途上国向け簡易式トイレシステム 「SATOトイレ」導入により、農村地域での衛生課題解決へ
認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン(本部:東京都大田区、代表理事:小泉 智、以下GNJP) は、タンザニア連合共和国イリンガ州キロロ県イデテ村において、トイレ・衛生設備メーカーの株式会社LIXIL (所在地:東京都品川区 、社長兼CEO :瀬戸 欣哉) の革新的トイレ技術「SATO」を活用した水衛生環境改善事業を開始します。

事業の開始式典の様子(キロロ県イデテ村にて、2026年6月20日撮影)
事業の背景と目的
タンザニアの農村部では、安全な水へのアクセスがある人口はわずか45.87%にとどまり、63.07%の住民が蓋のない不衛生なピット式トイレを使用しています。衛生的なトイレの不足は野外排泄や水源の汚染を招き、赤痢やコレラなどの水因性疾患の蔓延につながっており、こうした感染症による下痢は同国における5歳未満児の五大死因の一つにも数えられています。
事業対象地であるイリンガ州キロロ県イデテ村は、州都イリンガから陸路で約3時間、うち半分以上が未舗装道路という山間の農村地域です。雨季には道路がぬかるみ車両の通行も制限されることから、行政サービスや他国からの支援が届きにくく、開発から取り残された地域となっています。こうした環境の中、多くの世帯が蓋のない不衛生なトイレを使用しており、水因性感染症が子どもたちの命を脅かす一因となっています。
本事業では、日本企業LIXILの「SATOトイレ」を活用し、キロロ県イデテ村において住民が衛生的なトイレへアクセスできる環境を整えるとともに、住民自らがトイレの普及をさらに広げていく仕組みを構築することで、持続可能な地域発展を目指します。

「トイレを建設する中学校(キロロ県イデテ村にて、2026年7月10日撮影)

事業開始前に使われているトイレ(キロロ県イデテ村にて、2026年7月10日撮影)
日本企業の技術を活用した取り組み
LIXILが開発した「SATOトイレ」は、便器底部の弁が排せつ物の重みだけで開閉する仕組みにより、虫の侵入や悪臭を防ぎ、感染症のリスクを低減する優れた機能を持つ製品です。また、タンザニアには現地法人があり、事業対象州内の販売店を通じて安価に入手できる体制も整っています。
本事業では、学校の敷地内に男女別の個室と手洗い場を備えたトイレを建設するとともに、LIXILのSATO事業部と連携して衛生教育を実施し、学校が主体的に管理でき、子どもたちが正しく使える体制を整えます。これにより、子どもたちが正しい衛生知識と習慣を身につけ、それを継続していけるような活動を目指します。
また、住民の中からSATOトイレの設置技術を学ぶ技術者を育成し、参加型の衛生啓発ワークショップを継続的に実施します。これにより、事業終了後も住民自身の手で 衛生的なSATOトイレが普及していく環境づくりも進めていきます。
現地の様子
6月20日、キロロ県イデテ村にて水衛生環境改善事業の開始式典が執り行われました。
式典には、キロロ県の県長や水省・保健省の職員、村のリーダーなど現地行政関係者と住民の皆さんが参加し、合計120名が事業の門出を祝いました。
式典では事業内容が改めて共有され、公式に事業開始が宣言されました。
会場では、イデテ村のマデゲ中学校の生徒たちが、衛生的なトイレを使うことの大切さを伝える劇を披露。子どもたちならではの表現に、会場からは温かい拍手が送られました。
GNJPは、この式典を新たなスタートとして、住民が主体的に衛生的な暮らしを築いていけるよう事業を推進してまいります。

衛生的なトイレの大切さを伝える劇を披露する生徒たち(キロロ県イデテ村にて、2026年6月20日撮影)

式典に参加した現地行政関係者や住民の皆さま(キロロ県イデテ村にて、2026年6月20日撮影)
各団体からのコメント
グッドネーバーズ・ジャパン(海外事業部アフリカ2課・駐在員 平良)
事業地であるイデテ村は、標高1,600mの山間に位置する、自然に恵まれたとても空気が綺麗な場所です。豊かな自然が広がる一方で、村への道のりは決して簡単ではありません。年間の約半分を占める雨季には、未舗装道路が深い泥道となり、四輪駆動車でも進むことが難しく、時には車が立ち往生してしまうほどです。
このようなアクセスの難しさから、政府による学校や保健施設などの公共サービスの提供も容易ではなく、住民の皆さんは長い間、十分な支援やトイレなどの衛生施設を含むインフラ整備が届きにくい環境で暮らしてきました。しかし、住民には衛生的で尊厳とプライバシーの保たれたトイレを利用する権利があります。また、州都イリンガにはLIXILさんのSATOトイレパーツを取り扱う店舗もあり、必要な部品を地域で入手できる環境が整っています。
私たちグッドネーバーズ・ジャパンは、この地域に暮らす皆さんの「もっと安心して、健康に暮らしたい」という思いに寄り添いながら、SATOトイレの普及を通じて、衛生環境の改善に取り組んでいきます。山深い地域だからこそ届きにくい支援を、私たちの足で一歩ずつ届け、住民の皆さんとともにより良い未来を築いていきたいと思います。
株式会社LIXIL SATO事業部(アフリカリーダー Samuel Langat)
衛生環境を整えることは単なるインフラ整備にとどまりません。人びとの健康やジェンダーの平等、人間の尊厳、そして経済の自立を根底から力強く支える大きな力となります。
だからこそ、LIXILのSATO事業部では、誰もが安全で清潔な衛生製品を手頃な価格で利用できることは、決して一握りの人びとだけの特権ではなく、すべての人に認められた基本的人権であり、誰もが公平な暮らしを実現するための強力な原動力となるという信念のもと、活動を展開しています。
イデテ村のような支援が届きにくい地域において、適切な衛生環境が整備されることは、人びとの日常生活を根本から変えるほど大きなインパクトがあります。プライバシーの守られた安全なトイレができることで、女性たちは学業を中断することなく学校に通い続けることができます。家族には安全と尊厳がもたらされ、技術者の育成や市場主導のサプライチェーン構築を通じて、地域には新たな経済的機会が生み出だされるのです。
私たちはパートナーの皆さまとともに、イデテ村の人々がこれからも世代を超えて、自らの手で持続可能な衛生環境を築いていけるよう、支援を続けてまいります。
事業概要
事業名:安全な水供給ゼロ地域イリンガ州キロロ県における本邦企業の技術活用による水衛生環境改善事業
実施期間:2026年6月~2027年3月
対象地:タンザニア連合共和国イリンガ州キロロ県イデテ村
活動内容:公衆トイレの建設、衛生啓発ワークショップ、SATOトイレ設置技術者の育成、維持管理体制の構築
本事業は、外務省の対タンザニア国別開発協力方針が掲げる「水など基礎的な行政サービスの改善」及び「日本企業の対タンザニア進出への貢献」、並びにTICAD8で掲げられた「水・衛生:上下水道整備・管理能力強化を支援」の取り組みを具体化するものです。
団体について
特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパンは、国際組織グッドネーバーズ・インターナショナルの一員として、2004年に開設されました。「子どもの笑顔にあふれ、誰もが人間らしく生きられる社会」を目指し、国内外の子ども支援を行っています。公益性の高い団体である「認定NPO法人」として東京都から認可を受けています。
https://www.gnjp.org/
株式会社LIXIL SATO事業部について
衛生環境の整備が遅れている地域に対し、低価格で耐久性に優れたトイレや衛生製品を提供。これまでに世界59の国と地域を対象に、途上国向け簡易式トイレシステム「SATO」 や手洗いステーション「SATO Tap」などを出荷し、2026年には1億300万人の衛生環境を改善する目標を達成した。
https://www.lixil.com/jp/