者
ジェフ・ヴォリンスキ パートナー
米国出身。タフツ大学卒業、コロンビア大学で経営学修士(MBA)と国際関係論修士(MIA)、東京大学で公共政策修士(MPP)修了。東京を拠点に、南北アメリカ、欧州、中近東アフリカ地域、アジア太平洋地域のヘルスケア、消費財、ハイテク業界における国際的な企業の発展と変革を支援。母語である英語のほか、中国語と日本語が堪能。

井上 真 シニアパートナー
東京大学卒業。ワシントン大学(ミズーリ州)MBA修了。三井物産、米国の化学品メーカーなどを経て、A.T. カーニー入社。消費財・小売、サービス、総合商社を中心に、全社戦略、競争戦略、グローバル成長戦略、営業・マーケティング改革、組織診断・設計、チェンジ・マネジメント等のコンサルティングに従事。

櫻井 渚 ディレクター (Silicon Foundry)
鳥取大学大学院修了(農学博士)、NUCBビジネススクール修了(MBA)。東京を拠点にKearneyグループのSilicon Foundryにて、イノベーション戦略、事業開発、投資支援に従事。アステラス製薬では、経営企画およびCVC部門にて、事業戦略策定、M&A、スタートアップへの直接投資、米国・欧州VCへのLP出資をリード。

A.T. カーニーについて
A.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして、Fortune Global 500企業の4分の3以上をはじめ、世界各国の政府機関に信頼されるパートナーであり続けてきました。世界40カ国以上に拠点を展開し、私たちの最大の強みは『人』にあります。インパクト・ファーストを掲げ、独創的な発想と実行力をもって、顧客企業が直面する最も困難な課題に挑み、変革の実現をともに推進します。日本には1972年に進出し、主要産業のリーディングカンパニーに、戦略策定から変革の実行まで一貫した支援を提供しています。
https://www.jp.kearney.com/

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